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異世界にエコカーで行く  作者: タコ中
日本転移編
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四十八話 探し人

「パンクしてなかったけ?」

「カンタレに直させた」


 本当は魔力を使わせたく無かったけれども、パンク修理キットを使う時間も無かったからな。


「もう愛知県か……」

「エイリアン出てきませんね」

「それは良い事じゃないの?」

「まぁ……良い事なんだけれども……嫌な予感がする」

「とりあえず名古屋中心部へ行くのは辞めた方が良さそうですね」

「もちろん。この先のジャンクションは直進するつもりだ」


 と、思っていたけれども直進は多重事故で通れそうに無い。そして、後ろからはエイリアンが数体。これは誘導されているのか?とにかく、カンタレの魔力が使えない今、車を退かす事は出来ない。名古屋中心部へ行くしかなさそうだ。


「後ろ!野原さんの車が襲われてる!」


 バックミラーで後ろを見ると野原の運転する車の上にエイリアンが乗っている。


「橋本さん!車の上に乗っているエイリアンに向かって撃ってください!」

「え!?野原さんに当たるかもしれないですよ!」

「いいから撃て!」

「知りませんよ!」


 橋本さんが箱乗り状態で撃っているけれども、エイリアンどころかその下の車にすら当たる気配が無いぞ。下手糞。


「おいカンタレ!お前も射撃訓練してたよな!エイリアンを撃ちぬけよ!」

「私、デザートイーグルしか使いたくないんですよ」


 めんどくせぇ性格だな。まぁ、持ってきてるんだけどね。


「ほら。持ってきてるぞ」

「あるんですね……」


 そういえば、カンタレの射撃の腕って知らないな。


「よく見ていてくださいね!」


 カンタレが撃った。さて、どこに当たったかな?あれ?野原さんが運転する古い車が見当たらないぞ。


「どこに向かって撃ったんだ?」

「エイリアンに撃っても効かないんでパンクさせて高速道路下へ落としました」

「落とした!?野原さんと金澤さんが乗った車を!?」

「大丈夫ですって。魔法で車内は守ったんで怪我することは無いですよ」


 カンタレに任せるんじゃなかった!


「一也!前!前!」


 前?前なんて真っ暗で見えないぞ……って、エイリアンがボンネットに乗ってるんだ!


バリィン


 エイリアンの腕がフロントガラスを突き破って俺の首を掴んだ。ぬめぬめしていて気持ち悪い。


「放せ!」


 美香がフロントガラスのエイリアンに車内からM16を撃とうとしている。そんなことをすれば助手席のカンタレと俺の耳の鼓膜が破れる!本当やりたくなかったが車を事故らせるか。


「ちょっ!何する気!?」

「喋るな!舌噛むぞ!」


 ハンドルを切って、防音壁に向かって一直線だ!


「どこに向かってるんですか!?」


ドコッ


 防音壁を破ったときにエイリアンはどこかへ行った。あとは高速道路下の一般道へ落ちているこの車をどうするかだ。カンタレにお願いするしかないか。


「カンタレ!」

「もうやってます!……でも、無理です!」


 一瞬落下する車が止まった様に感じたが気のせいだ。目の前にコンクリートの道路が迫る。


ゴシャッ


 いってぇ……。どうなってるんだ?一応車の中か。


「いたい」


 横ではカンタレが頭から血を流している。後ろの二人は……美香はシートベルトをしていたおかげか無事なようだ。橋本さんは……いない。車外に投げ出されたのか?


「とりあえず外に出ましょう」


 ドアを開けようとしても開かない。ドアが歪んだのか?蹴飛ばして開けるか。蹴飛ばしたら簡単に開いた。カンタレも出れたみたいだ。


「開かないよ!」

「今手伝う」


 カンタレと二人でドアをこじ開けた。


「橋本は?」

「近くにいるんじゃないですか?」


 そう言えば周囲の状況を確認せずに外に出たな。エイリアンが待ち構えていなくて良かったよ。


「おーい。橋本ぉー!」

「大声を出すな!エイリアンに居場所がバレる」

「あ、ごめん」


 勘弁してくれよ。こんな奴らが仲間でこの先生き延びられるのか?


「この辺は住宅街ですね。生きてる人は見当たりませんけど」


 確かに、道の端には体の一部が無い死体が転がっている。さらに、そばの家の窓を見ると血が大量についている。こりゃ酷いな。半年前の東京よりはマシか。


「本当に橋本さんは何処に行ったんだ?」

「どうしますか?前にもやった特定の人の周りの景色を見れるやつ、やりますか?」

「おぉ!そんなのあったな!早速頼むよ」

「橋本さんにしますか?金澤さんにしますか?」

「え?二人とも見せてくれよ」

「そうすると、魔力が切れますよ」


 めんどくさい奴だな。とりあえず石を持っているはずの金澤さんのほうが大切かな。橋本さん、ごめん。


「金澤さんのほうで」

「私にも見せて」

「はいはい。いきますよ」


 来た。これは駅だ。なんていう駅なんだろうか?あ、美容室の看板に若林駅前って書いてある。ってことは、若林駅か。


「ねぇ、若林駅ってどこ?」

「知りませんよ。あ、野原さんが何かしてますよ」


 本当だ。これは……タクシーを拝借する気だ。政府の人間がそんなことしていいのかよ。……なにか喋ってるな。


「どこに行くの?」

「とりあえず和歌山だろ。この石を届けないと日本は元の世界に帰れないんだろ」

「そうだけどさ……」


 金澤さんがモジモジしてるな。これって……あ、途切れた。


「なんで止めたの?」

「ラブストーリーなんて見たくないですよ」


 俺もそんな感じはしてた。あいつ等が和歌山に向かうなら別に追わなくても大丈夫だろ。橋本さんを探すか。


「それじゃあ、橋本さんを探しましょう」

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