五十一話 合流
「さて、どうやって行こうか?」
「高速道路しかないんじゃないですか?魔法でこの車を強化しておくので安心して突っ込んでください」
「魔力切れは無いよな」
「安心してください。それくらいなら問題は無いです」
話しているうちに自衛隊員が作った大型トラックのバリケードだ。
「話は聞いてます。気をつけて」
大型トラックを退かしてもらうと、バリケードの外に出た。さっそく、道の真ん中にエイリアンが現れた。
「小手調べにあのエイリアンに突っ込んでください」
スピードを上げてエイリアンに突っ込む。
ドゴッ
車内に衝撃が伝わってきたが、車は無傷だ。
「これなら山口県までもちます」
高速道路に乗ると早速バリケードが作られていたが端の方に車一台分のスペースが開いている。罠だろうな。それでも、カンタレの言葉を信用して突っ込む!
開いているスペースを通り過ぎようとすると、エイリアンが数体、車に飛び掛ってきた。
「屋根に乗った!」
「振り落としてよ!」
車を左右に揺らすとエイリアンが屋根から落ちていった。
「ここから山口県って遠いですね。ヘリでも使えばよかったですかね?」
「え?カンタレさんってヘリの操縦できるの?」
「模擬操縦くらいなら」
おい、そんなのいつの間にやっていたんだ?
「とは言っても、主要な空港が使える状態だとは思えませんけどね」
高速道路からは町の所々から火の手が上がっているのが見える。一体、日本の人口はどれだけ減るんだ?半年前の騒動ですら百万人以上犠牲になっていたんだ。今回は何千万単位なんだろうな。
「このまま行ったら大阪だね」
「あー、たこ焼き食べたいですね」
「お前らな……のん気だな」
ヤバイ。流石に疲れが出てきた。視界がぼやけ始めた、
「疲れてる?」
「流石に限界だ。誰か変わってくれ」
「そこの路肩に寄せてください。私が運転しますよ」
「悪い。任せた」
路肩に寄せてギアをパーキングに入れてサイドブレーキをかけて後部座席のカンタレと運転を変わった。
「寝てて良いか?」
「良いですよ。次は斉藤さんですね」
「え?私二輪の免許しか持ってないんだけど」
限界だ。少し寝よう。
「起きて下さい。大阪過ぎましたよ」
マジでか。本当だ。今、兵庫県の看板が見えた。大阪では何事も無かったのか?
「大阪は大丈夫だったのか?」
「え?全滅でしたよ」
「全滅?」
「生きてる人は誰もいませんでしたよ。変わりに人間の皮を被ったエイリアンが沢山いましたけどね」
そんな中をよく切り抜けれたな。
「そう言えば佐藤さんがもうすぐで合流してきますよ」
あいつって確か青森だったよな?
「噂をしてれば来たみたい」
目の前を飛んでいるのは佐藤だ。早過ぎないか?
カンタレが路肩に車を停めた。佐藤も地面に降りてきた。肩には対物ライフルを担いでいる。重たくないのか?
「早かったですね」
「うん。空には敵はいなかったからね。石、持って行こうか?」
「そっちの方が安心ですね」
結局、俺達がここまで来た意味だろ……。
「一応、和歌山方面には愛奈ちゃんが向かってるから」
「愛奈?」
「大山愛奈。思い出した?」
「……思い出せない」
「ま、良いや。んじゃ、行ってくる」
やべぇ、大山?名前は何回も聞いたことはあるんだけど顔は思い出せない……。
「大山さんが和歌山方面に行くなら安心ですね」
思い出した!鳥人間のあいつか!海ほたるの作戦で上空から援護してくれたあいつだ!
『石川県に石を置きました!』
「ご苦労様です。では、民間人を助けてあげてください」
『了解しました!』
自衛隊も有能だ。後は千葉県と山口、和歌山か。半分以上残ってるな。
「一応、佐藤さんについて行きましょう。空に敵がいないと言ってましたが、どんな敵が居るか分かりません。一応、発信機は着けさせてもらったのである程度の方向は分かります」
発信機なんていつの間に手に入れてたんだよ。お前のバックの中は異次元にでも繋がってるのか?
「早く乗ってください。佐藤さん早いですよ」
カンタレが持っているタブレットを見せてくれた。って、どこに持ってたんだよ!
タブレットの中心の赤い点がすごい勢いで地図の上を進んでいる。100キロくらい出てるんじゃねぇのか?
『ねぇ、さっきから体に赤いレーザー当てられてるんだけど?』
「馬鹿!狙われてるんだよ!」
『え?うわぁ!撃ってきた!』
「おいカンタレ!飛ばせ!」
「飛ばしてますよ!それよりも発信機の位置を確認してください!」
「中国自動車道の上月パーキングエリア付近だ!」
無線機からは弾がかすめる音が何回も聞こえる。
『うぎっ』
無線機からの音が途絶えた。そして、タブレットの赤い点も消えた。これは撃ち落されたな。死んでなければ良いんだけど……。
「上月パーキングエリアに急げ!」
「分かってます!」




