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雪解けのサイン。  作者: らんシェ
第1章 雪乃×柚結里
18/44

18話

その約束の日である今日。

相変わらずあやちゃんはどこか私を怒っていた。それでも特に変わったことは無く放課後を迎えた。


「雪乃。私は貴方が好きなのです。友人としてではなく……いえ、それもありますが、恋しているという意味で」

ほえ?

生徒会室へ行く前に、英梨ちゃんにまた空き教室に呼ばれたので来た。

そしたら……。

英梨ちゃんは泣きそうになっていた。朝から、目を腫らしているのも見た。だから、多分本気で言ってくれてるんだと思う。

こく、はく? なんだよね……。

「ごめんなさい」

気付くと唇に温かい物が触れていた。それに気付いた瞬間、彼女を突き飛ばす。当たっていた部分を手で押さえる。

「あっ……」

どうしよう。私、なんてことを……!

嫌だと、思ってしまった。どうしてだろう。ゆゆとは普通なのに……。

「……ほら。これで十分理由になるでしょう。小野町さんじゃないといけない理由。キスは、小野町さん以外では嫌なんでしょ?キスなんて、誰とでも出来るものではないですしね 」

え、でも、そんな……。

「今ならまだ間に合うはずですよ。教室にいるでしょうし」

「でも……」

え、と……。

それでも足を進められずにいると、背中を押された。

「早く! 私の作戦を無駄にするおつもりですか!?」

その言葉にようやくはっとし、私は廊下を急いだ。

そうだよね。ゆゆと、一緒がいいもん。英梨ちゃんとは、いいお友達で。あやちゃんにはもう嫌われたままかも。

でも、もうはっきり分かった。

ゆゆとはもっと。

もっと、近づきたい。


英梨ちゃんのおかげ。

胸は痛むけど、確かに英梨ちゃんは私にゆゆじゃなきゃダメだって教えてくれた。この想い、ちゃんと伝えなきゃ。やっと出てきた答えを。

早く、早く……!!


「…………ぇ」


? あ、あれ……

わけも分からず頭が混乱。でも体は早くここを離れたいと、勝手に動く。静かにそこを離れて、走り出す。私ってこんなに足速かったっけ。もつれそうになりながら、何処へ向かっているのか自分でも分からずに走った。

「ぅあ……」



ーー二人は、キスしていた。


気のせいだと、見間違いだと思いたいのに。頭にはあの光景が貼りついて離れない。あやちゃん告白したんだ。ゆゆ、OKしたのかな。あの2人はもう恋人? 手の届かないとこに行っちゃった?


「うぅっ…………!」


遅かったのかな。頑張ってくれた英梨ちゃんの作戦、やっぱり無駄になっちゃった? そうだ、英梨ちゃん大丈夫かな……。


「雪乃か?」

あれ?

……私、生徒会室の前にいました。ちょうどいつも部活のお手伝いで遅れてくる月野恵先輩が集まりのために来たらしいのです。


「大丈夫か?」

「はぅ……!!」

「お、落ち着け! ほら、中に入ろう! リオンがミルク淹れてくれるからさ!!」

先輩に言われるまま中に入る。会長さんも今日は既に来てます。

「雪乃? 柚結里は一緒じゃないのか?」

今それを言われると辛いのです……。

会長さんはコーヒーを飲む手を止め、カップを置いて私の方に向かってきました。

「酷い顔だぞ」

いい香りのする綺麗な模様のハンカチ。優しく拭いてくれました。大泣きしてたことにも気付かなかった。


……いつからこんなにゆゆのこと好きだったのかな。


「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

いつもと同じ、暖かいミルクを飲んで少しだけ落ち着く。横に座っていた会長さんにわしゃわしゃと頭を撫でられた。

「あぅっ?」

「お前……やっぱちっこいな」

「ほえ?」

「柚結里の膝に乗ってること多いからちっちゃいとは前から思ってたが、一人だと余計にだな」

むぅ。失礼な。もっと伸びるんだもん。ちっちゃいのは否定出来ないですが。

「あいつ、遅いな。まだ来ないのか?」

「なんというか、雪乃が1人でいるのって違和感あるな。柚結里と2人セットのイメージだし」

ふにゃ〜……美味しいのですー。

あうー……

「お前がここに来たってことはあいつもすぐ来るんだろ。ゆっくり寝てろ」

答えを伝える前に、ふられちゃったようなものだしゆゆには今会いたくないかな……

「ふぁ……」

もう何も考えたくないし……寝ちゃいますよ……うー。いいもん。ゆゆがいにゃくたってえりちゃんがいるんだもん。ゆゆがいなくてもだいじょぶだしぃ…………



◆ ◆ ◆ ◆ ◆


全く! なんなのよあの子!!

