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【WEB版】叛逆のヴァロウ ~上級貴族に謀殺された軍師は魔王の副官に転生し、復讐を誓う~  作者: 延野正行
5章 シュインツ攻略戦

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第46話 シュインツ陥落

次は25000ptに向けて頑張ります。

応援よろしくお願いします。

 シュインツ陥落……。


 その報告はすぐに大要塞同盟主都市メッツァーに届けられ、領主バルケーノの知るところになった。

 ブロワード宮殿に泊まったルミルラも同じ報告を聞く。


 シュインツにはゴドーゼンの『風の勇者』、テーランの重戦士部隊のような主戦力となる武将タイプがいない。

 その代わり、メッツァー以上に高い城壁と、優秀な工兵部隊を整えている。

 2、3日ぐらいなら余裕で魔族の攻勢に耐えられると思っていた。


 しかし、報告によれば半日も保たなかったという。


 バルケーノは眉を顰めた。


「一体、どんな大軍で攻めてきたのだ、ヤツらは!」


 レドベンに詰め寄る。


 軍務参謀と大臣を兼任するレドベンは、三角縁の眼鏡を釣り上げながら、答えた。


「報告によれば、およそ3000……」


「3000だと!」


 バルケーノは思わず声を荒らげた。

 今にもレドベンに掴みかかりそうな勢いで、顔を赤くする。

 その表情を見て、レドベンは震え上がった。


「愚か者どもめ! 高々倍数の兵力で城塞1つ守れないとは……。シュインツの領主は、そんなに無能だったのか?」


 バルケーノは唾棄する

 だが、横でやりとりを見ていたルミルラは冷静だった。


「落ち着いて下さい、父上」


「落ち着いていられるか! ルロイゼンに続き、シュインツまでヤツらに落とされたのだぞ。大要塞同盟の3分の1の都市が、悪魔どもに奪われたのだ。落ち着いていられる方がどうかしている」


「ごもっともだと思いますが、まずはお平らに……。問題はシュインツが落とされたことではありません」


「なんだと? どういうことだ?」


「問題は一体どこから3000の兵が現れたか、ということです」


「ルロイゼンに決まっておろう」


「恐れながらバルケーノ様……」


 親子の会話に割って入ったのは、レドベンだった。

 ルミルラが言いたいことに気付いたのだろう。

 彼女に代わって、参謀が説明を始める。


「我々が知り得る情報では、ルロイゼンにいる魔族の数は1000名余りと思っておりました。そのほとんどが、魔物やアンデッドです」


「それが一気に2000も増えたか……。どうせアンデッドを増やしただけではないのか?」


「それは違います。報告によれば、魔狼族も含まれていた、と……。また確定情報ではありませんが、第四師団ベガラスクの姿もあったそうです」


「第四師団!!」


 その報告には、さしもの『竜王』といわれた男も声を張り上げた。


 ルミルラは神妙に頷く。


「そうです。その第四師団がどこから現れたか、それが問題なのです」


 魔族本国は遥か彼方だ。

 2、3人の魔族ならまだしも、2000の兵が人類の支配権を抜けて、ルロイゼンにやってくるのは、どう考えてもおかしい。


 仮に大軍を送り込める転送魔法を、魔族が開発したならば、たちまち内地は大騒ぎになるだろう。


 そういう意味もあり、慎重に分析をしなければならない――というのが、ルミルラの意見だった。


「ふん。まあ、良い」


 バルケーノは会議室の椅子にどっかりと腰を下ろす。

 髭をさすり、ようやく心を落ち着かせた。


「これで決定的だ。ちまちましていれば、シュインツの二の舞になるぞ」


「お待ち下さい、父上! 相手の出方を見るべきです。それに昨日、申し上げましたが、先の反乱でまだ戦力が整っていません」


「武器の調達を急がせろ!」


「お、恐れながら我が主……」


 レドベンは頭を下げる。

 1度、眼鏡をかけ直すと、報告書を見ながら答えた。


「武器防具ですが……。すべてシュインツに発注しておりました。今、メッツァー中の鍛冶屋に頼んでおりますが、時間はかかるかと」


「まさか……。シュインツを狙ったのは、そのため――」


 ルミルラは顎に手を置き、1つ頷く。

 娘は冷静に受け止めたが、父親は違った。


「なんたることだ!!」


 バルケーノは机を叩く。

 まるで灼熱の炎のように息を吐き出した。


「鍛冶屋に見張りを付けろ! ヤツらを1日中働かせるのだ! 休みを与えるな!!」


「そ、それでは鍛冶師が死んでしまいますぞ」


「魔族に殺されるのと、過労死で死ぬとのどっちがいいのだ。それでも死を選ぶというなら良かろう。我自ら刃をくれてやるわ!」


「父上! 横暴が過ぎます! 先の反乱で、メッツァーでは反戦の機運が高まっているのに。これ以上、民を刺激するのはお止め下さい」


「口出しするな、ルミルラ! ここは我が治める都市ぞ。それとも、ヴァルファルにもふれを出してやろうか? 大要塞同盟主都市の総領主として」


「…………」


 ルミルラは反論しなかった。


 大要塞同盟の主都市の総領主でも、ヴァルファルの政治に口出すことはできない。

 それができるのは、中央の大臣級ぐらいだろう。


 つまり、バルケーノはその判断すらできないほど、怒り狂っているということだ。


 だが、決してバルケーノは猪突猛進な武将ではない。

 時間が経てば、冷静になるだろう。

 そういう意味では、戦力が整うまでの時間があるのはありがたいことかもしれない。


「父上、私はヴァルファルに戻ります」


「ああ……」


 それ以上、何も言わず、バルケーノは机に広げられた地図を見つめる。

 別れの言葉はなく、ルミルラは少し寂しげに会議室を後にした。


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