幻の食材とレアドロップを求めて2
本日、幻の食材とレアドロップを求めて1、2を更新!
1階、2階は特に強い敵は居なく、ナズナとデオドールが前を歩きサクサクと進む。
レアドロップもクリスティーナが狙う食材も3階から現れる為、1、2階はサクッと進み3階を目指す。
「これ、なんのお肉ですか?」
「それはスノーボアのお肉だよ」
「え!! 柔らかいし臭みも無い」
「クリスティーナちゃんの手にかかれば! 筋張っていて硬く臭みあるお肉だって絶品に変えちゃうんだから!」
えっへん! と胸を張るクリスティーナの腕には籠が掛かっていて、溢れるくらいのサンドイッチが入っていた。
バターロールに、シャキシャキサラダとお肉に照り焼きのタレが絡んでジューシー!
タマゴサラダとツナの3種類でおかわりもたっぷりある。
「あ、敵来た。スイー」
「❀#♬✿✤♯~♪~(今食べてるのにぃ~)」
食べ歩き感覚でサンドイッチをもぐもぐ。
そんな時にも敵は出てくるからやっぱり倒さないといけなくて。
スイは食べ始めたばかりで口をもぐもぐ、手にはサンドイッチを持ったままハープを装備。
現れた敵は50体。
弱い分数が多いのかゾロゾロと出てくる。
「あの、いいんですか?」
「え? 何が? ジュースいる? 今日は果汁100%」
「あ、クリスティーナさん。私にもください」
清水の困惑した表情はスイを見ていた。
片手にサンドイッチを持ったままハープを構えたスイの隣に立つ人はいない。
むしろ、クリスティーナ達は後ろでピクニックをしそうな勢いだ。
「スイさんだけですけど……」
指さす先にはまだゆっくりともぐもぐしているスイ。
片手に持ったハープは地面に接触していて支えているくらいだ。
「大丈夫大丈夫」
「問題無いと思うのですよー」
あむ! とお肉の挟まったサンドイッチを食べる。
お肉のが一番人気、多めに作ってるので足りないなんてことはなさそうだ。
「私の分も残しておいてくださいねー!」
ハープをぶんぶん振りながら言うスイにクリスティーナは、はいはーい! と返事を返した。
「スイー! 倒しきったらデラックスガトーショコラ用意するよー! まだ試作品だけど!」
あのカラオケで食べたデラックスガトーショコラの事だろうか。
スイの目が光り、大量に押し寄せてくる敵を睨みつけた。
「…………デラァァァァァクス!」
ぐっ! とハープを掴み走り出した。
そのまま振りかぶる。
「ガトォォォォ!!!」
前列の右から左に向かい敵をなぎ倒す勢いで振るう。
「ショコラァァァァァァァァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
振り抜いた勢いとその衝撃で前列から3分の2が吹き飛んだ。
「………………え?」
「大丈夫っていったじゃない?」
「むしろ、お城が壊れないかが心配ですね」
リィンの言葉は決して冗談ではない。
その証拠に壁の一部と柱が破壊されている。
バフによる底上げの無いたった一撃で、である。
「スイー、壊したりしないでよー」
「……はっ!」
スイは動きを止めて壁を見る。
破壊されて青空が見えていた。
「き、気をつける」
手を上げて言うスイに、清水はクリスティーナの腕を掴んだ。
「え? え? どうなって……」
「あら? スイの戦うところ見たことない?」
「………俺、公式イベント仕事で……」
「なるほど。イベントの動画も見てなかった?」
「………全部は映ってないですから、そんなに詳しくは」
「そっかー……」
慌てる清水に、クリスティーナをはじめクラメン達はスイを見る。
「………………バフ職ってこんなんだっけ……?」
イズナの言っちゃいけない一言に、無双を決めるスイをみんなで白い目で見る。
「…………これが補助職なんだよ? 信じられる?」
バキ! グチャ!
おらおらおらおら!!!
「ガトーショコラのためにぃぃぃ」
お城を壊さない為に直殴りに変えたスイ。
青いイルカさんの口から血が滴っているが、返り血である。
「イルカさん、吐血してるよ?」
「強く生きて、イルカさん」




