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【WEB版】叛逆のヴァロウ ~上級貴族に謀殺された軍師は魔王の副官に転生し、復讐を誓う~  作者: 延野正行
10章 シュインツ城塞都市攻防戦

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第92話 シュインツ籠城戦

第9章『シュインツ城塞都市攻防戦』が開幕です!

 ルロイゼン城塞都市でヴァロウが、前線軍を圧倒する一方、シュインツ城塞都市でも、ルミルラとベガラスクが奮闘していた。


 ダレマイル上級貴族とチェッカー大将が率いる本国軍4万5千が、シュインツに立てこもる魔族軍第四師団とヴァルファル軍連合軍約6500に襲いかかる。


 部隊を3つに分けた本国軍は、北、東、南から攻め立てた。


 対して、ルミルラはドワーフの力も借りながら、シュインツを死守する。

 シュインツ城塞都市の城壁は高い。

 さらにドワーフたちの技術によって、より強固になり、生半可な火力ではビクともしないようになっていた。


 ダレマイルは城壁と城門の破壊を早々に諦める。

 数の有利を生かし、三方向から同時攻撃を展開した。


「行きなさい……」


 後方でダレマイルが指示を出す。

 出てきたのは、本国から持ってきた攻城櫓だ。

 木製でできた巨獣のような攻城櫓は、ゆっくりとシュインツに忍び寄る。


「放て!」


 対してルミルラは魔導兵を揃える。

 炎属性の魔法で、木製の攻城櫓を焼き払おうとした

 たちまち燃えるかと思ったが違う。

 火はすぐに消えてしまった。


「チッ! 櫓に水が掛けられているぞ」


「いえ。違います」


 ベガラスクの言葉を、ルミルラは即座に否定した。


 攻城櫓に水をかけるのは常套手段だ。

 だが、火の消え方が速すぎる。

 それに攻城櫓はここまで来るのに時間がかかっていた。

 水が乾き始めてもいいはずである。


 そもそも魔法の火は、水程度で消せはしない。


「では――!」


「おそらく攻城櫓全体に水神の加護魔法をかけているのでしょう」


 水神とは、名前の通り水の神である。

 その魔法はあらゆる火属性魔法から守ってくれるのだ。


「どうするのだ?」


「大丈夫ですよ。これも予測の内ですから……」


 ルミルラはベガラスクを安心させるように笑う。


 2人で議論する間にも、攻城櫓はシュインツの城壁に迫る。

 ギリギリで止まると、攻城櫓の最上部に現れたのは、魔導兵部隊だった。


 すでに呪唱を完了していた魔導兵たちは、魔力を解き放つ。


 【樹在縛鎖(ドリアード・バイン)】!


 すると反応したのは、木製の攻城櫓だった。

 魔法によって、木の中にある木霊と交信が可能になる。

 魔力を解き放った時には、すでに呪令(コマンド)ができあがっていた。


 攻城櫓から太い樹木の枝が伸びる。

 幾重にも絡まりながら、がっしりと城壁を捕まえた。

 突如、攻城櫓と城壁の間に橋ができあがる。


「放て!!」


 ルミルラは自軍の魔導兵に指示を出す。

 炎属性の魔法で焼き払おうとした。


「くふふふふ……。無駄ですよ」


 後方でそれを見ていたダレマイルは、肘掛けに全体重を載せるような体勢のまま不気味に笑った。


「攻城櫓には既に水神の加護魔法がかかっています。そして、攻城櫓に作られた木霊と交信したその魔法もまた、加護が交信されているのです。通じませんよ。ちょっとやそっとの炎では……」


