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捨てられる予定の皇妃ですが、皇帝が前世の推しだと気づいたのでこの状況を楽しみます! 関連話  作者: 池中織奈


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「ヴィー様はぁ、私のこと、どのくらい好きですかぁ?」

酔っ払いマドロールふたたび。

初めてお酒を飲んだ時のあとぐらい。第一子妊娠前

「わぁ、沢山のお酒! 色とりどりでなんだか可愛い!」




 机の上には、沢山のお酒が並べられている。

 その色やボトルが可愛くて、マドロールは嬉しそうに声をあげた。




 そこは皇帝夫妻の寝室。



 皇帝夫妻は時折二人でお酒を飲む。

 ちなみにだが、マドロールはヴィツィオの前以外ではお酒を飲まないように言われている。ヴィツィオの命令は絶対である。マドロールは本当に寝室でヴィツィオの前以外ではお酒を飲まない。

 酔っぱらったマドロールは無防備で、頭が働いていない状態になるというのが分かったのでそのマドロールを人前に出す気はヴィツィオにはなかった。多分、意図せずに酔っぱらってふにゃふにゃしているマドロールを見た者は口封じか排除されることだろう。



 そういうわけで、マドロールがお酒を飲みたいときはいつもヴィツィオと二人きりである。




(沢山のお酒、これをヴィー様が私のために集めてくれたんだよね。ヴィー様はお酒を飲んでも一切酔わないし、そもそもどのお酒を飲むかもあんまり気にしないタイプだから、この目の前のお酒たちは私のために集められたんだよね。そう考えると嬉しすぎる!! さらっとそんなことをするヴィー様が本当にかっこいい!!)




 マドロールの思っている通り、目の前のお酒はマドロールのために集められたものである。

 中にはそれこそ貴族でもおいそれと手を出せない額のものも並んでいるが、お酒にそこまで詳しくないマドロールは高価なものという感覚しかない。




「ヴィー様、私これにします! ヴィー様も同じの飲みます?」

「ああ」



 そして二人で話をしながら飲み始める。

 ヴィツィオの顔色は全く変わらないが、マドロールは徐々に顔を赤くし始める。




「ヴィー様ぁ、美味しいですかぁ?」

「ああ」

「私、凄く楽しいですー。ヴィー様がぁ、目の前に居て一緒に飲めるなんて夢みたいー」



 へにゃへにゃしながらそんなことを言うマドロール。そして言葉は続けられる。



「ヴィー様はぁ、本当にかっこいいですよねぇー。凄く綺麗でー、男前でー、言葉一つ一つがぁヴィー様って感じでー迷いがないっていうかぁ!」



 度数の高いものを飲んでしまったのか、大分呂律は回っていない。



「ヴィー様、だいすきぃ」


 そんなことを言いながらヴィツィオにくっつくマドロール。



「ヴィー様はぁ、私のこと、どのくらい好きですかぁ?」



 そしてヴィツィオに体重を預けたまま、ヴィツィオを見上げて上目遣いでそんなことを聞く。




「一番」

「えへへ、私も一番、ヴィー様がだいすき!」



 嬉しそうにマドロールは愛らしく笑っている。



「ねぇねぇ、ヴィー様、私がヴィー様のだいすきなところあげるから、ヴィー様もあげてみて!」



 そんなことを言って勝手に始めるマドロール。

 他の人間がそんなことを勝手に初めてやってみてなどといったら首を落とされるだろうが、そこはマドロールなので問題がない。




「ヴィー様はね、かっこいいのー。見た目がすごくキラキラしてて、かっこいいの。見た目だけじゃなくて、ヴィー様はなんか、性格も凄くかっこいいのー。はい、ヴィー様の番!」

「可愛い」

「わぁ、嬉しいー。どんなところが?」

「今のマドロールも可愛い。普段のマドロールもいつも可愛い」

「やったー。私もヴィー様のこと、いつもかっこいいと思ってるのー。えっとね、つぎがぁ、ヴィー様の私を見る目がすき!! なんかね、ヴィー様って基本的に周りに興味ないって感じで冷たい目で、それもかっこいいからだいすき。でもヴィー様が私には優しい目向けてくれるの、凄く幸せだなぁって」

「俺もマドロールの視線が好きだな」

「嬉しい! ヴィー様の、芯が通っているっていうか、ぶれないところもだいすき。人の意見に惑わされなくて、自分が思ったことをやろうとして、それで完璧にやりとげるみたいな。そういうところがヴィー様だなぁって、ときめくの。いつもね、ドキドキしているの。だいすきってなる」

「俺がどういう行動してもおびえずに笑ってるところ」

「逃げるわけないですよー。だってヴィー様が、私が隣に居るの許してくれているんだもん。こんなに幸せなことないもん。ヴィー様、私ねー。凄く幸せだからねー?」



 マドロールは無邪気に笑って、そんなことを言った。




「それで……わひゃしは」

「マドロール、眠いなら寝ろ」

「まだ語りたりにゃいのに……」

「起きたらまた聞くから」

「ほんとー?」

「ああ」

「えへへ、約束ですよー。ねまーす」




 呂律の回っておらず、眠たそうなマドロールはそのままヴィツィオにベッドに寝かせられた。


 そしてヴィツィオに寝かしつけられて、マドロールは眠りにつくのだった。


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