49.はじめてのなつやすみ
夏休みの前ってワクワクしますよね。僕は宿題は2学期の初日の朝にやる派でした
セミの鳴き声が響き、燦々と太陽が照りつける午後...俺は意気揚々と帰路を歩んでいた。
風邪から復活した俺は、学校の期末テストを終えて夏休みに突入したところだ。夏休みは4月末から5月末まで。6月1日から2学期だ。日本の感覚が染み付いてるからこの時期のズレはずっと気持ち悪いなあ。
ていうか小学生なのに期末テストとかあるのな。日本の小学校でもあったっけなあ...?もう合計すると10年以上も前のことだから記憶が曖昧だ。
でも流石この世界では義務教育を早めに終わらせるだけあって、初めてのテストながらもうしっかり高校生の期末テストぐらいのボリュームがあった。特に算数は夏休みが明けたらもうかけ算に入るそうだ。2桁の引き算で苦労してたコーディはついていけるのだろうか。いや、人の心配をしてる場合じゃないぞ。俺も地頭が良いわけじゃないから油断してるとすぐみんなに抜かされちゃうしな。前世でやったからと気を抜かずにちゃんと宿題で復習しよう。
気を引き締め直した俺は、鞄に入った大量の宿題の計画を立てながら帰るのだった。
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夏休みが始まって数日経ったある日―。俺はアリスとジェームズ、それに付き添いのセシリアさんを連れて武術協会に来ていた。
「はあ...こんなところに来なくても宿題は家で済ませられましたのに」
そう、俺たちが武術協会に来ているのは、宿題のためだ。日本ではたまに体育の宿題で縄跳びがあったりした人もいると思うが、この世界の学校ではなんと戦闘訓練の宿題が出ている。それも1人ではできないもので、パーティーを組んでの戦闘訓練だ。武術の級認定試験の時にも魔術で作られた擬似魔獣を倒したが、こういった協会や騎士団のいる王宮、それにアリスの家こと1等貴族の屋敷には擬似魔獣が出現する訓練場がある。その擬似魔獣を倒していくのが宿題なのだが、倒した魔獣のランク、及び数でパーティー毎のランキングが出るらしい。最低何体倒さなければならないというノルマは無いが、このランキングで上位3パーティーまでに入ると騎士団から勲章が貰えるのだそうだ。前世では賞に全く縁の無かった俺は、今回その勲章を勝ち取りたいが為に燃えているのである。ちなみに、セシリアさんは何かあった時の為の護衛兼保護者だ。俺たちは一応貴族の子どもなので、悪い大人に何かされるかもしれない。まあこの世界にそんな人はいないのだが。念の為ということだ。
「まあまあ、アリスもたまには家と違う環境で力試しをするのもいいと思うよ?」
「確かに、新鮮ではありますわね。ルーシャス様とのデートだと思って楽しみますわ!」
「いや、ジェームズもセシリアさんもいるんだけど...」
「ルーシャス、こうなるかと思って良いムードを演出する為にオカリナを持ってきたんだが早速演奏するか?」
「楽器のチョイスなんとかならなかったのかよ!ほっこりしちゃうだろ!」
「ルーシャス様安心してください、私オカリナのプロ認定貰ってるので十分良いムードにできる自信があります!」
「セシリアさん...そんなスキルどこで身につけたのさ...だからオカリナだったのかよ」
ジェームズとセシリアさんは通常運転だ。オルグレン家はボケなきゃいけない決まりでもあるのか?ジェームズの両親であるイアンさんとかマリサさんもこんな調子なのだろうか。いつもちゃんと仕事に行ってるからあまり話したことは無いが、特にイアンさんはジェームズと同じ双剣使いだからよく似てるんだろうな。
「皆様、そろそろ擬似魔獣の準備ができたみたいですよ!行きましょう!」
「「「はーい」」」
セシリアさんの声で俺たちは訓練場へと向かった。
訓練場の扉を開けると、武術協会の職員さんが擬似魔獣のセットをしていた。
これ、どんな仕組みになっているかというと、基本は魔力灯と同じで魔力を流すと作動する単純な魔道具だ。魔力は武術の適正に関係なくみんなが持っているものなので、誰でも使えるようにできているというわけだ。ここに来て初めて描写されたよ。
魔獣は魔力に当てられた動物なので、魔力があれば再現することが可能だ。もちろん、この魔道具を作れるのは優秀な魔術学者だけだけどな。
「よう坊ちゃん嬢ちゃん!俺はここの職員でお節介焼きのロバートってもんだ!お前さんたちが心配でここまでくっついてきた!」
「いや中で待ってたじゃねえか!」
金の長めの髪にハットを被ったスピー○ワゴンみたいな職員さんが挨拶してくれる。だから名前のパロディが雑なんだよ!