告白はまだしも、いきなりキスしてくるなんてあり得ない! 何であたしに?

幼馴染は雪乃だけよ。幼稚園の頃だなんて、そんなこと覚えてるわけないじゃない。あの子の話本当なのかしら。もしかして、あの子のために雪乃はあたしと距離を置いてたの? 明日で終わるって、昨日そう言ってたけどこのこと? あたしには雪乃しかあり得ないのに。雪乃しかいないのに。どうして協力なんてしたのよ……。

雪乃、どこかしら。まだ荷物はあったし、そういえば兎咲さんと一緒にいたわね。

そう考えたそばから、教室の扉が開いて兎咲さんが入ってきた。あたしを見て驚いた顔をしてる。

「雪乃はどこです!?」

「え。貴方と一緒にいたんじゃなかったの? 今ちょうど探しに行こうと……」

「雪乃に何かしたのではありませんか! 雪乃はここに来たはずです!」

どうしてそんなこと分かるのよ。

貴方こそ何かしたんじゃないかしら。

「私は先ほど雪乃には貴方しかいないと分からせたのです! ちゃんと彼女は気付きました。それを伝えないはずは無いでしょう!!?」

「ま、まさか……」

あれ、ちょうど見てた?

まさか、ね……誤解されたとかじゃないわよね。冗談じゃない。

早く探さないと。

教室を飛び出す。教室にいないなら、生徒会室しかないわよね。多分。


ガラガラッ……!


「おー。やっと来たか」

なんで雪乃が会長に寄りかかって寝てるの!?

「柚結里、明日の集会は生徒会からの話は無いから集合の必要は無いぞ。じゃ、まあ今日のところは解散!!」

会長さんの言葉に、2人の先輩は退室の準備を始め、「じゃあ、戸締りはよろしくね」と言って最後に鷹音先輩が部屋を出て行った。

あれだけを言うためにわざわざ集めることはしないだろうし、気を遣ってくれたんだと思う。

そして、部屋にはまだ眠ったままの雪乃だけが残っている。起こさないとね。

ためらいもなく、その唇にキスした。能都さんにされた分はすぐにトイレで洗った。流石に可哀想だとも思ったけど、キスは雪乃以外には許したくない。

あたしには雪乃だけ。雪乃にもあたしだけだったらいいのに。

答えはまだ聞いてない。油断は、出来ないわね。

「雪乃……?」

「んにゃ……」

ゆっくり目を開けた雪乃はあたしを認めて途端に涙ぐんだ。

「見てたの? さっき兎咲さんに教室にきたはずだって言われたの。ごめんね。ボーッとしてたら不意打ちで……。告白は聞いたけど、あたしには雪乃だけなのよ。付き合ったりしない」

「本当? 付き合うことになったわけじゃないの?」

「ええ。もちろん」

「良かった…」

上目遣いはダメだって言ってるのに。しかも涙目になって。こういう時だっていうのに、あたしの頬はつい緩んでしまう。

……じゃあ、聞かせてもらいましょうか。ちゃんと雪乃の口から。答えを。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆


そっか。付き合うことになったからじゃないんだ。

「本当に、良かったぁ……!」

堪えきれずにまた涙が溢れ、ゆゆに抱きつく。その腕の中で、まるで赤ん坊みたいにわんわん泣いてしまった。

私、自分でもびっくりするくらいホッとしてる。やっぱり……やっぱり、私には……

「ゆゆだけ、だよ…! ゆゆと、一緒がいい……!! ずっと、ずっと…………」

そう言うと、ゆゆはふわりと優しい顔を見せてくれた。

「その言葉、待ってました」

つい起こしたばかりの体をソファに戻され、体重をかけられる。

「愛してる」

耳元でそっと囁かれ、キスのシャワーが降り注ぐ。

「ん…………」

幸せ。私、すごく幸せだ……。

ゆゆ、どこにも行かないでね。ずっと、一緒にいて……


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