VS アルツア リトライ
見渡す限りの草原と緑豊な山々が見える。
気がつくと、この世界に到着した場所に戻っていた。
時間逆行は無事に発動し、私は前回日記を付けたところまで帰ってきた。
「よし、無事帰還成功!」
「良かったですねメイ様。ところで服装はどうなさいますか?」
あっ!しまったぁ…
また魔物認定された村で貰わなきゃいけないのか…
服はもちろん、持ってた剣も稼いだお金も元通り、持ってない。
まぁでも向かう村と道は分かっているし、今度はこちらの言葉で喋ることができるしね!
ーーー
服を貰った村へ寄る。今度はこちらの言葉で、東方の異国から来た旅商人であることを説明した。
当初、やはりかなり怪しまれたが言葉が通じたことが大きかった。
携帯食料が珍しかったのか、それ3つと服と5000ララを頂いた。
仕事の時もそうだけど、言語が通じるかどうかって信頼を得るのにとても重要だ。
会話術も役に立った。
ーーー
今度は全速力で王国へ向かう。道も知っているので時間逆行をしてから次の昼には着いた。
城門や城壁の見張り小屋からなるべく距離がある地点で魔法を使う。
火薬を詰めた玉に火がついて大きく広がる光の花、つまり花火をイメージして手を空へむける。
日本で夏に見たら歓声があがりそうな綺麗な光の花が、異世界の真昼間に3発上がった。
そして、スッと息を吸って
「敵襲だぁー!!」
叫び声と花火を見た見張りの兵や見回り兵は花火が上がった地点へ急ぎ駆けるのが見えた。
私はそれと反対へ走る。
警備が手薄になったので門番は一人しかいない。
「兵士様、今全身真っ黒な服の男があちらに走っていきました…。先程の大きな音と光はあの男のせいでしょうか…。私…とても怖いです…」
か弱い女子を演じて、ヨロヨロと兵士の胸板あたりに手を置く。
「あ、ああ…我々に任せておけ!直ぐに犯人は捕まるであろう。情報提供感謝する!」
ニヤニヤしている兵士は、他の兵士に連絡でもするのか近くの小屋へ入っていった。
…チョロい…
今度はウォールクライミングをする必要もなく易々と国内へ入る事に成功した。
アルツアが出る出陣式まであと3日ある。
相手の戦意を無くす為の手段か…
アルツアの性格はそんなに深く分からないけど、多分どっちが命を落とすまで戦いそうなんだよなぁ…
副騎士官?だっけ。それ相応の実力もあるだろうし、プライドも高かった。
めっちゃ見下されてたし。
煽り耐性なかったし。
魔法は苦手って言ってたけど、炎の球は打ってきた。
スキルは「術式付加」と「物体騎乗」
術式付加は剣に炎の魔法を付加したのかな?
物体騎乗は「水」に「乗って」「操る」ことをしてたような。
アルツアの家族を人質にとって脅す?
いやいや、お構いなしだったら意味ないし私もそんな悪役演じれる程の度胸はない。
アルツアの大切な物を奪って脅す?
うーん、大切な物が何か分からないし時間もかかる。分かったところで奪えるかどうか。
ん?大切な物?
あ、そうか。この方法なら…
いけるかも!
有名な方がお亡くなりになりましたね。もっと長生きしてほしかったなぁ。
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