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異世界にエコカーで行く  作者: タコ中
日本転移編
39/61

三十九話 新たな敵

 山梨県だ。富士の樹海まではそこまでは遠くない。


「後ろのダンプには誰が乗っているんだ?」


 車の横を飛行している佐藤に聞くが風切り音がすごくて会話できそうに無い。二キロ先の談合坂サービスエリアにでも入ろう。それにしても気が付くと一般車も走っている。サービスエリアに長くいればこの集団だと目立つだろうな。


 談合坂サービスエリアには客はそこそこ入っていたがそんなことは関係ない。一体どれだけの人が居るとかを確認しとかないと。


「何人連れてきた?」

「東京に滞在許可を貰った人は何とか回収してきたよ」


 ダンプの荷台から花山や沢田さんが顔を覗かせた。それに海ほたるで助けてくれた魔法使いまでいた。


「それで、カンタレを助けに行くんだろ」

「そうだよ。でも、これだけ戦力がいれば簡単にカンタレを殺害……じゃなくて保護できそうだね」


 美香は何かを隠している。というか隠すのが下手すぎる。気づいてくださいという合図にしか見えない。


「カンタレを保護するのが本来の目的じゃないだろ」

「え!?どうしてそれを!?」

「斉藤さん。もういいですよ。正直に話したほうが、皆さん協力してくれるかもしれません」

「そうだね。もう隠す必要も無いね」


 カンタレが政府と繋がっているとか?それとも裏では酷い実験を繰り返していた?カンタレとはそこそこ長い付き合いだけどもそんな感じは……向こうの世界でカンタレの家に拷問室があったな。


「カンタレは日本を丸ごと異世界へ移そうとしているの」


 急にそんなことを言われてもな……。どこをどう信じればいいんだ?


「え?急にそんなこと言われても信じれないよ」

「そうだよ」

「何を根拠にそんなことを言うんだ!」


 そりゃ信じれないよな。カンタレには皆お世話になっていたからいきなりそんな事を言われれば信用なんて出来ないはずだ。


「あー!もう!行けば分かるって!」


 遠くからパトカーのサイレン音が聞こえてきた。もう出発した方がよさそうだ。


「分かった。斉藤さんの言う通り帰りましょう」

「どうせ東京に戻れないしな」

「他に良い案がある人いる?」


 誰も案を出してこない。カンタレに会いに行こう。


「あ、私飛ぶの疲れたから一也の車に乗るー」

「やめて、シート破れるから」


 結局佐藤は大山さんに説得されて飛ぶことになった。ダンプの荷台にいる人達には隠れて貰うことになった。さぁ、再出発だ。


「どれくらいで着きそう?」

「うーん、後ろのダンプに合わせると120キロ位だから二時間半くらいかな?」


 なんでカンタレがそんな大掛かりなことをしようとしているんだろうか……。美香と橋本さんはその理由は知っているんだろうか?


「なんで日本を異世界に移そうとしているのか解っているのか?」

「知らないです」


 だろうな。


「ただ、政府は必死に隠していますが石川県の小さな村が突然消えたそうです」

「消えた?」

「はい。最初はSNSで話題になっていましたが次第にコメントが減り始めて最終的にはなくなりました。検証しに行ったという人のサイトもそのページだけが無くなっていました」


 政府にとってはインターネットの情報を弄るのもお手の物ということか。


「そして今、後ろのダンプの荷台に乗っている魔法使いに以前聞いたのですが、転移魔法という物を使えるのはカンタレだけだそうです」


 そんな事を話している間に大月ジャンクションだ。


「ねぇ、なんだか周りが白くなってきてない?」


 美香が言う通り景色が白くなってきた。これは霧か?まさか!?


「テレビを点けてみるぞ」


 カーナビのフルセグでテレビを点けてみると、どこの局も緊急放送をしていた。


『現在入りました情報によりますと全国各地で濃霧が発生しています。これにより全国の空港ではすべての飛行機が欠航しており、鉄道会社各社も終日運休を決めたとのことです。車を運転される方は気をつけて運転してください』


「これってまさか……」





一方、東京に取り残されてしまった金澤千歳は横浜の赤レンガ倉庫まで来ていた。


「まだここには警察は着てないみたい」


 周囲の人が私のことを見ている。そりゃ猫耳と尻尾をつけていれば目立つよね。それにしても霧が出てきた。何だか向こうの世界に行ったときの事を思い出すな……。


「いたぞ!」


 やばっ!警察だ。逃げないといけないんだけども、この先は港だし……。とりあえず逃げよう!


「待て!」


 最悪、海に飛び込んで逃げれば何とかなるでしょ!霧がさらに濃くなってきた。五メートル先を見ることも出来なくなってきた。


「止まらないと撃つぞ!」


 撃つぞって言われても後ろを見ても警察官の姿見えないんだけど……、そんなので当てれるの?っと、危ない危ない。海に落ちるところだった。

 あれ?海が無い。変わりにジャングルが広がっている。


「いい加減にしなさい!」


 あ、警察官のこと忘れてた。でも、そんなことよりも東京湾が消えたことの方が重大だよ。この警察官は目の前の状況が見えてないの?


「ねぇ、大人しく捕まるけどさ、東京湾が消えてるけど良いの?」

「そんなことがある訳……何だこれ!?」


 気が付くの遅すぎ。


「とにかくパトカーまで来なさい。話は後で聞こう」


 失敗したかも、拳銃を突きつけられて逃げようにも逃げられない。もう大人しく捕まるよ。

しばらくした後、もう一人中年の警察官が合流してきた。


「護送車はこっちだそうです」

「さ、歩け」


 言われなくても歩きますよ。何だか霧が薄くなってきたような気がする。そして、野次馬が私のことを撮影している。そんなことを見ている間に護送車にたどり着いた。


「乗れ」


 護送車はワンボックスタイプのだ。運転席にはスーツ姿の男が一人だけ……。こんなの簡単に脱走で来ちゃうよ。


『現在、日本周辺の海が消えているという現象が起きています。海岸線へと近づかないでください』


 暇なのかラジオを聴いている。良いの?


『出発は待て、赤レンガ倉庫で正体不明の生物が目撃された。安全が確認できるまで待機しろ』


 無線も筒抜けだし、政府の情報がダダ漏れじゃない。

周囲の霧も晴れてきた。これで周囲の情報がわかる。後ろと前にパトカーね……そんで、前のパトカーに群がるのはエイリアン……エイリアン!?

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