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【WEB版】叛逆のヴァロウ ~上級貴族に謀殺された軍師は魔王の副官に転生し、復讐を誓う~  作者: 延野正行
5章 シュインツ攻略戦

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第43話 魔導工学

ジャンル別順位が7位で、1歩後退です。

でも、まだまだ頑張ります!

本日3回目の更新です。楽しんでいただければ……!

「いやぁ~。魔族様たちが来てくれて、ホント助かったよ」


 と言ったのは、アルパヤだった。

 他のドワーフたちは神妙な顔をしていたのに、彼女はニコニコしている。

 そしてこの発言だ。

 戸惑ったのは、ヴァロウたちの方だった。


 そのヴァロウが眉を顰める。


「助かった?」


「だってさ。人間って人使い荒いんだよ。納期は短い割りに、質にはうるさいし。それなのに、金額をまけろっていってくるんだよ。もうめちゃくちゃだよ。この前も、メッツァーから大量の受注があってさ」


「メッツァーから?」


 尋ねたのはメトラだった。


「うん。ほら……。前に大きな反乱があったでしょ。その時に壊れた武器とかの補修とか、武器の新作とか注文が来たんだけどさ。普通なら3ヶ月かかるのに、2週間でやれっていうんだよ。みんな、何も言わないけど……。ボクみたいに助かったっていう人、結構いると思う」


「ふざけるな!」


 棍棒を振り下ろしたのはザガスだ。

 その横のベガラスクも鋭い視線を放っている。


「助かっただあ……。オレ様はお前らが裏切ったのを許してなんかねぇぞ」


 ザガスは、アルパヤの被っているベレー帽が吹き飛ぶぐらいの怒気を放つ。

 しかし、アルパヤが縮み込むことはなかった。

 冷静に地面に落ちたベレー帽を拾い上げ、被り直す。


「気持ちはわかるんだけどさ。ボクは第二世代なんだ。そこのところよくわからないんだよね」


「第二世代? もしかして、あなた……。人間に支配されてから生まれたっていうの?」


「まあね。一応、話は聞いてたけど、ピンとこないっていうか……。あ、着いたよ」


 アルパヤの足が止まる。

 ヴァロウたちは同時に顔を上げた。


 そこは大きな倉庫だった。


 いや、倉庫というのもおこがましいかもしれない。

 屋根は穴が空き、梁も細い。

 やっと立っているのが精いっぱいといった感じだ。


 ただ背が高いだけの荒ら屋という印象だった。


「ここは?」


「ボクの家さ。さ――。入って! 入って!」


 ヴァロウたちを促した。

 言われたとおり、中に入る。

 倉庫の中は真っ暗だった。


「おい! なんも見えねぇぞ!」


 ザガスが叫ぶ。


 ちょっと待って、とアルパヤの明るい声が聞こえてきた。

 すると突然、光が閃く。

 魔法の光だ。

 だが、アルパヤが魔法を唱えた様子はない。

 ただ何かのレバーを下ろしただけだった。


 ヴァロウは顎をさする。


「魔導工学か……」


「あ。よく知ってるね、お兄さん」


 アルパヤは瞳を輝かせた。


 魔導工学とは、人が使う魔法を別のもので代用させようという試みである。

 魔法鉱石(ミスリル)に魔法を閉じ込め、何らかの方法で発動を遅延をさせて、遠隔地から発動させたり、指定の時間に発動させたりする技術だ。


 ヴァロウがラングズロス城を破壊した時も、この技術が使われていた。


 だが、まだまだ発展途上で、知名度は低い。

 高度な知識が求められるため、技術者の育成も難しい。

 研鑽していけば、戦争のやり方すら変わるのに、敷居の高さが邪魔をして、国もなかなか予算が付けづらいという現状にあった。


 それを積極的に取り入れようとしていたのが、人間だった頃のヴァロウなのだが、事如く上級貴族たちに邪魔をされてしまった。


 訳のわからない技術に、金は出せないというわけである。


 そんな高度な技術が、まさかシュインツ――しかもこんな荒ら屋で見られるとは、さしものヴァロウも予想していなかった。


 そのヴァロウは質問する。


「誰に教わった?」


「前のここの領主だよ。変わった人でさ。何かと中央に楯突いて、結局脱税容疑で捕まっちゃった。たぶん今頃、本国の牢屋の中だよ。本人は『陰謀だ!』って騒いでいたけどね」


「名前は?」


「メフィタナさんだよ。下の名前は忘れちゃったけど」


「め、メフィタナ博士!!」


 素っ頓狂な声を上げたのは、メトラだった。


「ああ……。あの人か……」


 ヴァロウもまた額を抑えた。


「なんだ、お前たち? 知ってるのか?」


 ベガラスクはギッと睨む。

 メトラは目を右往左往させながら狼狽えた。


(さすがに王女時代の私の家庭教師で、ヴァロウ様の師匠に当たる人とは言えないわね)


 メトラは心の中で苦笑する。


 変わり者ではあったが、メフィタナは大陸一の賢者といわれていた。

 本人は「古くさい」と綽名が気にくわなかったようだが、その知識量と先進的な理論や哲学は、他の追随を許さず、間違いなく天才と呼べる人物の1人だ。


 その天才に天才と言わしめた人間がいる。


 それが今、メトラの隣にいる人物。


 ヴァロウである。


 そのヴァロウは言葉に詰まるメトラに助け船を出した。


「資料で見ただけだ。変わり者らしい。自分を科学者(とががくしゃ)と呼んでいるそうだ」


「なんだそりゃ?」


 ザガスもまた目を細める。


「神に楯突く研究をしていると、本人は自負してる。俺も詳しくは知らん」


 すると、ベガラスクはアルパヤに向き直る。

 鼻から荒い息を吐き出した。


「ふん。……で、娘。オレたちに一体何を見せようというのだ。まさかこの荒ら屋を見て欲しかったわけではあるまい」


「荒ら屋なんてひどいなあ。ここはもっとも科学(とががく)が進んだ前線基地なんだよ」


 すると、アルパヤは倉庫の奥の方へ歩いて行く。

 そこには布と縄にくるまれた大きな構造物があった。

 アルパヤは丁寧に縄を外す。


 衣擦れの音とともに、それは現れた。


「な、なんだこりゃ!!」


 ザガスは度肝を抜かれた。

 横のベガラスクも、メトラも言葉を失っている。

 ただヴァロウだけが無表情にそれを見つめていた。


 それは一見、人馬の形をしていた。


 だが、この世に金属だけでできた人馬はいない。


 しかし、それは全身を魔法鉱石(ミスリル)製の鋼板に覆われ、人を軽々と掴めそうな腕と、長い胴、4本の足を持っていた。


 肩となる部分の上には頭のようなものがあり、沈黙している。


「じゃーん。これがボクが作った魔導人馬型兵器キラビムだよ」


 再びアルパヤは胸を反らせるのだった。


面白い! 更新マダー!

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