「私がヴィー様の奥さんだって示せるの嬉しいの」―大規模パーティー①―
短編後
「大きなパーティーが行われるってドキドキするー! 私が皇妃として色々しきらなきゃだし、失敗したらどうしましょう!」
「マドロールが失敗しても問題ない」
「ヴィー様の評判を下げるような失敗したらとか考えると、緊張するの」
「大丈夫だ。マドロールにいちゃもんを付けるやつは殺す」
「ヴィー様、物騒なこといいすぎですよー」
マドロールがヴィツィオと結婚して少しが経った。
結婚後、国内の貴族を招いたパーティーは行われていたが、帝国の属国の王族貴族たちを招待するパーティーが行われるということでマドロールは緊張した様子である。
マドロールは元々小国の姫であり、大きなパーティーはあまり参加したことがない。皇妃になってから行われたパーティーも大規模でびっくりしたぐらいだ。今度行われるのは国外の者も沢山来るので、それ以上に大きなパーティーになるだろう。
(……はぁ、ヴィー様の評判を落とさないようにしないと)
皇妃であるマドロールは、その大規模なパーティーを仕切る役割をしなければならないのだ。
それを思うとマドロールはやっぱり大丈夫かなと緊張している。
「マドロール」
パーティーのことを考えて、いつもよりも落ち着かない様子のマドロールの名をヴィツィオが呼ぶ。
「マドロールが何をしたとしても問題はない。だから好きなようにしろ」
「もー、そんなこと言われたら私、変なことしちゃうかもしれませんよ?」
「変なことしても問題ない」
「えー、じゃあヴィー様をたたえるパーティーとかいつか開催してもいいです?」
「……なんだ、それは?」
「ヴィー様って暴君皇帝って怖がられているじゃないですか。私はヴィー様がそんな風に怖がられているの嫌だなって思いますし。ヴィー様のグッズとか沢山作って布教したい」
「いや、マドロールが持っているのはいいが、他にそういう物が広まるのは却下だ」
「ふふ、じゃあ私が自分でヴィー様グッズを作って愛でます!!」
「俺、本人がいるだろ」
「もちろん、ヴィー様本人も愛でますよー」
マドロールはヴィツィオの言葉に嬉しそうな顔をして笑った。ヴィツィオと話していて、先ほどまで考えていたパーティーへの緊張も少しほぐれたようだ。
(大規模なパーティーでヴィー様の妃として立つのはプレッシャーはあるけれど、嬉しいことだわ。色んな人に私がヴィー様の奥さんだって示すことが出来るのよね)
そんなことを考えて、マドロールは顔を緩ませる。
「ヴィー様、私緊張はしているけれど、私がヴィー様の奥さんだって示せるの嬉しいの」
マドロールがそういえば、ヴィツィオは嬉しそうな顔をしてマドロールの頬に手を伸ばす。そしてそのまま口づけを落とした。
キスをされたマドロールは幸せそうな笑みを浮かべる。
そして口づけを落とされて幸せそうなマドロールは、その後、パーティーの準備に気合を入れた。
マドロールは正直、自分が元々小国の姫でしかなかったのでどんなふうにパーティーを仕切ったらいいか結構悩んでいる。なので、素直に周りに意見を聞いてからマドロールはパーティーの準備を進めていた。
「本当に沢山の方が来るのね。沢山の人と会うのもちょっと緊張するわ」
「マドロール様は何も気にせずに、笑っていればいいと思います。陛下はそれだけで喜ぶと思いますよ」
「でもお飾りは嫌だなって思うもの。ヴィー様の助けになれるような皇妃でいたいもの」
「マドロール様は本当に陛下のことが好きですよね」
「ふふ、だってヴィー様が凄くかっこいいのだもの」
侍女の言葉にそう答える。
マドロールは前世からヴィツィオのことを推していたけれど、生でヴィツィオと過ごすうちにますますヴィツィオという存在にのめりこんでいる。
いつ見ても、どんな表情をしていてもかっこよくて、マドロールは楽しくて仕方ないのだ。
「他国の王族の方も来るのよね」
「マドロール様はこの帝国の皇妃ですから、どんな人に何を言われても気にしなくていいですからね」
「ふふっ、そうね。堂々としておくわ」
マドロールはヴィツィオの妻である。栄えある帝国の皇妃である。なので、堂々としていて問題がないのである。
そのことを侍女の言葉で改めて実感したマドロールは、出来る限りのことを頑張ろうと気合を入れるのだった。
他の国からも招待客が来るパーティーが行われます




