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アナザーレイド  作者: 好日日和
VS 第32世界 アルツア編
22/62

開戦

 死の運命を回避してから、約1か月。なんの進展もない。


 また殺されそうになるとかそんなこともなく、唯々毎日が過ぎていった。



「メイ〜ご飯できたわよー」


「はーい、今から行くね」


 お母さんの夕飯を呼ぶ声に返答し、事故後、一週間毎に書いている日記を書き終えて机にしまった。


 いつアナザーレイドや運命の神が関与してくるか分からないので、とりあえず人生のセーブポイントは作っておく。


 今のところ何もないけどさ…



 一階に降りると、揚げ物の香りがしてきた。

「今日は唐揚げ?」

「そうよ〜。ウチの人達に人気だからね!」


 お母さんはそう笑顔で言う。

 外の皮は薄いながらもカリッとしていて、噛むと直ぐに鶏肉の旨味が口に広がる。中は柔らかく噛むほどに肉汁が溢れてくる。

 衣にも味に工夫がしてあり、醤油や大蒜以外にコンソメを混ぜており、お母さんが秘伝のレシピと言うだけあって、何個でも食べられる仕組みになっている。



 二個三個と唐揚げに手を伸ばしている間に、弟とお父さんも食卓に座っていた。


「唐揚げだ〜」

 笑顔の弟。


「お母さん、ビールもお願い」

 お父さんは晩酌モードになった。


 ウチの家族はお母さんの唐揚げが好き過ぎる。かく言う私もだけど…



 ーーー

 夕食後、自室でシロマちゃんを呼ぶ。


「ねぇシロマちゃん、何か進展あった?」


 日課のように毎日訪ねていることだ。

 いつもなら、

「本日はアナザーレイドについて、お伝えすることはございません」

 と言われ、スキル練習に付き合ってもらっていた。


 しかし


「はい、対戦相手が決定致しました」

「え!?」


 前もって言われたいたことだが、あまりにも平穏な時の中で過ごしてしたため(もうアナザーレイドなんて無くなったんじゃ)くらいの感覚でいた。


「えっと…相手はどんな人?」


「対戦相手については、こちらをご覧下さい」

 そう言ってシロマちゃんが尻尾をピョコピョコと振ると、目の前に透明な薄いガラスみたいなものが出現した。何や文字と動画が写し出されている。


(おぉ、近未来の話でよく見るヤツだ)

 などと呑気なことを考えていると、画面から理解できる言葉が流れてきた。



 [春田メイ様の対戦相手は、第32世界『ラベルテル』という星にある「アトジュニ王国」に住う「アルツア」というモノです]


 そう画面が人の様な機械のような声で伝えてくる。

 同時に画面には青年の顔面アップが写し出された。画面下にはテロップのように[アルツア]と表示されている。


 [対戦日時は現時点から24時間後、場所は「ラベルテル」の「アトジュニ王国」となります。審判はレイドバトル公平委員会に属する全知技協会員が務めます]



 ん?場所は相手の星の、相手の国?

 開始は24時間後!?


「ちょっと待っ」

 [それでは皆様の健闘をお祈り致します]

 私の言葉を遮ってそういうと、シュンと画面は消えてしまった。



「ということです、メイ様。初めての対戦ですね!頑張りましょう!」


「いやいやシロマちゃん!質問したいことがいっぱいあるよ!」


 普通に「頑張ろう!」と言ってくるシロマちゃんに思わず声を張る。



 こうして私のアナザーレイドは、訳が分からないままに始まった。

ようやく本編へ辿り着いたなという感じです。まだ始まってもいませんが…


皆様が読んでくださることが励みです。

今後ともよろしくお願い致します。

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