表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】叛逆のヴァロウ ~上級貴族に謀殺された軍師は魔王の副官に転生し、復讐を誓う~  作者: 延野正行
6章 メッツァー潜入

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/190

第53話 メッツァー

 一悶着こそあったが、ヴァロウとペイベロはメッツァーに到着した。


 城門をくぐった瞬間、わっと押し寄せるように人の声が聞こえてくる。

 所狭しと人が溢れ、露店が溢れ、盛況の良い声が溢れている。


 人、人、人だ。


 城門近くにまで店が出ている。

 普通は警備の関係上、どこの城塞都市も城門近くの商売は許されていない。

 もちろん、住居もである。


 だが、先ほどのペイベロのように衛兵に金を握らせているのか。

 堂々と露店が並んでいる。

 そこに衛兵たちが、買い物をしてるような始末だ。


 メッツァーの人口はおよそ48000人。

 対して、城塞都市の広さでいえば、さほど広くはない。

 同盟都市の中では大きいが、人類が作った都市の中では、3万人を越える都市の中では小さい方だろう。

 故に、人口過密の問題が昔から起こっていた。


「相変わらず、人だらけですね」


「メッツァーに来たことがあるのか?」


「ええ……。元々上得意様ですからね、メッツァーは。あ……。でも、私のつては諦めて下さいよ。お上の息がかかってますから」


「わかっている。最初から当てにしていないから心配するな」


「なんか……。その言い方は若干傷つくなあ……」


 ペイベロは肩を竦めた。


「それで、ヴァロウ様。これからどこへ行かれるのですか? メッツァーは初めてとのことでしたが」


 メッツァーは比較的新しい都市だ。

 軍師時代、ヴァロウがルロイゼンを攻略した後に、ルロイゼンよりも利便性がよく、大きな要塞が作られた。

 それがメッツァーである。


 最初期こそただの要塞で、4万人も住めるような都市ではなかった。

 最前線が上がったことによって、橋頭堡としての有用性が下がり、住民を住まわせることによって、拡充してきたのだ。


 その名残がメッツァーを代表する3段の城壁である。

 先ほどくぐった城門のさらに内側に、2段の城壁がほぼ等間隔に配置されている。

 これはメッツァーを守るためではなく、都市の発展とともにできあがったものだ。


「ルロイゼンの3段城壁と比べると見劣りはしますが、メッツァーの城壁もなかなか壮観ですね。あの壁は厄介ですよ、ヴァロウ様。どう攻略するつもりですか?」


「攻略しない」


 ペイベロの質問に、ヴァロウは軽く切って捨てる。

 肩すかしの返答に、ペイベロは目を瞬いた。

 ヴァロウは説明を加える。


「少数は我らの方だ。メッツァー軍が籠城することは考えにくい。それにここの領主がそれを良しとはしないだろう」


「メッツァー領主バルケーノ・アノゥ・シュットガレン。別名『竜王』ですか。昔は猛将と名を馳せたそうですが……。確かに籠城は考えにくいですね。しかし、メッツァーには、竜騎士部隊がいます。野戦で勝てますか?」


「そのために、ここに来たのだ」


 ヴァロウの言葉は力強い。

 負けることを微塵も感じていない、というよりは、強い戦う覚悟をその身からほとばしらせていた。


 すると、ペイベロは不意にぶるりと背筋を振るわせた。

 二の腕をさする。


「ヴァロウ様、先ほど妙な気配がするのですが、わたくしの勘違いでしょうか? 誰かに見られているような……。まさか見張られている――?」


 ペイベロは後ろを振り返る。

 ちょうど2人は大通りから外れた裏路地を進んでいた。

 荒ら屋が並ぶ下町の一角で、薄暗い通りが続いている。


 ペイベロは思わず息を呑んだ。


「心配するな。追っ手はない」


「は、はあ……。では、わたくしの勘違いでしょうか?」


「いや、あながち間違っていない」


 ヴァロウも感じていた。

 ずっと誰かに見張られているような感覚を……。

 しかし、それはヴァロウたちだけに向けられたものではない。


 メッツァー全体に向けられていた。


(大きな覇気のようなものを感じる。まるですべての都民を包むような……)


 これが『竜王』バルケーノか、とも考えた。


 ヴァロウは彼の現役時代を知っている。

 勇者のような特異な能力はなかったが、猛将という言葉に嘘偽りはない。

 鬼神のように魔族を打ち払い、十万の魔族を蹴散らしてきた。


 メッツァー全体に感じる覇気が、本当にバルケーノのものであるなら、いまだその力は衰えていない良い証拠だろう。


 とはいえ、猛将1人いても、戦略と戦術の前には無意味――というのが、ヴァロウの持論である。


 たとえ、バルケーノがどんなに化け物であっても、決して自分の手の平からは逃さない。


 ヴァロウにはその自信があった。



 ◆◇◆◇◆



 バルケーノ・アノゥ・シュットガレンは、宮殿ブロワードでもっとも高い位置にあるバルコニーに立ち、メッツァーの街を見下ろしていた。


 鼠色の髪と、紫紺のマントを揺らし、腕を組んでいる。

 目をかっと開き、街を眺めているというよりは、睨み付けていた。


 すると、口が開く。

 にぃ、歯をむき出した。

 力を入れすぎたのか、奥の方で歯が欠けたような音を鳴る。


「ここにいましたか、閣下」


 殺気に近いオーラを纏う領主に声をかけたのは、参謀兼大臣のレドベンだった。


 早速、持っていた書類を捲り、報告する。

 だが、その前にバルケーノが口を開いた。


「鼠が入り込んでおるぞ」


「はっ?」


「出るぞ」


「え? いや? どこへ?」


「決まっておろう……」



 戦場よぉ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿しました! よろしければ、こちらも読んで下さい。
↓※タイトルをクリックすると、新作に飛ぶことが出来ます↓
『前世で処刑された大聖女は自由に暮らしたい~魔術書を読めるだけなのに聖女とかおかしくないですか?~』


コミックス1巻、好評発売中です!
『叛逆のヴァロウ~上級貴族に謀殺された軍師は魔王の副官に転生し、復讐を誓う~』

↓↓表紙をクリックすると、コミックポルカ公式HPへ↓↓
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large

ニコニコ漫画、pixivコミック、コミックポルカ他でコミカライズ絶賛連載中!
↓↓表紙をクリックすると、コミックポルカ公式HPに行けます↓↓
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large

小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