始まりの知らせ
事故を回避したその日の夜、夢にメディテイカム様が現れた。
『ちゃんと死は回避できたようだね』
『ありがとうございます。頂いたスキルのおかげで死なずに済みました』
『これで漸くアナザーレイドに参加できるね』
『…まぁ気は進みませが…。助けて頂いた恩もありますし、何よりこの世界を無くす訳にはいきませんので』
本音は、戦うなんて無理だと思うが、世界が存続するかどうかが掛かっているんだから、やらなきゃいけない。
大切な人達は私が守る。
『うん、いい心がけだね。そういえばイムマニプラ様と会ったようだね?』
『どういうことですか?』
『あの方がメイ君に関与している時、私にはメイ君を監視する力が及ばないようになっている。ファイルからの報告で、イムマニプラ様と会ったと聞いただけで、実際のやり取りは知らないんだ』
そうなんだ…。メディテイカム様の力でも及ばないことあるんだ。
『まぁ僕ら創造主よりも遥か昔から存在しているらしいからね。多少の抵抗はできても、絶対的な力では勝てないのさ』
…そんな偉い人に思いっきりケンカ口調で喋っちゃったよ…。大丈夫かな。
『なんだかメイ君はイムマニプラ様に気に入られたようだし、しばらくは大丈夫なんじゃないかな?僕も何かあったら手伝うよ。レイドバトルには干渉できないけどね』
『ありがとうございます。なんでも、私を殺さないと、何かを紡ぎ直ししないといけないと言っていましたが…』
『それはきっと、彼女が創った命の関わりを、創り直さなきゃならないってことだよ。ホントはメイ君はもう死んでいるはずだったからね。
でも僕が関わって運命は変わった。それによって、周りの人達にも多かれ少なかれ影響があるのさ。一度書いた筋書きを誰かに邪魔されて書き直しになったら怒るのと同じことだよ』
そうか、と理解した。
だから躍起になって私を殺したかったのか。
納得はできないけどね!
『何はともあれ、イムマニプラ様もしばらくはこの世界の命の関わりを創り直すのに忙しいから、早々に関与することはないだろう。それよりアナザーレイドが始まるよ。何が起こるか分からないから、十分準備しておいてくれ』
『わかりました』
そう言うとメディテイカム様は姿を消した。
どんな敵がくるんだろう…
どうか、弱い敵でありますように。
…そんなこと祈っても無駄だったと、後日後悔した。
自分がわかりやすいよう、章分けしました




