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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第二章 目指せ最強へ一歩ずつ!

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#071 ああ〈幸猫様〉すばらしいドロップをありがとう




「ああ〈幸猫様〉! 本日もすばらしいドロップをありがとうございます! こちらお供え物のお肉です。お高いお肉を買ってきました!」


 ギルド部屋にて、神棚に飾られた御神体。〈幸猫様〉に祈る。


 今日は〈姫職〉三人による〈熱帯の森林ダンジョン〉の初挑戦だった。

 そのため今回、周回はしていない。

 周回なんてしたら余韻もへったくれも無いからな。


 しかし、これがビギナーズラックというものなのか、それとも〈幸猫様〉の祝福なのか、一回の銀箱で、彼女たちはかなりのレアドロップを引き当てた。


 宝箱は〈木箱〉〈銀箱〉〈金箱〉と三種類ある。

 ガチャ基準で言えばそれぞれ〈コモン〉〈レア〉〈スペシャル〉と考えていい。

 しかし、当然ながら〈レア〉一つとってもピンからキリまで様々だ。たまに〈スペシャル〉超えの〈レア〉だって現れることもある。〈『ゲスト』の腕輪〉とかな。


 そして今回は〈レア〉の中でもかなり良い方向のレアドロップが出た。これは〈幸猫様〉の『幸運』の影響に違いない。


 さらにだ。普通のボスドロップでも一番のレア度を誇る〈クマアリクイの大毛皮〉を3個もドロップしていた。

 俺があんなに周回して1個しかゲットできなかった物を3個だ。

 やべぇ。超やべぇ。

 これ絶対〈幸猫様〉の恩恵だろ!? 間違いないぜ。


 ということで神棚にお供え物をしているわけだ。


「皆も祈れ。〈幸猫様〉に感謝を捧げるんだ。そして次はもっと良い物を願うといい」


「欲に(まみ)れまくってるじゃない! もっと純粋に感謝しなさいよ」


「可愛いですよね〈幸猫様〉。でも撫でちゃいけないのですか?」


「はい。ゼフィルス君が言うには触るなんてとんでもないって」


「呆れたわね。少しくらい触らせてあげなさいよ」


 可愛い物好きのエステルとハンナが()でたそうに〈幸猫様〉を見つめているが、とんでもないことだ。

 俺たち〈ダン活〉プレイヤーは祈り、(あが)(たてまつ)る。それが当たり前である。

 だって〈幸猫様〉だぞ?


 しかし、それを理解していない若干数名。

 特にシエラは自分に掛かっている『幸運』が誰の恩恵かを知っているにも拘らず、ひょいっと〈幸猫様〉を手に取った。


「ああ!?」


「我慢なんてしなくて良いわ。これはぬいぐるみだもの。愛でたければ愛でなさい」


「いいのでしょうか」


「ゼフィルス君、ごめんね?」


 なんということだ。

 女子高生にバズるようメチャ可愛くデフォルメされた魅力に抗えなかった3人によって〈幸猫様〉が攫われてしまう。

 今や〈幸猫様〉は3人の女子高生(16歳組)の手の中だ。あ、今ラナも加わったので4人に増えた。


 あれ? おかしいな。

 さっきまで嘆いていたのに今は〈幸猫様〉が羨ましく見える…。

 〈幸猫様〉の顔が蕩けているように見えるのは気のせいか?

 (※気のせいです)




 〈幸猫様〉に今まで感じたことのない感情を覚えて困惑していると、ポケットに入れていた学生手帳がピコンと音を鳴らした。


「んあ?」


 迷宮学園の学生手帳は、校則などの基本的な事項、ミールのキャッシュの他に、学内の情報発信端末の側面も持つ。

 学内掲示板へのアクセスなんかがその筆頭だが、学内のニュースや特記事項等も見ることができる。


 そして時々、学内で重大な事柄が起こったときなど、こうして音を鳴らして確認を勧めてくることがある。


 珍しく、というか初めて学生手帳が自己主張した事もあって、俺を始め、他の四人も困惑しながら学生手帳を取り出していた。

 どうやら全校生徒に発信されているらしいな。せっかくなので俺も中身を確認する。


「おお。こいつはすごいな」


「ちょっと。自分だけ納得してないで私たちにも教えなさいよ」


「ん?」


 ニュースを見て驚きの声を上げると、全員から注目を集めていた。

 何故か俺待ちの様子だ。


「いや、自分で見られるだろ?」


「やり方が、その、よく分からないのよ」


 シエラがちょっと目を逸らして言う。


 ああ。

 元現代人の俺はスマホなんかでこういう操作は慣れているが、こっちの世界ではこういう端末は一般的ではない。学園でのみ使える限定的なものだ。

 つまり、入学して10日ほどの彼女たちはまだ操作に慣れていないのだろう。


「そういうことか。了解、じゃあ………、いや待てよ」


「ゼフィルス君?」


「いや、せっかくだから見に行ってみるかと思ってな」


「どういうことですか?」


 俺が椅子から立ち上がるとエステルが代表で聞いてくる。

 その質問に、俺は嬉々として答えた。


「ギルドバトルの開幕だ。しかも、今回ぶつかるのはあのAランクギルドとSランクギルドの一角らしいぜ」





 場所は変わってとある建物。

 そこは各ギルドバトルが行われている施設の一つだ。

 名前は〈ダンジョンギルドバトル・総合アリーナ〉通称:アリーナ。


 その施設はリアルでもゲームみたいな見た目というか、もう施設からしてゲーム的というか。


 ぶっちゃけアリーナの中は、すべてダンジョンになっている。

 これは電子学生手帳と同じく古代のアーティファクトを使った技法とかで、所謂ダンジョンメイキング、つまり人工的に作ることの出来るダンジョン施設という設定だった。


 ほぼ好きにモンスターを配置できるほか、罠という名の様々なギミックやフィールドを作る事ができるためギルドバトルが大いに盛り上がる。衆人環視の下行われるビッグエンターテインメントであった。

 会場が広すぎる事もあり、モニターなんかも数多く配置されている始末。エンタメする気満々だ。


 これが迷宮学園の…、いや〈ダン活〉最高のメインイベントである!



 そして今日はとあるギルドとギルドの対決が、ここアリーナで行われる事になっていた。

 速報と書かれたニュースには、

 

 Aランクギルド〈千剣フラカル〉 VS  Sランクギルド〈キングアブソリュート〉


 第一アリーナで16時から開催。


 そう、書かれていた。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
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