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アナザーレイド  作者: 好日日和
死の運命編
12/62

試してみよう 2

 シロマちゃんが準備してくれた空間でスキルを実際に使ってみる。


 試す順番は、

 身体操作→記憶保持→時間逆行

 の順だ。


 時間逆行から試しちゃうと、今日の仕事をやり直さなきゃいけなくなるから、それは後回しにしたい。



「じゃあ身体操作のスキルから試してみようかな。昨日は身体を硬くできたから、まずそれをやってみよう」


 目を閉じて身体が岩のようになることを想像する。すごい力で殴られたり切られたりしてもびくともしない、頭から足先まで覆う中世の甲冑をイメージする。


 そのイメージを保ったまま、シロマちゃんにまたハンマーになって殴ってもらう。



「メイ様、いきますよ」


 ヒュッと白いハンマーが私の腕にぶつかる。


 昨日と同様になんともない。


 次は足、次は背中、その次は…


 結果全身のどこを殴られても、私は痛みを感じなかった。もちろん怪我はない。



「では次は刃物切りつけてみますね。この国の『スパスパホウチョウクン』をスキャンして実体化します」



 …『スパスパ包丁君』って


『固いカボチャや分厚いお肉でも…ほら!この通り、力を入れなくてもスゥっと切れてしまうんです!』

 〈〈ワァー!スゴーイ!〉〉


『そして見て下さい!全く刃こぼれしてないんですよ!だから研がなくても次から次に…ほら!』

 〈〈エー!シンジラレナーイ〉〉



 の、あれだよね。お母さん含め、主婦の方々を虜にしている切れ味抜群の包丁。


 それを敢えて使うシロマちゃんって…


 なんて考えていたら、ふと身体操作のことを忘れていた。


 瞬間、白い包丁は目の前まで迫る。


 呆気にとられて私が動けないでいると、白い包丁は額の前で真一文字に刀身を払う。


 前髪がパラっと数本切られた。



「メイ様、他ごとを考えて身体操作を忘れましたね?身体操作で全身を硬化させていられれば、前髪すら切り落ちることはありませんでしたよ」



 私は嫌な汗をかき、息を呑んだ。


 身体操作を意識して発動していなければ、直ぐに生身の身体になってしまう。



「メイ様、集中力は持続できそうですか?まだスキルの練習は始まったばかりですよ」


 元の白マリモ状態に戻ったシロマちゃんが言う。


「う、うん。シロマちゃん、今()()()やったの?」


「はい、発動する意思がなければスキルは発動しませんので」


 そうだったんだ…でも確かに自分の意思で発動の切り替えができなかったら、私の身体は永遠に硬いままになってしまう。



 でも、人間の集中力が持続しないことなんて百も承知だ。


 何かしようと思ったとき、誰かに話しかけられたら、さっきまでしようとしていたことを忘れることがある。



 勉強中、自分は集中しているつもりでも、ついテレビや周りの音に気を取られたり、ペンでグルグル落書きしたりするのも、集中力が途切れている証拠だ。



 しかし、これでは戦いには勝てない。身体操作でダメージを軽減できる状態にあっても、他ごとを考えたり、不意打ちや予想もしない攻撃があっては身体操作は維持できない。


 例え維持できたとしても戦い自体に集中できないだろう。



 どうすれば…


 うーん。ずっと頭の片隅で身体操作を忘れないようにする?


 どうやって??


 忘れないように…する…


 忘れない…


 !!



「シロマちゃん、スキルの同時発動はできる?」


「可能でございます。ただし、スキル同士で整合性が取れない場合は発動いたしません」


「そっか…。うん!それならちょっと試してみよう!」

今日は風が強く寒かったですね。。


春が恋しいです。

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