3話
放置し過ぎた……
「ごめんね、雪乃。親戚の子っていうことになってるからよろしくね」
「うん」
放課後です。
昨日お家で目が覚めたらゆゆがいなくて、お姉ちゃんがいたのです。そしたらゆゆが明日夕食を一緒に食べたいらしいって言ってたと言われたので。今日学校が終わってから1回帰って、準備万端でゆゆのお家に来たわけですが。お着替えさせられちゃいました。真っ白なワンピースです。レースが入っててすごく可愛いんだけど、なんでお着替えしたんでしょうか。わけも分からずされるがままで、車に乗るとゆゆのママとパパがいて、ますます混乱してたらやっと事情を話してくれたんだけど……。
お見合いに行くんだって!! 何で私も行く事になっちゃってるの、しかもおじさんおばさんにまでお願いされたし。
そのお見合いを断るって言ってたのは良かった。ゆゆとは、ず〜っと一緒がいいもん。
お相手さんが、悪い人ではないんだけどえらくしつこくて、だから仕方なくまた会うことになったんだけどゆゆの機嫌が悪過ぎて見てられなかったからって。おばさん達が私と一緒に来たらいいと提案したんだとか。つまり、昨日はこれでゆゆと一緒にいられなかったんだ! 言ってくれれば良かったのに。とりあえず浮気とかじゃなくてひと安心です♪
「雪乃ちゃん、ごはんは遠慮せずに食べていいからね」
と、言われましても……。ここ、高そうだよ? お店の雰囲気が高級レストラン!って感じだし。まだ外観しか分かんないけど。体は正直で、お腹がきゅる〜って鳴っちゃいました。むぅ。
「東堂さんはもういらっしゃってるはずよ。すぐに料理が運ばれるわ」
「はい……」
個室でお食事するそうです。さすが高級レストラン。
「ひろっ!」
思わず声がでちゃうくらい、とっても広いです。落ち着きません。キョロキョロ見渡して、ハッと気付きます大きなテーブルに3人。お見合い相手さんの人だよね。ふむふむ。なかなかのイケメンさんです。
「雪乃、おいで」
呼ばれてゆゆの手を握ります。席に着くんだけど、こういう時もいつも通り。私の席はゆゆのお膝の上です。なんでおばさんたち突っ込まないの?
「こんばんは、小野町さん。ご無理を言って申し訳ございません。しかし、どうかこの縁談を認めてほしいのです」
「……」
「……娘はこの通りでして。頑固な子です、答えは変わらないかと」
ゆゆ、無口。なでなでしてくれるのは嬉しいけど、無表情は怖いよ。
あと慣れ過ぎて忘れてたけど、人のお膝の上に座る高校生ってなかなかいないと思う。いいのかな。まぁでも私がそんなことを考えずとも……
「えぇ。うちの子も頑固でしてね……そちらの子は?」
「親戚の……雪乃ちゃんと言います。今うちで預かってるんです」
「小学生ですか?」
「そうです」
小学生に、見えちゃうんだ……この格好してるからだと思いたいけどそうじゃないんだろうな。地味にショック。
「あっ、こ、こんにちは」
「こんにちは」
にっこり笑ってくれました。ホッ。
「……ゆゆ、笑えばいいのに。こういうとこって嘘でも笑顔でいるでしょ」
ぼそっと呟く。だってこれはおばさんたちも困るはずだよ。昨日はもっと酷かったのかな。
「そうね」
いつも私に向けてくれる優しい顔に戻りました。それでよし。クルッとゆゆの方を向いてぎゅー。こういうことしてるから小学生に見えちゃうんだろうけど、落ち着くからしちゃうんだもん。もういいや。
抱きしめ返してくれたゆゆが少しして口を開きました。
「料理、来たわよ」
「んー。もうちょっと」
ぐずると耳元でこっそり囁かれました。
「後でまた、ね。じゃないとここでキスしちゃう」
「はぅ」
それはダメだ。うぅ〜。早く終わんないかな。ていうか、料理高そう。いや有名な高級レストランなんだから高いのか。うぅ、手を出しづらい……でも、
「きゅるる………」
うにゅう。
「雪乃ちゃん、遠慮せずに食べてね」
う〜ん……
「はい、あーん」
「あむ」
……食べちゃった。あーんってされたら食べちゃうよ。美味しいです。
うぅー。これ、まだ始まったばっかりなんだよね……むぅ。お家帰りたい。
遅くまで一緒にいられるのはいいけど。
別に私は関係無いから、気を張る必要は無いんだけど空気が……。




