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【WEB版】叛逆のヴァロウ ~上級貴族に謀殺された軍師は魔王の副官に転生し、復讐を誓う~  作者: 延野正行
6章 メッツァー潜入

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第52話 入城

21,000pt突破しました。

ブックマーク、評価いただいた方ありがとうございます。

引き続き更新頑張ります!

 衛兵は差し出された通行手形を確認する。

 次に本人たちに鋭い視線を放った。


 2人組。

 通行手形には商人と書かれている。

 だが、商品のようなものは持っていない。

 荷馬車すら引いていなかった。


「どこから来た?」


「シュインツです」


 頭に三色のターバンを巻いた長身の男は、答えた。

 途端、衛兵の顔色が変わる。

 明らかに警戒した様子だった。


「あのシュインツ……」


「ええ……。そうです。聞いて下さいよ、衛兵さん。シュインツで商売をしていたら、いきなり魔族が襲いかかってきましてね。命からがら逃げてきたんですよ。おかげで儲けは0です。とほほほ……」


 やや芝居がかった動きで語る。

 すると、周りの衛兵たちは「がははは」と笑った。

 人の不幸話が好きなのか。

 妙にいやらしい笑みを浮かべている。


「そういうことか」


 目の前の衛兵は警戒を解いた。

 長身の男は一瞬口元を緩めるが、すぐに弱り顔に戻る。


「大変だったな。通っていいぞ」


 手で合図を送る。

 「どうも」と胸に手を当て、長身の男がお辞儀しようとしたが。


「きゃあああああ!!」


 悲鳴が上がった。

 女が衛兵と何か言い争っている。

 側には子どもがいて、苦しそうに息をしていた。


「お願いです! せめて薬だけでも!!」


「ダメだ! お前らはゴドーゼンの住民だろう!? 反乱に荷担した都市の住民は誰も入れるなというお達しだ! 命があるだけでも有り難く思え!」


「そんな! 私は反乱に荷担してません。ただ見ていただけで……」


「ふん! 関係ない。そもそもそれを証明できるのか?」


「それは――」


「出来ないだろう。さあ、行った行った!!」


「ダメなんです。早くこの子に薬を与えないと……」


「うるさい!」


 衛兵はとうとう母親に手を上げた。

 その子どもは母親に駆け寄るも、ふらりとすがりつくように倒れてしまう。


 その様を見て、衛兵の態度は変わらない。

 ふん、と鼻息を荒くし、そっぽを向いた。


「ゴドーゼンからの難民ですか?」


 長身の男は尋ねた。


 衛兵は少々めんどくさそうに兜を撫でる。


「ああ。反乱後、難民がああしてやってくるんだ。だが、メッツァーでは受け入れていない。彼らは全員反乱軍ということになっているからな。ははっ……。馬鹿な連中だ。お上に逆らっても、なんの得にもならねぇってのに」


 衛兵はししし、と笑う。

 まるで鼠の笑顔を見ているかのようだった。


「さ! あんたら、あっちだ。行け」


「はい。ありがとうございます。行きましょう、ヴァロ――じゃなかったヴァル(ヽヽヽ)


 長身の男が振り返る。

 だが、すぐ後ろに控えていたはずの連れの姿がなかった。


 辺りを見回す。

 先ほど衛兵といざこざを起こした親子の側にいた。

 倒れた女を起し、子どもの病気の具合を診る。


「この薬を飲め……。後は十分な栄養を取るんだ」


 連れは硝子瓶に入った薬と、パンを衛兵たちに見えないように渡す。


「足りないようなら森に行け。今の時期の獣は大人しいから、襲われる心配はない。マザランというブツブツとした赤い実が食べられる。それで飢えをしのげ」


「あ、ありがとうございます」


 母親はぶわっと涙を流し、深く頭を垂れる。

 人間の感情が激しく露わになっても、男の表情は変わらない。

 衛兵を一瞥した後、再び忠告した。


「衛兵に見つからないように早く隠せ。行け――」


「ありがとうございます。ありがとうございます」


 母親は言われた通り、薬とパンを隠す。

 子どもを担ぐと、メッツァーの城門から離れていった。


 男は見送る。


「お前、今あの親子に何をした」


 衛兵は問い詰める。


「ヤツらは反乱に荷担したものたちだ。ヤツらを助けるというのは、反乱に荷担したも同然だぞ」


 衛兵は槍を構える。

 すると、男は振り返った。


 ヘーゼル色の瞳を光らせ、衛兵たちを睨んだ。


「「「「――――ッ!!」」」」


 瞬間、衛兵たちは凍り付く。

 自然と槍を持つ手が震えた。


 妙な緊張感が漂い、入城を待っていた他の人間たちも顔を向ける。

 異様な雰囲気に飲み込まれ、沈黙した。


「これは失礼しました」


 割って入ったのは、長身の男だった。

 衛兵の前に揉み手をしながら、歩み寄る。


「うちの連れが大変失礼を……。ここはどうか、これで――」


 ペイベロは衛兵の手をギュッと握る。

 その感触に、衛兵は満足そうに顔を歪めた。


「ふん! 気を付けろ! 行け!!」


 槍を振るう。


 長身の男は連れの手を引き、ようやく城門をくぐった。


 歩きながら、長身の男は口を開く。


「危ないことをなさりますね。気持ちはわかりますが、それは偽善というものです。お忘れですが、反乱を煽ったのは我々ですよ」


「…………甘い、と思うか? ペイベロ」


 長身の男は首を振る。


「いえ……。ただ時々、あなたが人間のように見えて仕方がない。そうやって、角を隠しているお姿を見ると、特に……」


「…………」


「ザガスさんや、あのベガラスク師団長は、生粋の魔族だと思います。ですが、あなたとメトラさんはどこか違う」


「そうか……」


 ヴァロウはそれだけ行って、城門をくぐる。


 そして現れたのは、大要塞同盟主都市メッツァーの姿だった。


面白い! 更新はよ!

と思っていただいたら、

是非ブックマーク、最新話下欄の評価をお願いします。

作者はモチベーションが上がると、更新したくなる病にかかってます。

よろしくお願いします。

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