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他の子達も救われる方法は

『できないんなら最初から関わるな』


俺がそう口にした時、リーネは悲しそうに目を伏せた。俺の言ってることは理解できるものの、納得はできなかったんだろうな。


「でも、他の子達も救われる方法は、本当にないんでしょうか?」


とも言ってくる。まったく、優しい子だよ。そんな彼女だからこそ、気を失ってた俺を見捨てていけなかったんだろうな。彼女のその優しさはすごく尊いと思う。でも、


「そうだな。俺だってできるならみんな救ってやりたいと思う。だけどやっぱりそれはできないんだ。俺はただの人間で、神様でも何でもない。


ただ、俺やリーネのように考える人間が増えてくれば、今よりはちょっとだけマシになるかもしれない。だから俺は、リーネ達に『ちょっとだけマシになる』方法を学んでほしいんだ。そうして、リーネ達がもし子供を作るようなことがあれば、その子供達にも教えていってあげてほしい。


そうやってちょっとずつちょっとずつ増えていけば、いつかこの世界も変わるんじゃないか?」


と言ったが、確かに前世の俺がいた世界では、昔に比べてマシにはなってるんだと思う。本当に『マシになってる』程度だろうけどな。


半面、ただ『権利がある』『自由がある』と言うばっかりで、


『権利があるとはどういうことか?』


『自由とはどういうことか?』


って点についてはちゃんと教えられてない気もしないでもない。だから<権利>や<自由>ってもんをはき違えてるのが出てきてるんだろうなって気もする。


横着するからだ。丁寧に詳細に教えることをサボってるからだ。


人間ってのは、どうにも物事を自分に都合よく解釈しがちな生き物だからな。そこを横着するとす~ぐ捻じ曲げちまう。だから俺は、何度でもちゃんと伝えたいと思う。しかも『伝えた』だけじゃダメだ。『伝わってるかどうかを確認』しなくちゃダメなんだ。伝えただけじゃ勝手に解釈を加えて捻じ曲げちまってたりするから、意図したとおりに伝わってるかどうかを確かめなきゃいけないんだよ。面倒臭くてもな。


『親は立派なのに子供は』ってえ事例の場合とかには特にそういうのが多い気がする。親は自分が分かってるからって自分が分かってる通りにしか伝えなくて、勝手な解釈を加えられてないかの確認を怠ってたんじゃねえかって、今なら思うよ。


俺は決して立派な親じゃねえが、立派な親じゃねえからこそ、ちゃんと伝わってるかどうかを確かめなきゃいけないって気がしてる。それを忘れちゃダメだと思うんだ。



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