「さあみんな準備はいいか?ここに魔力を流すと魔獣が出てくる。やめたい時は魔力灯を消す時と同じように逆側からもう一度魔力を流してくれ!それじゃ、俺はクールに去るぜ」
貫くなあ...そのうち石油とか掘り当てて大富豪になるんじゃないだろうか。その為には吸血鬼と戦ったりしなきゃいけないんだろうが。
「皆様頑張ってくださいー!」
セシリアさんの応援の声で我に返る。既に擬似魔獣が数体訓練場に現れている。
「アリスは1番遠いヤツをお願い!ジェームズは俺と近いのをやるぞ!」
「了解ですわ!」
「オカリナの準備はOKだ!」
「いつまで持ってんだ!かなぐり捨てろそんなもん!」
ジェームズにツッコミを入れながら、俺たちは戦闘を開始した。
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「いやー疲れたな」
俺たちは戦闘訓練を終え、訓練場を出たところだ。倒した擬似魔獣の数は30体。内訳は小型が15体、中型が10体、大型が5体だ。
まあ初日から良いスタートダッシュが切れたんじゃないか?この調子で1位を狙うぜ!
「皆様お疲れ様でした!良かったらオルグレン家でおやつを用意しますのでこれからいらっしゃいませんか?」
「おやつができた後15分くらい待ってもらうことになるかもしれないがな」
「また全部食べる気だろう!?」
「まだ時間も早いですし、お邪魔させていただきますわ」
そう。まだ時間は早いのだ。俺たちが武術協会に来たのが昼の1時。今は昼の2時半だ。実際戦闘訓練をしてた時間は約1時間。2分に1体倒したことになる。というのも俺の大剣の威力が思ってたより凄くてだな...その、まあ結論から言うと俺が20体倒したんだ。剣を1振りすると2、3体吹っ飛んでくからさ...暇になってアリスが相手してた遠くの魔獣も魔法でぶっ飛ばしたりしてたらこうなった。なんか、すまん...。
「ルーシャス様、本当に強かったですの!かっこよかったですわ!」
「ありがとうアリス。でもちょっとやり過ぎたから次からは控えめに戦うよ...」
アリスの言葉に苦笑する。何事もやり過ぎは良くないからな。でも思いっきり戦えるのは楽しかったから個人的に訓練しに来てもいいな。
「次はもっと良い雰囲気を出せるようにトランペットでファンファーレを吹く練習をして来てやろう」
「お前は楽器から離れろ!?」
「私、騎士団の楽器隊にいたことがあるのでトランペットもいけますよ!」
「もうなんでもアリだな!被せてこないでもらっていい!?」
相変わらずボケ続けるジェームズと万能ちゃんことセシリアさんにツッコミを入れながら、俺たちはオルグレン家へ向かうのだった。
ルーシャス「いやー久々に戦って楽しかったな」
アリス「ほぼルーシャス様が倒していて流石でしたの!」
ルーシャス「でもこの作者、戦闘描写が苦手だからなかなかこういう話書かないんだよな。今回も描写はなかったし」
アリス「確かにそうですわね...私が弓矢を取り出すシーンぐらいは書いて欲しかったですわ」
すみません...




