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アナザーレイド  作者: 好日日和
死の運命編
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契約内容確認

 私は色々な感情や想いをたくさん泣くことで整理をつけた。

 もっとも、まだ鼻は赤くグシュグシュしているが。



「シロマちゃん、助けてくれて本当にありがとう」


「いえ、私は何もしておりません。メイ様の能力で時間を戻したのですから、ご自身に感謝するほうが良いのではありませんか?」



 そっか。自分が助かりたくて、この能力を貰ったんだった。自分で自分を助けたことになる。


 するとシロマちゃんが、


「加えて申し上げるとしたら、創造主メディテイカム様にも感謝されると良いと思います。数十兆程いるこの世界の知的生命から、メディテイカム様はメイ様と契約なさったのですから」



「数十兆の知的生命?」


「はい、メイ様が住んでいらっしゃる『地球』以外にも、この全世界を検索すると、人間レベルの知能がある生命体は、79兆9531億5504生存しています」



「そ、そうなんだ…」


 地球の人口が70億人くらいなのに、人間と同じくらいか、それ以上の生き物がいるなんて、パッと言われても全然想像がつかない…



「今後、メイ様には契約のもとレベルアップとスキルアップ、多世界の代表がもつ『管理権限』の簒奪を行なって頂きます。手始めにメイ様のレベルアップを図るため…」


「ちょ!ちょっと待って!またよく分からない言葉があるんだけど…」


 レベルアップ?スキルアップ?管理権限のサンダツ??



「シロマちゃん、創造主さんと契約した内容を教えてくれる?」


「はい、メイ様が契約された内容は『春田メイ様は、多世界の管理権限を簒奪しメディテイカム様を全多世界の管理者とさせること、その過程で必要な能力においてはメディテイカム様から付与、または敵から奪うこと』という内容です。多世界の代表と戦い、『管理権限』を奪います。メイ様はメディテイカム様の配下となりますので、管理権を取得された場合、自動的にメディテイカム様へ多世界の管理権は委譲されます」



「えっと…この『時間逆行』を使って、他の世界の代表の方と戦って『世界の管理権限』を奪うってこと…?」


「はい、その解釈で間違いではございません」


「『世界の管理権限』ってなに?」


「そのままの意味です。その世界における、法則、環境、生命の維持など全てを管理できる、つまり自由にできる権限でございます」


「えええぇぇぇ!!??そんな神様みたいなことが権限としてあるの!?」


「はい、メディテイカム様はこの世界を一から創造されました。ですから、管理権限はメディテイカム様にございます。他の世界においても同様のことが言えます」



 そんなとんでもない権限を私が奪うの…?

 というか奪われたらどうなるの?


「その『管理権限』は奪ったり奪われたたりしたらどうなるの?」


「新しい管理者にもよりますが、世界を創り直したり、融合させたり、または分裂させたり、消去したりできます。完全に管理者の自由ということですね」



 な、なんて怖いことなの…


 じゃあ私が負けて創造主さんの管理権限が無くなったら…


 私がいる世界は無くなっちゃうかもしれない?

 もしくは、全然違うものになっちゃうってこと??



「そ、そんなの絶対嫌だけど、私なんかにできる訳がない!誰かと戦うなんてしたこともないし、そんな重大なことの責任なんて負えないよ!」


 思わず大声になってしまう。




「姉ちゃん!声大きいよ!テレビの音が聞こえないじゃん」


 隣の部屋から、弟の注意が飛んでくる。


「絶対無理だよ…私、家族と一緒にいたいけど、この世界の運命なんて背負えないよ…」


 私みたいな、ただの女子に任せるより軍隊や世界一の格闘家とかに任せるほうがよっぽどマシなんじゃないか?


 そんな世界が無くなるかもしれない事態に、私は責任を負いたくない。怖いし、痛いことも自分が死ぬようなことも、もう味わいたくない。



「ですが、もう契約は成立しています。メイ様が戦いがお嫌いであるならば、すぐに敗北宣言をしてはいかがです?一瞬で決着がつきますよ」


 シロマちゃんは私が戦いを嫌うことを知って、一つの答えをくれた。

 しかし、


「その場合は管理権限がメディテイカム様から他の創造主へと委譲されるので、その後の世界がどうなるかは分かりませんが」


 現実を突き付けてくる。



 事故に遭った私に『時間逆行』のスキルを授け、シロマちゃんのような不思議生物を創り出せるのであれば、この契約内容も疑う余地はない。



 本当にこの世界の管理権限が誰かに移ってしまえば、何をされるか分からない。



 うぅ…死ぬのも嫌だけど、世界の運命託されても嫌だなぁ…

書き溜めもなく、仕事の合間に書いておりますので、更新がマチマチになってしまうことをお詫び申し上げます。

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