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【完結】からふるわーるど  作者: 仮面大将G
小学生編

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59.はるのかぜにふかれて

 冬も終わり、木の葉に緑が戻ってくる。昼間はシャツ1枚でも出歩けるが、朝はまだ冷えるな。

 薄手のコートを身にまとった俺は、早朝の散歩をしていた。決してコートの下は全裸とかではない。


 まだ少し肌寒い春風に吹かれる木々を見ながら、ちょっぴりセンチメンタルな気分で歩を進める。

 さっきからずっと何を話してるのかって感じだろうからちゃんと説明しよう。今日は小学校の卒業式なのだ。

 たった2年しか通っていない学校だが、たくさんの友達や思い出ができた。

 思えば入学初日にコーディに話しかけられ、いきなり友達(本人は未だに舎弟と言い張ってるが)ができたり、メイヴィスと何度も魔術の訓練をしたり、ファーノン先生に怒りの呼び出しを何度も食らったりした。最後のは良い思い出とは言えんが。


 3年生になっても1年生の頃にできた友達との交流は続いていたし、エリック先輩の研究に付き合ったことで魔法陣の活用という新たな発見もあった。


 なんやかんやで充実した学校生活を送ってたんだなと思うと、もう卒業式がやってくるという事実に寂しくなって眠れなかった。てなわけで早朝からセンチメンタル散歩をかましているわけだ。


 にしても、こんなに卒業するのが寂しいのは前世を合わせても初めてのことだ。正直ちょっと困惑してる。


 前世では何をしても平凡で目立った特徴の無かった俺は特に友達が多いわけでもなく、帰宅部だったので後輩とかもおらず、何もなく寂しい学校生活を送っていた。

 中学校までしか卒業というものを経験してはいないが、恐らくあのまま日本で高校卒業まで行ってもさして寂しくもなかっただろう。


 ということは、この世界での俺の小学校生活はとても充実していたということだ。2人分の人生を生きて初めての感覚。なんかそれはそれで悲しくなってきたな。



「おや?そこにいるのはルーシャスくんではないかね?」



 考え事をしていると、不意に前方から歩いてした人物に話しかけられる。



「エリック先輩!どうしたんですかこんな朝早く」



「それは私の台詞だと思うよ。君の方こそ、こんな早朝に何をしてるのかね?」



「いやー今日卒業式じゃないですか。なんか寂しくて眠れなくて......なんとなく歩きたくなって散歩してるんですよ」



「ふむ、分からなくもないな。私もあの魔術室を離れるのは少し寂しさを覚える」



「ああー、まあ確かに休み時間籠りっきりでしたもんね......」



 魔術室にしか未練が無い辺り、どうやらエリック先輩も前世の俺と同じく残念な学校生活を送っていたようだ。

 まああのキャラじゃ同年代からは距離取られるかもな。俺は家族や友達の騒がしいキャラで耐性がついてたから特に何も思わなかったけど。



「ところでルーシャスくん、ちょうど学校に着いたら君にしようと思っていた提案があってだね......」



「提案?なんですか?」



「実はこの魔法陣を使うんだが......」



 ごにょごにょと俺に耳打ちをするエリック先輩。



「なるほど、それは良いアイデアです!俺に任せてください!」



「ありがとう。では、私が合図をしたら頼んだよ?」



 エリック先輩に念を押され、俺たちは自分の家に向かって逆方向に歩き出した。

 良い卒業式になりそうだ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ふぁ〜あ」



「ルーシャス様、眠いんですの?」



「ああ、ちょっと眠れなくて......」



「それは大変ですの......私の膝で寝ても良いんですのよ?」



「ありがたい申し出だけど流石に卒業式中だから我慢しようかな」



 コソコソと会話をする俺とアリスは、卒業証書の受け渡しを待っている状態だ。

 3年1組から1人ずつ順番に呼び出されるので、我が2組はまだ呼ばれない。

 眠れなかった時はこういう待ち時間に眠気が来るよねー。辛いわー。


 ていうか俺とアリスが3年生でも2組だったって描写あったっけ?ないよね?じゃ今ここで伝えておくね。我々は3年2組でした!今日までだけど!言うのがおせーよ!


 なんだかんだアリスと小声で話しているうちに順番が来て、俺たちも卒業証書を受け取る。飛び級だから名簿とか関係なく最後の2人だったので、俺たちの受け取りで卒業証書授与は終了した。


 校長のありがたいお話(記憶はないが)も終わり、いよいよ卒業生が退場の時間だ。

 ちなみに、校長の話の間ファーノン先生が立ったまま寝ていたのを俺は見逃さなかった。


 最後尾の俺とアリスが外に出た瞬間、少し前を歩くエリック先輩が俺の方を見てウインクをした。合図チャラいな。


 先輩の合図を受けた俺は、朝に受け取っていた魔法陣に思いっきり魔力を流す。

 すると魔法陣から煙の筋が空に上り、上空で爆発。見事な花火が打ち上がる。


 呆気に取られる卒業生達を尻目に、俺は何度も魔力を流してちょっとした花火大会を演出した。

 20発ほどで止めにし、魔法陣をしまうとパラパラと拍手が起こり、気づくと喝采の嵐になっていた。


 隣にいたアリスは花火と俺を交互に見ていたが、最終的には俺を見つめて涙を流しながら拍手を送ってくれる。



「ルーシャスくんー?」



 俺を呼ぶ声に振り向くと、腕を組んだファーノン先生が立っていた。

 やべ、これ最後の最後にまた呼び出し食らうか?



「良い花火だったよー。感動的だったねー!卒業おめでとー!」



「あ、ありがとうございます」



「多分エリックくんの発案でしょー?先輩とも仲良くできてるようで良かったよー。高校でもしっかりねー?」



「はい!ありがとうございます!お世話になりました!」



 嬉しそうなファーノン先生にぺこりと頭を下げ、みんなの輪に戻る。

 これでこの小学校ともお別れだ。


 あ、そういえば高校は受かってたよ!首席で!戦闘試験の成績がダンチだったよ!


 ということで来月からは高校生。寮生活の始まりだ。


 さあ新しい生活に自信を持って飛び込もう。人も景色もカラフルな、この世界で。

ルーシャス「これで次の話からは高校生かー。作者が更新しなくなって8年経った時は俺はもう小学生のままなんだなと思ってたよ」


アリス「私もですわ。少々力技な部分もありましたけど、なんとか小学校を卒業できて良かったですの!」


ルーシャス「このまま最後まで書ききってくれることを祈ろう。高校生編もよろしくお願いします!」

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