 勝ち誇るように笑った。


「はは……。そんなの予想通りですよ」


 ダレマイルの笑声を聞いていたのか。

 ルミルラは口角を歪めた。


「魔導兵の炎属性魔法はカモフラージュです。本命を隠すためのね」


 そう。

 炎は通じなかったが、大量の炎属性魔法が投入されたため辺りは紅蓮に染まっていた。

 城壁の状況がイマイチわからず、先鋒の部隊がなかなか飛び移れない。

 その間にも階段状になった攻城櫓の内部は、1つでも手柄をあげようと躍起になったダレマイルの兵で溢れかえる。


「早く行け!!」

「ビビってんのか!」

「俺が行く!」

「前を開けろ!!」


 殺気立っていた。


 一方、ヴァルファル軍の魔導兵の魔力が尽きかけていた。


「ルミルラ様、そろそろ……」


「ええ……。ありがとう。十分よ」


 魔導兵の魔法が止まる。

 紅蓮の炎が消えた。

 その瞬間、本国軍は城壁に殺到する。


 はずだった。


「「「「――――ッ!!」」」」


 ギョッと目を剥いた。

 魔法でかけた枝を伝い、城壁に取り付こうとした兵たちは凍り付く。


 何故なら、2門の火槍がこちらを向いていたからだ。


「火槍……?」


 その様子は後方にいるダレマイルでも目視できた。

 細めの女ならすっぽり入れそうな砲門が、攻城櫓の方を向いている。


「しまった!!」


 ダレマイルは輿の上で前のめりになった。

 上級貴族の顔が珍しく焦りに歪む。

 しかし、後悔する時間も、後退を指示する時間もなかった。


 瞬間、火槍は火を吹いた。



 どぅぅうううんんんんん!!



 まるで腹に直接鉄球を落とされたような重苦しい音が響く。

 ヴァロウは戦地で花火を打ち出すために火槍を使った。

 通常の火槍は鉄球を打ち出すものである。

 だが、花火を作った時に、その構想はできあがっていた。


 今、ルミルラが装填させた弾薬は、花火玉でも鉄球でもない。


 炸裂弾だ。


 火槍から放たれた砲弾は、攻城櫓の中に消えて行く。

 その瞬間――。



 どがあぁぁぁぁあああんんんんん!!



 派手な音がまき散らされた。

 爆風が弾け、一瞬にして攻城櫓の上階が吹き飛ぶ。

 さらに暴れ回る爆風は下へと広がった。

 攻城櫓の階段部分で今か今か待ち続けていた兵たちは為す術なく爆風に巻き込まれる。


「「「「「「ぎゃあああああああ!」」」」」」


 断末魔の悲鳴がシュインツ城塞都市外にこだまする。


 攻城櫓の上が崩れると、一気に階下も崩れた。

 シュインツの城壁に肉薄しようとした攻城櫓が、中心からポッキリと折れる。


 一気に100名近くの兵が、爆風と火の海に沈んだ。


 巨獣が墜つような姿に、ベガラスクは息を呑む。


「火槍は通じるのか?」


「水神の加護魔法が通じるのは、魔法の炎だけです。火矢ぐらいなら防げますけど、基本的に物理的な炎や爆風には通じません」


 魔法は便利だが、最近では対策魔法の進化も著しい。

 一方で火槍のような廃れてしまった兵器には疎い司令官が多い。

 きちんと運用し、進化させていけば、火槍は魔導兵以上の戦果をもたらすポテンシャルがある――そうルミルラも、師匠であるヴァロウも考えていた。


「アルパヤさん、見事です」


 ルミルラは振り返った。

 火槍の側には炸裂弾を設計したアルパヤが次弾の装填を指揮している。

 突然褒められると、褐色の肌が赤く染まった。


「あ、ありがとう。領主様に褒められるのは、やっぱ嬉しいな。えへへへ」


「炸裂弾の信管のタイミングもバッチリでしたね」


「火薬の扱いはドワーフの専売特許みたいなものだからね」


 アルパヤは鼻の頭を掻く。


 すると――。


「ルミルラ様!」


 興奮した声を上げたのは、ヴァルファル軍副司令だった。


 指先を城外へと向ける。

 同時に歓声が上がった。


「本国軍が引き揚げていくぞ!」

「やったぁぁぁああ!」

「今日も守りきったぞ!」

「もう来るなよ、本国軍!!」


 本国軍が野営地の方へと退いていく。

 その姿をルミルラもまた焼き付けていた。


「退いてくれましたか。まあ、攻城櫓を失いましたからね。精神的なダメージを考慮してでしょ」


「ふん。オレなら一息を付かず、戦わせるがな」


「さすがは魔狼族、勇ましいですね」


「当然だ!」


 ベガラスクは顎を上げて、胸を張った。


「人間はそう簡単に割り切れませんよ。同族同士の戦いですからね。見た目は健康でも、精神的な疲弊は大きいでしょう」


 戦い慣れていない本国軍なら尚更だろう。


 すると、ルミルラはベガラスクの方へ向き直った。


「ベガラスク様」


「なんだ、ルミルラ。改まって……」


「折り入ってご相談があるのですが」


「ふん」


 ベガラスクは鼻息を荒くした。

 その反応に、ルミルラは首を傾げる。


「あの? 何か?」


「いや……。今見せたお前の顔な」



 オレがもっとも嫌いなヤツに似ていると思っただけだ。


ルミルラとベガラスクの息の合った(?)やりとりをお楽しみに!

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