表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第九章 〈エデン〉昇格試験と夏休み企画!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

490/2138

#437 ぶつかる〈エデン〉と〈アークアルカディア〉!




 終盤戦突入。

 今までフェイクや見せ掛けだけで、どんな狙いをするのか分からせないよう立ち回っていたが、そろそろ仕掛けよう。


 なに、やることは単純だ。〈北巨城〉と〈西巨城〉を落としポイントで逆転し、〈東巨城〉と赤本拠地を防衛して勝利するシンプルな目標。


 だが、ただそれをすれば簡単にひっくり返されて終わるだけだ。

 なので、少し捻り、どう落とせば勝利に繋がるのかを考える。それが作戦だ。



 俺とパメラが〈西巨城〉の攻略へ入る。

 これに対し、〈アークアルカディア〉もすぐに情報交換に集まり、ノエル、ラクリッテ、レグラム、カイリが〈東巨城〉へ向かうこととなった。二手に分かれる様子だ。


 そのまま〈アークアルカディア〉も〈東巨城〉の攻略に入らんとしようとするが、それは難しいな。

 何しろ〈東巨城〉にはリカが〈援軍〉を務めている。

 リカを倒さなければ巨城の攻略は難航するだろう。


 基本的にEランク昇格試験では対人戦は無し、とはなっているが一部例外がある。

 それが〈援軍〉だ。

〈援軍〉とは本拠地や巨城で相手の攻撃を防ぐためにメンバーを派遣する戦術のことである。

 防衛モンスターだけでは手が足りないため援軍を送る、という意味になる。


 なぜ〈援軍〉だけはありなのか、これが無しになってしまうと試験官側は簡単に本拠地を落とされてしまうからだな。

 攻勢に出ることはダメだが、相手の攻撃を防衛するのは可、となっている。

 もちろんやりすぎはダメだ。そのため〈援軍〉はリカ1人となっている。


 さて、〈アークアルカディア〉はどうするかな?


「む、レグラムが指揮して戦闘に入ったか。バッファーのノエルにデバッファーのラクリッテ、高火力のレグラムがいる。こりゃリカもちょっと本気を出さなくちゃ厳しいか?」


 どうやらレグラムたちはリカを倒し、〈東巨城〉をいただく狙いのようだ。

 なるほど、狙いは悪くない。それが成功すればまず間違いなく〈アークアルカディア〉が勝利するな。

 しかし、勝てれば、の注釈が付く。


 リカはそう簡単に倒せるほど(やさ)しくはないぞ?


 ノエルがバフを掛けて全体をサポートする中、ラクリッテが両手盾で前へと出た。

 ラクリッテはタンク&デバッファー。ルルのような構成だが、ラクリッテの方がよっぽど堅い。堅さ特化だな。


 繰り出すは【ラクシル】の十八番とも言われたスキル、『ポンコツ』! 相手をポンコツにして攻撃力、魔法力、防御力、魔防力を低下させるやべぇスキルだ。

【ラクシル】タンクはこれと挑発を掛け続ければ機能する、とまで言われたユニーク級スキルである。むちゃくちゃ強いぞ。

 本当にむちゃくちゃ強い。強いのだが……、『ポンコツ』はその特性上、盾でコッツンこしなくては相手にデバフが掛からない。名前のとおり狸人(ポン)アタック(コツ)しなくてはいけないのだ。

 モンスター相手なら余裕なのだが、対人だと……、特にリカみたいなパリィ型タンク相手だと、――バンバン迎撃されてしまう。


 あ、また弾かれてラクリッテが吹っ飛んだ。いや、両手盾を地面に突き立ててギリギリ弾かれるだけに押さえたようだ。


 レグラムはその隙にリカへ果敢に攻めるが、リカの防御を抜くことは難しいようだ。さすがリカ、完全に抑えている。




 おっと、余所見をしているうちにアイギス先輩と仲良し三人娘が(エデン)本拠地へ向かうのが見えた。

 アイギス先輩の助言かな?

