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浮気された聖女は幼馴染との切れない縁をなんとかしたい!  作者: gacchi(がっち)


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106.不機嫌な美里

「美里?…あれって、多分、案内人だと思う。

 仕事で来ているんじゃないかな?」


私がそう言ってもあまり意味は無いだろうけど、そう言うしかなかった。

こんな風に不機嫌なのを隠さない美里を見るのは初めてだった。

テントの入り口で止まっていると、中にいたキリルが不思議そうに聞いてくる。


「二人ともどうした?寒いから中に入ろう?」


「あの、カインの隣にいる令嬢は誰?」


「あぁ、案内人だね。…気になる?」


「別にぃ。」


不機嫌なまま答える美里にキリルも気がついて、私へと視線を向けてきた。

これ以上このことにはふれないほうが良さそうだと会話を終わらせる。

ソファに座ると、すぐに温かいココアが差し出された。

先にテントの中に入っていたキリルが用意してくれていたようだ。


「まずは二人ともこれを飲んで?」


「…。」


「ありがとう。」


トロっとしたココアを飲んだら、少しずつ身体があたたかくなっていく。

ふあぁと声がもれたら、キリルに頭をなでられる。


「移動ばかりだから疲れているよね。

 山の道が先月の長雨で崩れている場所がいくつかあるらしい。

 何かあった時に抜け道から逃げられるように案内人が現地までつくことになった。

 それがあの令嬢。このコルックア伯爵家のジーナ嬢だ。

 この山は伯爵家の私有地らしい。

 詳しく説明できる者をと言ったら、あの令嬢が来たんだ。

 …本当に案内できるのかはわからないが、試してみないことには…。」


「カインとは仲がいいの?」


「カイン兄さんがあの令嬢に会ったことはあまり無いと思うけど、

 ジーナ嬢の母親がカイン兄さんの乳母なんだ。

 乳母を辞めて領地に戻った後にジーナ嬢を産んでいるから、

 カイン兄さんと直接の接点は無いはずだよ。」


「ふぅん。乳母の娘ね…。」


「「……。」」


なかなか機嫌が直らない美里に、私とキリルは何も言えなくなる。

早くカインさん帰って来てと思うのに、話し合いが長引いているのがなかなか戻ってこなかった。



ようやくカインさんが戻ってきたと思ったら顔色が悪い。

ソファにいる美里の隣に座ると、美里の手を取ってゆっくりと息を吐いた。


「…カイン、何かあった?」


「うん…王宮にいた時の乳母の娘が案内人で来ているんだが、

 その乳母が病気で…もう長く生きられないと。」


「乳母が?」


さっきの令嬢の母親ってことだよね。

にこにことカインさんに笑いかけていたあの令嬢の母親が病気だなんて思えなかったけど。


「ルーナという乳母なんだが、ここ伯爵家の前当主の妻だ。

 今の当主はルーナの長男が継いだのだが、

 王宮に勤めているためにこの領地は次男と長女に任せているらしい。

 その長女が案内人として来たんだが、母親に会ってほしいとお願いされた。

 神官隊長として来ているわけだから、そんなことはできないと断ったんだが…。

 なかなか納得してくれなくて。」


「そうか…カイン兄さんがなかなか帰ってこないから心配していたよ。

 ジーナ嬢とそんな話をしているとは思わなかった。

 それで、最後は納得してくれたのか?」


「いや…多分あきらめていないだろうな。

 瘴気の浄化が終わったら、伯爵家の屋敷に来て欲しいと言っていたよ。

 あきらめてくれるまで断り続けるしかないな。」


「…山の案内人は必要だが、どうしてもいなきゃダメなわけじゃない。

 あまりにもひどいようなら断ろう。」


「今のところは大丈夫だ。

 ただちょっと疲れたな…。」


ぐったりしたように美里の肩にカインさんが頭を乗せる。

カインさんが美里を甘やかしているのを見るのは慣れたが、

こんなふうにカインさんが美里に甘えているのを見るのは初めてだ。

さっきまで機嫌が悪かった美里もいつもの表情に戻り、カインさんの頭を撫でている。


「とりあえず隊員たちからの報告を待とうか。

 広い山だし、道が変わっているところはジーナ嬢の案内が無いと進めない。

 時間がかかるだろうな。休めるうちに休もう。」


「そうだね。」





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