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アナザーレイド  作者: 好日日和
死の運命編
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分岐点

 時間逆行してから気づいたことだが、自ら『変えよう』と意識しなければ、私は過去の私をなぞる様に行動する。


 今朝もそうだ。起きてからの行動は一週間前と変わらない。




 ただ違うのは、私がこの後起きることを知っているということ。


 2018年6月20日、メイはいつものように朝ご飯を食べ、私服に着替えて勤め先の病院へ行く。



 そう、一週間前と同じように。



 ーーーー


「行ってきます」


「行ってらっしゃい、気をつけてね」


 優しく母はそう言って私を見送った。



 気温はそんなに高くないが、梅雨時期とあって雨が降ることが多かったここ最近。


 ジメジメした感じと、これから日差しが強くなりそうな太陽を背に、私は自転車に跨る。



「メイ様、本日は…」


「もちろん知ってるよ。そのためにスキルの練習をしてきたんだから!」


 私は自分に言い聞かせるようにシロマちゃんの言葉に重ねて言った。


 不安、恐怖、焦り。色々な感情が胸の辺りをギュッと締めつける。


 手には既に汗をかいており、なんども緊張で唾を飲む。



 …ずっと考えてても仕方ない。

 念のため昨晩日記を書いておいたし、スキルがちゃんと発動するかは朝の行動の中でいくつか試しておいた。


 よし。



 覚悟を決めて私は自転車を漕ぎ始めた。



 ーーーー


 避けられるなら、事故には遭いたくない。


 そんな気持ちから自転車のスピードは遅い。


 家を出て数分後、一旦止まってスマホを見れば、電車を一本遅らせるくらいの時間になっていた。


 今のところ変わりはない。



 しかし時間としては、そろそろ事故が発生するはずだ。でも今は事故の現場とは違う場所にいる。


「やっぱり時間を遅らせるだけで事故に遭わないんじゃ…」


 そう呟いてスマホから目線を外して前を見ると、



 数メートル先に明らかに私に向かって、かなりのスピードで突っ込んでくる乗用車が見えた。


 驚きと恐怖感が一気に私を支配して、ただ呆然と動けないでいた。








「メイ様!」


 シロマちゃんの声がする。


 ハッと我に返って身体硬化を発動する。


 ほぼ同時に思考加速をさせ情報の処理能力を上げる。



 車が向かってくるスピードがゆっくりになった。



 思考加速をすると時間がゆっくりになる感じがする。

 簡単な例えだが、自分だけが人の10倍素早く動くことが出来ると周りの出来事がゆっくりに見えるのだろう。

 頭の中だけで人の10倍早く考える。


 …


 やっぱり私がこのタイミングで『事故に遭う』ということは確定しているみたいだ…


 時間をずらしたからといって事故が発生しない訳でなく、他の要因で死ぬ運命だったのだ。



 …


 でも今は違う!



 私は…


 絶対にその運命を変えてみせる!

いつもご覧頂きありがとうございます。

皆様に読んで頂けていることが本当に嬉しく思います。

よろしければ、下の評価ボタンかコメントをくださると幸いです。

よろしくお願い致します。

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