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異世界にエコカーで行く  作者: タコ中
現実世界編
32/61

三十二話 海の上のサービスエリア

「死ぬかと思った!」


 何とか海ほたるまで泳いできた。今回助かったのはあの魔法使いのおかげだ。


「君、大丈夫か?」

「ありがとうございます。おかげで助かりました」

「礼は後で言ってくれ。今は捕らわれている人を救出するんだ」


 周りを見る限り全員海ほたるにたどり着いたみたいだ。周りにはゴブリンが頭を撃ち抜かれて死んでいる。佐藤がやったのか?そうだとしたらすごい腕前だ。


「ここからは二人一組で探していこう」


 二人一組か。誰と組もうか……。沢田さんで良いか。


「ねぇ。組まない?」


 ん?誰だ?同じ複合艇には乗ってなかったな。舌をチョロチョロだして何してんだ?犬歯もかなりでかいな。


「別に良いですよ」

「良かった。ちなみに私、蛇だから舌を出してるの。気にしないでね」


 蛇か。蛇って言ったらウネウネ動くイメージしか無かったよ。何で蛇って舌を出し入れしてるんだろう?この人に聞けば分かるかな?


「私達は駐車場で動く車があるか調べようよ」

「あー、ところで舌って何で出してるんだ?」

「これは舌で空気中の臭いを取って口の中にある嗅覚器官に取り入れてるんだよ」


 へー。勉強になった。


「さ、行くよ」

「おう」


 海ほたる内部へ潜入するまでの敵は先に潜入した人達があらかた片付けてくれたみたいだ。ゴブリンの死体が所々に転がっている。


「駐車場へはどう行けばいいんだ?」

「わかんない」

「地図とか無いのか?」

「無いよ」


 無い物はどうしようもない。曲がり角に注意しながら進むか。駐車場で使える車を探すのはいいが半年間は放置されていた車なんて使えるのか?

建物内から時々叫び声が聴こえる。絶対にばれてるだろ。ほら、警報が鳴り始めた。こりゃ早めに全員が乗れそうな車でも確保しとくか。


「駐車場ってどっちだ?」

「うーん。案内板を見ると……こっち!」


 蛇女の後を付いていくと大きな駐車場に出た。駐車場にはゴブリンが数体武装しているな。


「どうする?」

「銃で撃っちゃえば?」

「そうだな」

「私があの赤い車まで行って、そこから閃光手榴弾を投げるからその後に一斉に射撃しようか」

「わかった」


 蛇女の名前聞いてなかったな。どうせこの作戦限りの関係だから別にいいか。そうしている間にゴブリンが集まっている近くの赤い車にたどり着いてる。蛇女が懐から閃光手榴弾を出した。直視しないようにと……。


パァン


 音がした後にゴブリンたちを見ると目や耳を押さえて苦しんでいる。今なら簡単に当てれそうだ。



 結局、二人ともマガジン一つ使ってゴブリン五体を殺したのか。死んだゴブリンが持っていた武装は……拳銃に自動小銃、無反動砲まで持っているのか。 


「どこからこんなに集めたんですかね?」

「わからねぇな。見た感じ自衛隊の装備以外もあるな」

「向こうの世界にアメリカ軍も行ってたのかな?」

「うーん、海外の情報までは教えてもらえないから……」


 自衛隊も、隊員や装備が消えたのをぎりぎりまで隠蔽していたからな。アメリカ軍が隠蔽しててもおかしくは無い。まだ、銃火器で収まってる内はいいけども戦車や戦闘ヘリが出てきたら今の装備じゃ太刀打ちできないぞ。


「とにかく動く車を探しましょう!」

「そうだったな。古めの車でマニュアルミッションの車を探してくれ」

「どうして古い車なの?」

「キーレスの車の直結は習ってないからな」


 一ヶ月間訓練を教えてくれた教官が気まぐれで教えてくれた技術がこんなところで役に立つとは思ってなかった。まぁ、実験台にされたのは中古で俺が買ったオンボロ軽自動車なんだけどな。

駐車場には比較的新しい車ばかりだ。お、あのマイクロバス古そうだ。


「この車はダメですか?」


 蛇女が見つけてくれた車は……走り屋集団の車じゃねーか。でも、見た感じ配線もむき出しだしハンドルロックも掛かってなさそうだし一応この車もエンジン掛けとくか。


「今からエンジンをかけるから周囲を見張っててくれ」

「うん」


 まずマイクロバスからだな。おっ!鍵が開いたままだ。まずは、サンバイザーを降ろしてスペアキーが無いかを確認っと……。


チャリン


 スペアキーが落ちてきた。映画のワンシーンの真似をしてみたつもりだけどマジでスペアキーが落ちてきたな。早速エンジンを掛けるか。


キュルルルルル


 掛からない。流石に半年も放置していれば当たり前か。


「皆が来たよ!」


 蛇女が指差す方向には沢田さん達が数人の人を連れてきているのが見えた。最初に比べて班の人数が減ってないか?


「みんな!早く乗って!」


 ゾロゾロとマイクロバスに人が乗り込んでくる。助けた人は、作業服を着た人に食堂のエプロンを着た女性、様々だな。半年間ずっと同じ服装だったのか?それともたまたまこの服装なのか?


「早く出して!」


 まだエンジン掛かってないんだけど。こういう古い車は確かアクセルを数回踏んで……。


ドルゥン


「来てるぞ!」


 ゴブリンが数体、小銃や拳銃を持って出てきた。この海ほたるにどれだけいるんだよ。それにしても魔法使いは見かけなかったな。


「いいから出して!」


 痛て!後ろから殴るな蛇女!言われなくても今一速にギアを入れたところだよ!


真っ暗な海底トンネルに入った。ハイビームにしても先の方は真っ暗だ。ここまで真っ暗だと怖いな。


「後ろから何か来てる!」


 蛇女が後ろを見てるが、それらしき物は見えないぞ。ん?何か音は聞こえるな……車が迫って来ているのか?ライトがついた。あの車は……駐車場にあった走り屋集団の車だ!

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