 いい狙いだ。

 しかし、本拠地にはシエラとミサトがいる。

 これも難しいだろう。


 案の定、赤本拠地へ隣接したアイギス先輩が躊躇した。

 シエラはタンクではあるがSTRは200もある。

『カウンターバースト』されれば今のLVの低いアイギス先輩ならワンパンされる可能性もある。

 結局仲良し三人娘と共に〈北巨城〉の周辺マスを取ることにしたようだ。


 しかし、その判断は遅かったな。

 すでに俺とパメラ組は〈西巨城〉の仕掛けを終え、〈北巨城〉の攻略に入っていた。

 それを見たアイギス先輩が叫ぶ。


「〈西巨城〉が落ちていない? それにあのHPは、ま、マズいです! 止めないと!」


「アイギスちゃん、どうしたの!?」


 今頃になって俺たちの狙いに気がついたアイギス先輩。

 その狼狽した様子にサチが驚いていた。あとサチはいつの間にかアイギス先輩をちゃん付けで呼ぶようになったようだ。いや、これはどうでもよかった。


 そう、アイギス先輩が言ったように俺たちは〈西巨城〉を落としていない。

 落ちるギリギリ、HP残り3%くらい残して放置したのだ。


 城のHPは自然回復しない。

 そのためずっと虫の息状態だ。

 つまり、好きなタイミングで落とせるという意味になる。


 アイギス先輩が焦るのが分かった。


 しかし、俺とパメラがいるのは保護期間で守られたマスだ。

 今更止めることはできない。


 となるとアイギス先輩たちの選択肢は限られてくるな。


「巨城周りのマスを取り払います! 西と北です! 急ぎましょう!」


 うむ、いい指示だ。巨城は隣接マスを取らなければ攻撃できないルールだ。

 なら、隣接マスが取れないよう周囲のマスをひっくり返し、進行を阻害するのが現在の最善。

 しかし、それを見越していない俺ではない。


「うう、こんなあちこちにマスが! あ、あんな所にまで!?」


 まあ取りづらいよう、いやらしい感じにマスを踏んだからな。

 あちこちに赤マスが点在しすぎてどこから回れば効率的か分からなくなっている様子だ。

 これ、全てを赤く塗りつぶさず、適度に白マスを残しておくのがポイントである。そうすると程よく混乱するのだ。

 狙い通り。


 時間を稼いでいる間に〈北巨城〉も残りHPが3%くらいになったので放置する、これであと一、二発攻撃すれば落とせる巨城2つの出来上がりだ。

 そのまま俺とパメラは〈西巨城〉と〈北巨城〉の周囲のマスを取り尽くされないようオセロしまくる。


 アイギス先輩率いる仲良し三人娘とオセロ勝負だ。

 スピードはこちらに分がある、手数は向こうが上だ。

 だが、時間的に全てを白く塗りつぶすのは難しいだろう。


「く、ダメです防げません! このままでは本当にマズいです。急ぎ〈東巨城〉か赤本拠地を攻略しないと!」


 アイギス先輩にはこの先の展開が読めているようだ。高得点。

 しかし、仲良し三人娘は初のギルドバトルだ、まだピンと来ていない様子だ。


 現在のポイントは、


 〈『白5510P』対『赤2740P』〉〈残り時間4分09秒〉

 〈巨城:白2・赤1〉

 〈ポイント差:2770P〉


 ここで〈エデン〉が〈北巨城〉〈西巨城〉をひっくり返せば4000P獲得で逆転。

 そして現在、これを覆すのが難しい状況だ。

 何しろ〈北巨城〉と〈西巨城〉が虫の息で、最速の俺かパメラが走れば簡単に落とせるからだ。

 たとえ〈援軍〉を配置しても、抜かれて攻撃された瞬間終わりなので防ぐのはほぼ不可能。


 これは防げないと判断したアイギス先輩は急ぎ、〈東巨城〉を獲得し2000Pを獲得して再逆転を狙う考えだ。本来ならこの対応で問題は無い。

 しかし悪いけど、そうは簡単にはいかないぜ?


 俺は残り4分という時間で中央北から南に真っ直ぐ道を引いた。

 この道は2分間横断できません。

 そして、西寄りでマスをひっくり返していたアイギス先輩たちは見事に通行止めを食らった。


「き、北側から回り込むのです! 急いで!」


 さすがアイギス先輩。ここで俺たちのいる南側から回り込もうとすれば時計の九時型に道を引いてインターセプトしようと思っていたが、北に向かったことで捕まらなかったな。


 俺とパメラはそのまま虫の息の〈西巨城〉へと向かう。


 白本拠地を横切り、妨害されないよう保護期間のマスをばら撒きつつ、〈西巨城〉で時期を待つ


「〈残り時間:2分08秒〉! 頃合いだ! 行くぜパメラ、『ソニックソード』!」


「オーイエーデース! 『巨大手裏剣の術』デース!」


 すり抜けざまにスキルを叩き込むと残り3%だったHPが吹っ飛び〈西巨城〉が落ちた。

〈エデン〉に2000Pが入り、2分間の保護回復期間が発生する。

〈西巨城〉の保護明けは2分後の〈残り時間:0分04秒〉だった。

 つまり、再度ひっくり返すには4秒で落とす必要がある。まあ、まず無理だ。


 そのまま誰にも邪魔されること無く〈北巨城〉にもダッシュ。

〈北巨城〉には隣接マスがあるので、途中にある小城は全て無視して最短距離で駆けた。そして〈北巨城〉もすり抜けざまに落とし、さらに2000P獲得。〈エデン〉が逆転した。


