表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界にエコカーで行く  作者: タコ中
日本転移編
59/61

五十九話 最悪の事態

 診療所の待合室では年老いた男性が腹から血を出して死んでいた。エイリアンの卵を産み付けられたんだろうな。


「AEDの置き場所は有ったけど本体が無かったよ」

「どこかで使ってそのままなんだろう。とりあえず診療所内に無いか探すぞ」


 診察室1と書いてある部屋に入ると、白衣を着た中年男性が首をつって死んでいた。この診療所の人だろうな。見た感じAEDは無さそうだ。次の部屋に行こう。

隣の部屋に入ろうとすると奥の部屋から金澤が出てきた。


「そこは何の部屋だった?」

「レントゲン室だったよ。特に荒らされた形式もないし、AEDも無かったよ」


 ゴトッ


「何の音?」

「今入ろうとしていた部屋からだ。」

「止めとこうよ。普通のエイリアンだったら勝てないよ」


 もし、この部屋にAEDが有れば美香は助かるかもしれないんだ。俺は誰に何と言われようがこの部屋に入る。

 部屋に入るとAEDが広げられた状態で床に置いてあった。その横には子供のエイリアンが人間の腕を食っていた。そして、こっちを見た。


「キャオ!」

「うおっ!」


 驚いて振ったサバイバルナイフが偶然にも子供のエイリアンの首を跳ね飛ばした。


タァン


 外から銃声が聞こえてきた。エイリアンが集まってきたのか。さっさとAEDを回収してトラックに戻らないと三人が危ない。


「AEDを持って戻るよ!裏口にエイリアンがいた!」


バリィン


 どこからかガラスの割れる音がした。診療所の中にエイリアンが入ってきたのか?


「早く出るよ!」

「言われなくても分かってる!」


 診療所の入り口を出るとボンネットトラックの周りにはエイリアンの死体が転がっていた。でも、荷台にいたはずの野原さんの姿が見えない。


「二人ともトラックから全速力で逃げて!」


 声が聞こえたほうを見ると診療所の上で佐藤が飛んでいた。


「どういうこと?」

「後ろ!」


 ボンネットトラックの方を見ると美香が血まみれで立っていた。お、心臓マッサージでもして蘇生させたのか?美香が手に持っているのは人間の腕?美香は持っていた人間の腕をフライドチキンみたいに食べ始めた。


「どうなってるんだ?」

「だから言ってるでしょ!逃げて!中にエイリアンが入ってるの」


 名古屋付近で橋本がやられた人間の皮を被ったエイリアン状態になっているのか。ということは……もう美香は助からないのか。


「おい!野原は!?」

「今、斉藤さんが食べてるのが野原の手だよ!」

「マジ?」


 診療所の上にいる佐藤が無言で首を縦に振った。あぁ、あれだけ強そうだった野原がやられたのか。ってか、もう武器は佐藤の持っている小銃だけか。

 そんなことよりも美香を何とかできないのか!?なにか助ける方法が無いか考えるんだ。


「佐藤!美香を殺すなよ!」

「何言ってるの!名古屋のときに見たでしょ!もう無理なの!」

「そんな事わからねぇだろ!」

「良いから、逃げるよ!診療所横に車があったからそれを使うよ!」


 くそっ!武器がサバイバルナイフだけじゃどうしようもない。今の優先事項は佐藤のウエストポーチに小さくしてある石を灯台前に置いてから。美香を確保してじっくり考えよう。


「車はどこだ!」

「診療所の横に停まっている白色のステーションワゴン!」


 金澤が投げてきた鍵を投げた。鍵についているボタンを押すが反応しない。壊れてるのか?車の鍵穴に鍵を刺して回すと鍵が開いた。美香は……まだ野原を食ってる。


「良いから乗って!早くしないとエイリアンが寄って来るよ!」

「私が空から本当にやばそうなエイリアンだけを排除するから!」


 運転席に乗り込むと早速エンジンをかけた。マフラーでも交換してるのか排気音が周辺に響き渡る。ボンネットトラックに居るはずの美香は……いない。どこ行った!?


バリィ


 突然天井から腕が出てきた。この車よく見るとサンルーフが付いていたのか。サンルーフから伸びる手が左腕を掴んできた。しかも、握力が異常なほどに強い。骨が折れそうだ。


「ギアをDに入れてサイドブレーキを降ろしてくれ!腕を捕まれた!」

「分かってるって!」


 車を急発進させた後にすぐにブレーキを踏むと、サンルーフから伸びる手が左腕を離してくれた。その後に天井からボンネットに美香が転げ落ちてきた。


「今は……ごめん」


 もう一度急発進してハンドルを思いっきり切るとボンネットにしがみ付いていた美香が振り落とされた。そして、再び海岸線沿いを走り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