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追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する  作者: 鳥助


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52.魔道具展示即売会の準備

 魔道具展示即売会の目玉商品である、フロートキャリーが完成した。こうなれば、完全に私の手から離れて職人たちが元の設計図をもとに独自に製造を始めるだけだ。


 活気がなかった町が息を吹き返した。町には資材を運ぶ商人が行き交い、道には人が溢れだした。その様子を見るのはとても楽しくて、見ているこっちが元気になるみたいだ。


 だけど、それを黙って見ている暇はない。魔道具展示即売会を成功させるには、まだやる事が残っているのだから。


 事務室にみんなで集まると、魔道具展示即売会の進捗を確認する。


「じゃあ、ゼナから話をして」

「以前の伝手を使い、行商人に連絡を行き渡らせました。領主催の魔道具展示即売会ということで、注目度は高いです。隣の領だけじゃなく、その先の領にまで話を広げました」

「なるべく、多くの行商人が来てくれれば嬉しいわ。取引を中止されていない領からどれだけ商人が来てくれるのかも重要ね。その辺り、どうなっているのかしら?」


 行商人には良い感じに情報が行き渡っているようだ。だけど、それだけでは足りない。次の質問をハイドにしてみた。


「魔道具展示即売会については、とても良い反応が返ってきているよ。面白い試みだし、新しい魔道具が出てくるっていう情報のお陰で来てみたいっていう商会は沢山あるみたい。もっと、新商品について大体的に宣伝すれば、もっと人が集まる可能性はあるね」

「フロートキャリーも完成したし、新商品が出るって強く言った方がいいかもね。そうね……物流の革命を起こす、というところまで伝えてもいいかしら」

「それはいい! 新商品の事を伏せつつ、どんなものが出てくるかワクワク感も演出するんだね。じゃあ、物流の革命を起こすほどの新商品が登場することを伝えるよ」


 新商品の情報をどれだけ出すかも肝だ。あまり出さないのも悪いけれど、出しすぎるのも良くない。程よい感じで興味を引きつつ、当日にアッと言わせたい。


「ガイの方はどうなっているの?」

「鉄、魔石、魔鉄の製造は順調に進んでいる。こちらは問題ないが、売り先が限定的なのが痛いな。だが、取引を中止されていない商会や領と接触することが出来た。まだ、これから売買契約に移行するところだ」

「まだ、売れていないってことね。でも、この辺りも行商人を使えば、近隣の領にも売ることが出来るわ。その行商人がどれだけ魔道具展示即売会に来てくれるか……。それで売上が変わりそうね」


 魔道具展示即売会で売るものは魔道具だけではない。製造が始まった鉄、魔石、魔鉄も売るつもりだ。今は魔道具ブーム。そのブームに乗り、必要な材料は売れるはずだ。


 魔道具展示即売会の成功させるために、必要な事をまとめて考える。


「宣伝を強めましょう。物流革命を起こす魔道具誕生、とでもしておきましょう。この情報を各地にばら撒いて。もちろん、当日はその商品を売ることになるから、その事も忘れずに伝えるように」

「分かりました。しかと、行商人には私から連絡を回します」

「僕は領や商会に連絡を伝えるよ」

「当日は魔道具の材料も売る事も伝えたほうがいいわね。最高品質の材料があるってことを伝えるのよ。特に魔石と魔鉄は以前よりも品質が良いことを伝える事」

「分かった、その通りにする」


 みんな、真剣な顔をして頷いた。この様子なら、堅実に仕事をしてくれることだろう。こちらの指示が終わったことだし、次は魔道具展示即売会の運営の話だ。


 ◇


 その後、私は魔道具協会に赴いた。職人たちはフロートキャリーの製造に携わっており、職人はいない。だけど、魔道具展示即売会のために一時的に人を増やした。


「じゃあ、魔道具展示即売会の運営について話すわね。各々の工房から既製品の魔道具や目玉商品であるフロートキャリーを出品してもらうことは大丈夫ね」

「はい。魔道具製造の為の材料が安く手に入って来ましたから、既製品の魔道具製造が進んでいます。それと並行してフロートキャリーの製造も同時進行しています。当日は、それらを売る感じでいいですか?」

「いいえ、折角だから魔道具の材料も売ろうと思うの。出来るだけ早く売ってお金に変えたいから」

「それはいいですな。なら、会場には工房の出店と領管轄の材料を売る出店を出すんですね」


 私の話を聞いて、協会長はメモを取っている。だけど、話はそれで終わりではない。


「それだけじゃ終わらないわ。折角だから、お祭り騒ぎにしようと思ってね、食べ物の出店も出してみたらどうかしら?」

「食べ物の出店ですか……。そんな祭り、いつ振りでしょう。きっと、町の住人達も楽しめる事でしょう」

「えぇ、今まで苦しい思いをさせたから、今回の事をきっかけに元気を取り戻して欲しいと思って」

「みんな、喜びますでしょう。なら、食べ物の出店も追加っと……」


 魔道具展示即売会をただの魔道具を売るだけに留まらせるのは惜しい。だから、食べ物の出店を出して、お祭り騒ぎにするつもりだ。


 離れたところから来た商人たちにはお金を沢山落としてもらって、町民たちにも楽しんでもらって……。その事を考えるとワクワクする。


「あとは安全対策に警備の人を雇いましょう。少しでも雇用を生むのよ」

「資金は大丈夫ですか?」

「資金は大丈夫! 売ればいいのよ、売れば!」

「はははっ、気が強いですな」

「ちゃんと売れるわ。私たちはそれだけのものを生み出したと思うわ」


 冗談ではなく、フロートキャリーは絶対に売れる。それを目線で訴えると、協会長は心底安堵した表情をした。


「売れないと困ります。絶対に売りましょう」

「えぇ、その通りよ」


 希望を見るんじゃなくて、掴みに行く。その為に魔道具展示即売会は絶対に成功させなければいけない。


 その為の話し合いはとても白熱して、みんなから魔道具展示即売会を成功させようという意気込みが感じられた。この調子なら、魔道具展示即売会は絶対に成功する!

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???「フハハハ!対策されると言っておったがそのまま進めているではないか!持ち込み税、持ち出し税などの関税とこれから起こる事故で私、完全勝利!」 どう思う? ティンタクル「泳がせているだけだろ」 ゴリ…
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