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おまけのライカ






本編より時系列は後です。


とりあえずいちゃいちゃするだけのおまけ。

※ローレルさんのツンが抑えめ注意※

※ふたりともテンション高め注意※





ではどうぞ。














おまけの①『幸せだからじゃね?』




「むにむにする」

「なんですか?」

「足が……」

「はい?」

「身体が鈍ったんだ……」


就寝前のまったりとした時間。

長椅子の肘掛けに寄りかかって、半ば横になった状態のローレルがもぞもぞしだす。

そのすぐ横にへばりついて本を読んでいたリンフォードが本を閉じてローレルの方を向いた。


冬の間は寒さと日の出の遅さも手伝って、城への行き帰りはリンフォードの転移でだった。


その前は試しに歩いてみたりもしたが、遠さに負けて次の日には馬で駆けたのもよくなかった気がする。


しょんぼりとしながらもむにむにと揉んでいるローレルの腿を一緒になって揉んでみる。


「むにむにですかねぇ?」

「貴方に私の体の何がわかるんだ」

「ローレルさんからは見えないもの」

「なに?」

「ほくろの数」

「ぅぐ…………そんな話してない!」

「ここですよ?」


腿の裏をするりと撫でられて、ローレルはひゅと息を吸い込んだ。


「あとここ」


腰の後ろも撫でられて、ローレルはがばりと起き上がる。


「あっち行け! さわるな!」

「はい? そんなのいやですよ?」

「そのきょとん顔やめろ!」

「私的にはローレルさんの肉感が戻ってきたようで嬉しいんですけど」

「肉感とか言うな!」

「明日から城門前に転移しましょうか?」

「…………たくさん歩く……」

「この頃落ち着いてきて、ばたばた動き回らなくなりましたもんねぇ……まさか私もむにむにと?」


腹を摘んでいるので、一緒になってローレルもリンフォードの腹を摘んだ。


「……思い当たるフシが……これは大変ですね、ローレルさん」

「むにむにしてるな……」

「探索に行きますか、野営しましょう!」

「それは嫌だ!!」

「三日で締まりますよ!」

「確かにそうだな?!」


そんなことは現実的ではないので、やはり城門前よりもう少し手前の拠点にしている部屋から、毎日歩いて通うと話し合った。


三日で効果は現れなかったが、ひと月も続ければリンフォードは屈んでも苦しくなくなり、ローレルの腿はぱつぱつになりましたとさ。







おまけの②『しるし』







「出来ましたよ、ローレルさんの衣装が!」

「はいはい……分かったから」

「何故に私は追い出されているんでしょう?」

「え? 今仕事中だぞ?」

「私もですよ?」


部屋から外へとぐいぐいと背中を押されていたリンフォードが、ぐるりと向きを変えて前に進もうと力を込めていたローレルの勢いを抱き留める。


そのまま持ち上げてローレルを席まで運んだ。


ゆっくり床に下ろして促すと、素直にローレルは自分の席に着く。


「扱いも慣れたもんだな」

「ローレルさん単純ですからね」

「わぁ、真っ赤だね〜」


顔が真っ赤な人は両手で顔を覆って、すでに机に伏せていた。


「んもぅ。かわいい人ですね!」

「んで、お前、何が何だって?」

「ああそうそう、ローレルさんの衣装がね、出来上がりました! とお知らせに」

「あ〜今度の式典の?」

「もちろんです!」


ウェントワース王陛下、即位記念と銘打っているが、要するに一度ここで臣下を労おうと開催される。

各地の領主も招いて、早い段階での復権を知らしめるのが本来の目的だが。


今回は国内の要人のみにとどめ、翌年には周辺国も招待する予定になっている。


先ずは今現在の人員でどこまで対応できるか、予行演習のようなものだと警備を預かる騎士団は、そう理解していた。


「煌びやかな衣装なんて必要ない」

「分かっていますよ?」

「というか列席者じゃないぞ」

「王から直々に招待されてますけど?」

「私は警護の方だ」

「違うぞ?」

「なんで!」

「お前、魔術師団長夫人だろ?」

「違うぞ?!」

「来年辺りはその枠だろ?」

「予行演習だと思えば〜?」

「何言ってんの? お前ら馬鹿なの?」

「え? もっと早めたいという意味ですか?」

「違うって分かって言うの止めろ、腹立つ!!」


その日の仕事を終えて、屋敷に帰ったローレルはまたも面倒なものを見て、余計に疲れる羽目に陥った。


「…………ひどい」

「どこがですか! これほどまでにローレルさんの魅力を引き出す衣装が他にあるとでも?!」

「……騎士服でお願いします」

「……お断りします」

「これは……見た人が不快になるのでは」

「どこがですか失礼な。まぁ、後ろに男性をぞろぞろ引き連れそうではありますが、ですがそこを私は優越感に変換しますのでご心配なく」

「それだ! この衣装じゃ、背中が丸出しになるだろう!!」

「そうですよ! 程よく筋肉が付いた、引き締まった美しいローレルさんの背中が丸出しの意匠です!! 監修した私は天才ですね!!」


自分で自分に賛辞の拍手を堂々としているリンフォードに眉を顰める。


まさかと思いながら、シャツのボタンを外しつつ、衣装部屋の扉を開いた。


扉の裏側は姿見の鏡が貼りつけてある。


ローレルはシャツを放り投げて、下着も脱いで背中を鏡に向ける。


「…………ウソだ」

「ホントですよ?」

「いつの間に?」

「つい最近ですね」

「どうやって……」

「地道に時間をかけて少しずつ」

「そんなこと」

「できるんですよね、私なら」


まぁ、やっとモノになってきたところですけどとリンフォードはにこにこしている。


「小さな傷から試させてもらいましたよ。ローレルさんからは見えにくい場所からこっそりね。もし話をして出来なかったら申し訳ないんで、今まで内緒にしてました」

「……………ずっと、要らないって、思ってて」

「私もそう思ってました」

「貴方に見られるのも……嫌で」

「貴女ならそう思うだろうと思ってました」

「なんて言えば……」

「あのクソに勝てましたかね?」

「…………ずっと前から勝ってる」


こちらも早いうちにとローレルを抱き寄せて、肩に口付けを落とす。


「……でもあの衣装は着ない……」

「何故ですか?!」

「だって、恥ずかしいから……」

「ぅ…………ぐっ。ちょっとローレルさん、今から寝台に……」

「は? 何言って……」

「ちょうど半裸ですし」

「ちょうどとは?!」

「あの衣装も着てもらいますからね」

「どっちも嫌だけど?!」

「説き伏せてみせますよ、これからじっくりと」




ローレルの叫びが遠く聞こえて、アートとソニアは無言のままで、今夜はふたりで夕食だなと準備を始めたのでした。











おしまい。




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― 新着の感想 ―
[一言] 遅くなりましたが、完結お疲れ様です! いやぁ、リンフォードさん頑張りましたねぇ(笑) いやでも一番頑張ったのはアート君かもしれない ← アート君がお気に入りですww ローレルさんはなかなか…
[一言] 背中の傷跡とか、そういうの私は嫌いじゃない(きっとリンさんも)けど、ローレルさんには辛い記憶だもんね! それに女の子だしね!! 良くやった!しかも気付かれずにとか! 良くやった!! 完結…
[一言] あいやー!! 完結おつかれさまでしたー!そしてオマケもありがとうございますぅぅううう!!! いやーんイチャイチャしやがってぇー デレきれないローレルさん可愛いすぎかー! ヲトオさんの次回作も…
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