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アナザーレイド  作者: 好日日和
VS 第32世界 アルツア編
30/62

侵入者

アルツア視点です。

 僕の名前はアルツア。

 アトジュニ王国における騎士団にて、一中隊を任されている副騎士官だ。

 歳は数えで19歳。自分でいうのもなんだが、最年少副官として結構注目を浴びている。


 得意とするのは剣技。これで副官まで上り詰めたといっても過言ではない。

 逆に思念術は苦手だ。それを剣技で補ってきた。



 だいたい半年程前だろうか。

 ある日、私は人気の少ない小径で、見知らぬ老婆から声をかけられた。そこで見せられたのは喋る石だった。


 もちろん魔物の中にも「喋る石」「喋る岩」「喋る石人」もいるが、喋るというより『ガァアァァア』とか『キキキキキキ』といった鳴き声に近い。


 だから、あまりに流暢に喋る小さな石を見て驚いた。


 しかもその石曰く、僕はこのアトジュニ王国があるラベルテルという星、いやこの世界全体を賭けた戦いの代表者として選ばれたというのだ。



 にわかには信じられない話であったが、その日の夢で昼間に出会った老婆の正体が、我等が信仰する『聖ウルカノ教』の女神様であることを知らさせれた。


 女神様は僕に、『この世界を守る役目と聖ウルカノ教を他国、多世界へ広める役割』をくださったのだ。

 そのため、喋る石「リトル」を遣わしたのだと。



 朝起きて、僕は夢のお告げと手に持っている喋る石「リトル」を見て確信する。


(僕が世界を守り、聖ウルカノ教を広めなくては)



 それから、リトルから思念術に似たスキルというものの存在を知らされるが、あまり過分に喋らないリトルは、スキルの具体的な使い方までは教えてくれなかった。

 それでもいくつか、自己研鑽によりスキルも使えるようになった。



 つい先日、多世界の者がこの国を乗っ取りに侵入することを動く絵で知らさせれた。

 なんとも貧相な女子が映っていたが、こんなに脆そうでは逆にこちらが心配になる程であった。


 しかし、敵は敵。

 国を守る騎士団として、女神様から天啓を授かったものとして負ける訳にはいかない。




 そして今夜、まだ夜警隊が働く時間であるのに城壁を越えたものがいる。

 これは私のスキル「敵意察知」によるものだ。



 ついに戦いが始まる。


 剣技にスキル、苦手とはいえ思念術もある。

 正直、見た目が貧相な女子に負けるような気はしない。


 幸運にも戦いの場所はこちらの世界であり、アトジュニ王国となっている。

 地の利は完全にこちらにある。


 敵意察知を発動させ続けながら眠りにつく。


 敵もまた、私を探すのに必死になっているであろう。

 こちらとしてはそう易々と分かる場所にはいない。


 休めるうちに休み、体力を温存させて頂こう。



 しかし…


 アナザーレイドで優勝したら、願いが何でも一つ叶うという。

 もし僕が優勝したら、その時は…


 聖ウルカノ教を全世界へ布教し、全ての人が聖ウルカノ教を信仰するようにしてもらおう。

 僕はそこで英雄として語り継がれることだろう。


 ふふ、楽しみだなぁ…。

全然咳が治りません。熱は下がったのですが…

咳するのも体力消費しますので、結構しんどいですねぇ。

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