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余裕がないから

結局、


『現実と向き合えねえ』


ってのは、『余裕がないから』ってことだって俺は思うよ。


『子供は家畜じゃねえ。人間だ』


って現実と向き合えないのも、子供を家畜同然に使わなきゃ満足に畑仕事もこなせねえからだしな。子供にやらせねえでおこうと思うと今度は<奴隷>が必要になるんだろうしよ。この辺りは、農業の機械化を待つしかねえのか。


農作業が機械化されることで、手間を機械に任せる子tができりゃそれだけ余裕もできるだろうが、今はまだ無理だ。


これもまた<現実>ではある。気持ちに余裕のねえ<革命家>とかは、夢みたいな理想を掲げるらしいが、それも要するに現実が見えてねえからだろうし。


そういうのをわきまえるなら、一足飛びに理想的な世界を築こうとするのは危険だってのも分かるんだろうに。


とは言え、苦しんでる子供達を救いたいって気持ちも、今の俺には確かにある。あるからこそ、俺の手の届く範囲で、俺にできる範囲で、俺の下に来てもらおうと思うんだよ。


まあ、自己満足の類だけどな。


これについてもちゃんと話しておく。


「俺がみんなを育ててるのは、所詮は自己満足なんだ。それは分かっておいてほしい。だからみんなにも俺と同じことをしてほしいとは言わない。だがもし、やりたいと思うのなら、これだけは覚えておいてほしいと思う。それはただの自己満足でしかなくて、感謝されたり褒められたりするのを期待してやることじゃないってのをな。


感謝してもらうことや褒めてもらうことを期待するのはダメだ。そんなことを期待すると、すぐさま目的になってしまう。でも俺はそれを目的にはしない。それを目的にしようとすれば、リーネ達は俺が目的を果たすための<道具>ってことになってしまう。それじゃ意味がないんだ。だから期待はしないようにしてる」


どうだ。てめえらの親は、こういう話をしてくれたか? こういう話をしようとしてたとしても、話を聞こうって気にさせてくれたか?


『お前がそれを言うんじゃねえよ!』


って思っちまうような親じゃなかったか? もし、俺がリーネ達に対して語ってるようなことを教えてくれるような親じゃなかったらそれこそただの<手抜き>や<怠慢>だし、この程度のことも思い付かないような親だったら、それこそ子供に対して偉そうにできるような親じゃねえよな?


俺が言ってるようなことを思い付かないのが悪いと言ってるんじゃない。それができねえならできねえで、子供に対して偉そうにしない方がいいんじゃねえか? って話だよ。



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