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越冬用の保存食

こうして小麦は手に入ったが、さすがに二日続けて獲物は罠には掛かっていなかった。なので、今日は果実と木の実だけで食べる。


小麦を使ってパンなりなんなりを焼いてもよかったんだが、さすがに疲れてたからな。そこまでする気力はなかった。ただ、リーネが集めてくれていた果実や木の実も、もう残り少ない。


明日はパンでも焼こうか。


とは思うものの、小麦は基本的に越冬用の保存食にしたい。回収してきた小麦は、去年の秋に収穫したものだと思うが、次の冬までに新しく小麦が手に入る目途は今のところ立ってないから、今ある分で春までは食い繋がないといけない。贅沢はできない。


そんなわけで、湿気が溜まらないところに保管しておかないとな。湿気てカビでも生えたら目も当てられない。


まあ、幸い、この家は鍛冶作業用の小屋でもあるから、窯の所為で基本的に乾燥はする。


焼き入れの時なんかには湯気も上がるが、そんなものはたかが知れてるし。


なんてことを考えつつ、今日はトーイの体もリーネに拭いてもらう。トーイも、リーネにならおとなしくされるがままになっている。いい傾向だ。


当のリーネも、昨日に比べると緊張感が減ってる気がする。でも、焦らない。油断しない。すべてはこれからだ。


あと、せっかくなので手に入れた服に着替える、元々の服は、明日、洗おう。加えて、荷車と新しく桶も手に入ったから、一度に水を汲んでくることもできるようになった。つまり、風呂に水を張るにも大幅に時間短縮できるということだ。


道が悪くて揺れるからまたこぼれるかもだが、それについてはアイデアがある。


すべては明日からだ。


体を拭いて洗濯された服に着替えたことでさっぱりしたのと、疲れがどっと出たからか、三人でベッドに横になった途端に、リーネやトーイの様子を窺う暇もなく眠りに落ちてしまったのだった。




そして翌朝。リーネには果実と木の実の収穫を頼む。トーイはリーネの手伝いだ。大したことはできないかもしれないが、家に一人残しておくよりもマシだろう。


そして俺は、荷車に桶を五つ積んで、水場へと向かう。


最初は今日、残りの小麦の回収に行こうかとも思ったが、果実と木の実がすでに今日一日分も残ってなかったから、そちらの確保を優先した。朝食として食べたらそれしか残らなかったんだ。


ついでに、風呂の方も何とかしたい。せっかく鍋もいくつも手に入ったことだし、それらで一気に湯を沸かせば、半日くらいで沸くんじゃないだろうか。


で、俺は水場で桶に水を汲んでそれを荷車に積み、桶に一つ一つ布をかぶせて紐で縛った。こうすれば水がこぼれにくくなると思ったんだ。



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