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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
騎士団編

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99/101

99.よくしったかお

 人間の魔獣が転生者らしいことが分かり、本格的に捜索を始めて数ヶ月。

 突然、その時はやって来た。



「ルーシャス!魔獣の群れが!」



 騎士団本部にいた俺のところにハンナが大慌てで転移してくる。



「場所はどこだ?数も分かるか?」



「あんたの実家近くの森からよ!多分100はいる!」



 100!?過去に例を見ない数だ。しかも俺の実家近くの森から出てきた……?もしかすると、奴の仕業か?いやでも以前森に奴を探しに行った時は、魔力の根源ごと無くなってたんだよな……。



「体術隊だけじゃ倒しきれない!援護を要請するわ!」



「了解!弓術隊と剣術隊が本部にいるから向かわせる!他の隊にも伝えておくよ!」



「助かるわ!あと、あんたかアリスがいてくれると嬉しいんだけど」



「分かってる!俺たちもすぐ追うよ!」



 俺は訓練場にいた弓術隊と剣術隊に声をかけ、アリスを呼んできて自分たちも森へ向かう。


 転移した先では、大量の魔獣が森から走り出て来ていた。



「ルーシャスくん!援護助かるよ!」



 ジュリアお姉ちゃんが大型魔獣の頭を蹴り飛ばしながら俺に気づく。



「もしかすると奴が森の中心にいるかもしれない!俺はそこへ向かうよ!」



 視界に入ってくる魔獣を大剣で切り裂きながら走る。今の俺は大型魔獣や超大型魔獣なんて走りながらでも一撃で倒し切れる。だがまずは人間の魔獣を見つけるのが優先だ。

 アリスとジェームズもいるし、ここは任せて大丈夫だろう。


 次々と走り出てくる魔獣を倒しながら、俺は森の中心へと到達する。

 ……いた。そこには、紫色に鈍く光る魔力の根源と、それに両手を当てる人間の魔獣の姿があった。



「来たか……」



「ああ。今日こそ始末をつけてやるよ」



 俺が話し終わる前に、奴は動き出す。200年前に戦ったレオンと同じように、魔力の鎌を出現させてこちらへ向かってくる。

 だが……なんだ?隙だらけだ。真っ直ぐ俺に向かってきて、大きく鎌を振りかざしている。

 何かフェイントを狙っているのか?とにかく、迂闊に近づくのは危険だ。


 俺は風魔法で突風を吹かせ、奴を退ける。

 そして得意の鎌鼬で奴の両手足を切り落とした。

 身動きが取れなくなる魔獣。



「くっ……。ここまでか。良いだろう、一思いにやるが良い」



 何故こんなにあっさりしている?どうも違和感がある。自ら倒されに来ているような……。

 まあいい。奴は身動きが取れない。今やってしまうのが最適だ。


 だがその前に、こいつには聞かなきゃいけないことがある。

 俺は魔獣の首筋に大剣を当てた。



「今から俺が聞くことに素直に答えろ。もしいつものように適当なことをぬかした時は、首を切り落とす」



「ふっ……脅しているつもりか?まあいいだろう。答えてやる」



 魔獣は大人しく俺の指示に従っているように見える。だが何をしてくるか分からない。とにかく油断はせず、冷静に質問をするんだ。



「お前は、日本から来た転生者だな?」



「概ねその通りだ。だが少し違う」



 少し違う?どういう意味だ?こいつには俺が前世で通っていた高校の記憶があった。なのに転生者じゃないってのか?



「まあいい。それで、お前の目的は何だ?」



「我の目的は、この国を支配すること。そして、お前の物語を終わらせることだ」



 俺の物語……?こいつは何を言ってるんだ?意味が分からない。



「じゃあ、お前は前世では誰だったんだ?俺に恨みのある人物なんて心当たりが無いんだが」



「それは、お前自身が一番よく知っているはずだ。まさか、まだ気づいていないのか?」



 さっきから何を言ってるんだこいつは?思わせぶりな口調で核心を付いたことを言わない。

 もうこいつから何かを聞き出そうとするのが間違いなのかもしれないな。



「分かった、話す気が無いならとりあえずその顔を見せてみろよ。そしたら俺も何か思い出すかもしれないからな」



 俺はそう言って魔獣が被っているフードを切り裂いた。

 ゆっくりと顔を上げる魔獣。

 後ろから複数人が走ってくる足音が聞こえてくる。ちらっと後ろを見ると、アリスを先頭にジェームズ、ハンナと応援に駆り出されたであろうメイヴィス、シルヴィア、コーディの姿があった。

 俺はみんなにも魔獣の素顔を見せてやろうと思い、魔獣の方へ視線を戻す。



「……は?なんで……?」



「だから言っただろう。我が誰なのか、お前自身が一番よく知っているはずだと」



 その魔獣の顔は、確かに俺がよく知る人物の顔だった。そしてその顔を見ると同時に、奴が転生者とは少し違うと言った意味を理解した。



「ルーシャス様!!一体どうしたんですの!?」



「ルーシャス!そいつが誰か分かったのか?」



「待って、みんな。ルーシャスの様子、おかしい」



 みんなの声が随分遠くから聞こえるように思える。まるでこの空間には俺と魔獣しかいないような、そんな感覚を覚える。

 それぐらい俺は動揺していたのだ。




 何故なら、俺が見た魔獣の顔は……俺自身の顔だったからだ。

 正確には、転生前の俺の顔。前世で18年間過ごしてきた、俺自身の顔だった。


 その瞬間時間は止まり、世界はモノクロに変わった。

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