VS アルツア 2
…思考加速!
急場しのぎで思考加速を使う。
アルツアの動きが止まったかと思うぐらい、ゆっくりになる。
スキル練習で思考加速もかなり熟練度が増した。
あぁ、怖かった…
真正面から人に襲われるなんて初めてだよ…
しかも剣で。
…とりあえずこの後は持ってる剣で目の前の剣を薙ぎ払えば良いよね、うん。
身体強化を発動しているためマッチョでも敵わない力があるんだ、多分いける。
これで一旦、間が開くはずだけど、
その後は…
薙ぎ払って体勢が崩れたアルツアの脇を剣で…
いやいや!
やっぱり人を殺めるのは無理だぁ。
うーん…
管理権限の移譲は、なんとなくこの人からは望めなさそうだし。
やっぱり戦意喪失を狙うしかないかな。
…そういえばこの人、やたらと私のことを見下しているけど、それって剣に自信があって、あまり今までも負けたことないってことだよね、多分。
ということは…
それにさっきの炎は『魔法』って言ってたから、スキルは他にあるんだろうか。
ちょっと試してみようかな。
よし、ある程度方向性が固まったところで。
思考加速解除!
考えた通り、振りかざされたアルツアの剣を渾身の力で右から左へ払う。
やはり筋力が上がって力がかなり強いのだろう。
アルツアは目を見開いたまま、離さなかった剣とともに体勢を崩す。
そして…
えい!
持っていた剣でよろけているアルツアの腰あたりを刺す。
もちろん鎧に守られているため身体に刺さることはなく、ガギッっと金属同士が当たる音がする。
「相手を甘くみてやられるなんて、戦いの基本も知らないんですか?それで騎士団の副官だなんて、上司にお金でも渡したか、よほど気に入られてるだけじゃないですか?実力もないのに」
「なに!?」
「図星だから怒ってるんです?やっぱり肩書きだけなんですねぇ。これで腹を立ててちゃ副官なんて務まらないですよ」
アルツアの握った剣がプルプルと震える。
少しずつアルツアとの間合いを取る。
「どうせ剣だけが取り柄で与えられたスキルなんて使いこなせてないんじゃないです?魔法も大したことないし、それに」
「うるさい!!貴様、僕を馬鹿にしたな!
本気を出してやる。後悔しても遅いぞ」
さらに少し離れる。
「痛めつけてから殺すに変更だ!『術式付加』!!」
なにやらアルツアがモニョモニョ唱えている。スキル発動ってそんな面倒くさいっけ?
今ならすぐ何かされそうにないので、もう一回、
思考加速!
…
(シロマちゃんシロマちゃん)
(はい、メイ様。如何されました?)
(この世界の魔法って私も使えるの?)
(可能ですよ。以前はご質問がなかったのでお答えしませんでしたが、第32世界には地球には無い元素に、『思念受容具現素』通称『思素』というものが存在します。人間などの高等知能を有する生物には思念、つまり感情や想像力を待ち合わせていることが多いです。何かの現象を具体的に想像し、外に向けるようイメージすると思素と反応して現象となります。
イメージが具体的であればある程、その威力は増す傾向にあります)
(へぇぇー!すごい便利じゃない!)
(いえ、そうとも限りません。ところでメイ様、魔法をお使いになるのですか?)
(そうだね、今のうちにイメージしてみる)
そうだなぁ。さっきアルツアが炎の球を打ってきたから、それを真似てみようか。
具体的に、だからえーっと
私の掌がコンロみたいなって火がついて、、
沢山の酸素と可燃ガスで青い炎が大きくなって、、
だいたいバレーボールくらいかな、、
それが野球の投手が投げるような速さで、、
真っ直ぐにアルツアの顔の横へ!!
思考加速解除!!
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流行りの病にも負けず、まだまだ書きますよー!(扁桃炎ですけど)