 そのままの勢いで今度は〈東巨城〉へ向かうと、そこではアイギス先輩、仲良し三人娘、レグラム、ノエル、ラクリッテ、カイリと、〈アークアルカディア〉全員がリカ、ミサトとやり合っていた。ミサトはどうやら本拠地に襲撃がないとみてリカの加勢に来たようだな。


「!! 〈援軍〉が来たよ! ゼフィルス君とパメラちゃん!」


「わ、大変!」


「どうするアイギス先輩?」


 俺がやってきたところで三人娘がいち早く気づき慌て出す。

〈残り時間:1分22秒〉。

〈東巨城〉は少々削られてはいたがそれでも残り70%ほどのHPを保持していた。

 すごいなリカとミサト。いや、さすがにダブルスコアほどのLV差があるのだからこれくらいはやれるのか?


「こ、このままでは挟み撃ちになります。仕方ありません、一か八か、赤本拠地に狙いを変更。クールタイムが明けたばかりのスキル、魔法を全弾撃ち込みます!」


「「「ラジャ!」」」


 アイギス先輩と三人娘は方向転換、南下して赤本拠地を狙うらしい。時間が無くて慌てたな。


 ちなみに俺とパメラは試験官的に見てこれ以上の〈援軍〉は過剰と判断してその場に待機したのだが、アイギス先輩たちはそれに気が付かず赤の本拠地へ行ってしまった。

 まあ、このまま〈東巨城〉を攻撃し続けてもリカたちのおかげで落とせないだろうし、手薄な赤本拠地を狙うのは悪くない。

 が、そちらにはシエラがいる。

 1分しかない時間を持ちこたえるくらい、訳は無い。


「ここは通さないわ」


「押し通ります!」


 盾を構えるシエラと馬に乗って駆けるアイギス先輩。その後ろから三人娘が続く。


「はあ! 『騎槍突撃』!」


 アイギス先輩がスキルを発動して仕掛けた! しかし、


「それはエステルでたくさん見たわ。『カウンターバースト』!」


「きゃあー!」


 アイギス先輩の『騎槍突撃』、騎乗時だと威力が大きく上昇する非常に強力な攻撃だが、シエラは苦も無くカウンターを決めた。馬に乗っているかいないかの違いはあれど、スキル自体は見慣れているものだ。シエラを突破するには足りなかったようだ。

 アイギス先輩のランスがシエラのカイトシールドに触れた瞬間、特大の衝撃がアイギス先輩を吹き飛ばし、HPを一気にレッドゲージまで削り取る。


 ちなみに馬のダンディ君は無傷だ。

 ダンディ君のダメージもアイギス先輩のHPに入るからな。


 そして仲良し三人娘もそれを見て、シエラを無視し遠距離から赤本拠地を直接攻撃するが、シエラの『インダクションカバー』で全て防がれ、残り時間は20秒を切る。


「ああーもうダメー!」


「ああん時間待ってー」


「ここまでかー」


 三人娘はなんとかシエラを抜こうとしたが、ここでスキルを使えば赤本拠地に叩き込むスキルが無くなる。八方塞がりになった。


 ここで残り時間がゼロになり、ギルドバトル終了のブザーが鳴り響く。


〈アークアルカディア〉のEランク昇格試験が終了した。


 〈『白5700P』対『赤6800P』〉〈残り時間0分00秒〉

 〈巨城:白0・赤3〉

 〈ポイント差:1100P〉逆転。


 ――〈エデン〉の勝ち!




イメージ図を作製しました!


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] イメージ図だと、 『巨城は2×2マス』なのに 『本拠地は1×1マスを、縦横合わせて9マス』とか、 隣接マスの概念はどうなってるんだろう? もしかして、本拠地は中心の1×1マスだけ…
[良い点] おもしろかったです さすが廃ゲーマーの主人公 戦術の多さがものをいいましたね [一言] いい試合でした アイギス先輩の昇格は確定かな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