#419 カンストへの道。カンストラッシュ始まる!
ギルドバトルが終わり、〈エデン〉はDランクへと昇格した。
引っ越した部屋は大部屋1つと小部屋が4つ入ったギルド部屋で、やっと小部屋の方を色々と利用できるようになったな。
今までハンナの魔石部屋とか、素材の倉庫部屋とか、うん。主に倉庫としか使っていなかったけど、これからは生産部屋なんかを作りたい。いや作る!
とりあえずQPを使って〈部屋設置型・空間収納倉庫LV10〉を注文しておいた。
収納スペースが一番デカいやつだな。くくく、これで色々捗るぞ~。
主に回収した素材の保存に困らなくなったな。
それと、色々付属品を設けまくった中級〈錬金セット〉も注文、小部屋1つを錬金生産部屋へと改造していく。
また、ハンナが料理もしたいと言い出したので錬金部屋の一部にキッチンも取り付けた。
ギルド部屋の一室がハンナ専用部屋になってしまったが、まあいいだろう。
そしてDランクになったことで最も重要な事がある。上限人数が増え、最大20人を加えることが出来るようになった件だ。
やっと20人だな。
ここまで長かったような短かったような。
おっと、感傷に浸るのはまだ早い。
今回〈エデン〉には5人の枠ができた。
これには、以前の大面接で採用した下部組織〈アークアルカディア〉のメンバーから昇格してもらうことになるだろう。
その後には、また下部組織の面接をしようとミサトから話を持ちかけられている。やることは多い。
さて、ではその昇格の時期だが、これに関してまだ見極めが足りないということで期末試験の後を予定している。
本音は期末試験の結果も加味してメンバーに入れるかを決定した方が良いとシエラからの助言だ。
確かに、赤点者をメンバーに加えてしまい、その後の夏期休暇の時に補習でダンジョン行けませんとなれば〈エデン〉の活動に支障が出る。
下部組織のサブメンバーにもこれは通達しておいた。赤点を取れば昇格も無しになると聞いてみんな気合いを入れていたよ。震えている者もいたが。
というわけでこれから2週間は〈アークアルカディア〉と交流しつつ誰を〈エデン〉メンバーに昇格させるかを見極めるとして、俺たちは俺たちで試験前最後のダンジョンを楽しみ尽くすため、土日は〈猛獣の集会ダンジョン〉で〈バトルウルフ(第三形態)〉狩りへとしゃれ込んでいた。
「やったわ、LV75! カンストよ!」
「ラナ様、おめでとうございます。私も今の戦いでLVがカンストいたしました」
「エステルもなのね! やったわね!」
「はい!」
生きの良かった〈バトルウルフ(第三形態)〉が尻尾を垂れ下げてクゥ~ンと鳴き始めた頃。(土曜日のお昼過ぎ)
とうとう下級職がLVカンストするメンバーが現れ始めた。
元々LV71と〈エデン〉の中でトップレベルだった俺、ラナ、エステルがまず初めにLVカンストしたのだ。
ちなみに今回はラナとエステルのBチームが〈バトルウルフ〉を狩ったため2人がカンストした、俺はその前にお先にカンストさせてもらっている。
「ラナ、エステルおめでとう」
「ラナ殿下、エステル、おめでとう」
「おめでとうなのです!」
「2人ともおめでとう」
「ん、おめおめ」
門から出てきたラナとエステルを、俺、シェリア、ルル、リカ、カルアの順で祝っていく。
カルアのは祝いの言葉なのか?
まあいい。めでたいことだし、細かい事は言いっこなしだ。
とにかくやっとLVカンストだな。
Cランク戦はLVカンストがデフォルトだ。Cランクに上がるには〈15人戦〉で全てのメンバーがLVカンストしているのが最低条件となる。
これでCランクに一歩近づいた。Dランクに上がったばかりだけど。
またそれだけではなく、中級上位へ行くにもこれは必要なことだった。中級上位の入ダンLV制限60からとなっているが、実際ボスの推奨LVは75だ。レアボスなら最低でも高位職でLV75が必要だった。
この中級中位でレベルカンストに勤しんだのは、そんな中級上位へ向かうための準備だな。
他のメンバーもほとんどカンスト間近。いい感じだ。
この調子でどんどんいくぞ!
その後もカンストラッシュは続いた。
元々高レベルだったシエラ、カルア、リカが夕方にはカンストし、翌日日曜日の15時にはルル、シェリア、シズ、パメラがカンストする。
これで〈エデン〉のメンバーは下級職LVカンスト者が10人となった。
みんなでカンストを祝っていると、俺の元にそっとシエラが寄ってきた。
「ゼフィルス、これからどうするの? 帰還するかしら?」
「いいや、レベルカンストした事だし、いっちょ中級上位ボスの強さを確かめておくのも良いんじゃないか?」
「いいわね! 賛成よ!」
シエラの問いに答えると、いつの間にか側に居たラナが賛成の声をあげる。
いつの間にそんなに近くに居たんだラナ?
「つまりレアボスね。今までよりかなり慎重にLV上げしていたみたいだけど、やっぱりそれほど強いのね?」
「ここの〈バトルウルフ〉は中級中位でも難易度の高いダンジョンだからな。そのレアボスも中級上位の中では高位に当たる。LVはカンストしておいた方がいいな」
「なるほどね」
中級上位、ここは非常に難易度が高いダンジョンとして名高い。
多くのギルドがこのダンジョンで足踏みし、攻略が進んでいないのだ。
その理由は、単純な力押しが制限されたこと。
今までLVを上げれば後は力押しでクリアできたのだが、ここではLVがカンストしてしまい、中級中位をクリアした時とほぼ同レベルで挑まなくてはいけないなんてこともざらにある。
故に、今まで高LVに頼って攻略してきたギルドはここをクリアできないのだ。
また、中級上位ダンジョンにはそのダンジョンによって攻略の難易度がかなり違ってくる。
例えば中級上位で最も難易度の低いダンジョン〈夏日の荒野ダンジョン〉は低位職でもクリア出来る難易度に設定されているのに対し、難易度が中間くらいにある〈四季の妖精ダンジョン〉では、もう低位職では非常に厳しい難易度となっている。
これによりダンジョンによって等級付けが行なわれており、低位職でもギリギリクリア出来るダンジョンを〈ランク1〉~〈ランク3〉としているな。〈夏日の荒野ダンジョン〉は〈ランク1〉のダンジョンだ。
ちなみに〈四季の妖精ダンジョン〉は〈ランク5〉相当と格付けされている。
このリアル世界では、ほぼ全てのギルドが中級上位で止まっておりどのランクのダンジョンをクリアしたかで競っているとか聞いたな。
俺のギルドは〈ランク6〉相当だぜ~、とか言って自慢しているのかもしれない。
ちなみに俺たちのDランク試験を担当してくれた〈花の閃華〉は〈ランク5〉相当だそうだ。
こほん、話が逸れた。
それで、この〈バトルウルフ(第三形態)〉のレアボスは当然のように〈バトルウルフ(第四形態)〉だ。
その難易度は、〈ランク7〉相当に匹敵する。
高位職をかき集めないと厳しいレベルのボスだ。さすがに今回は安全のため、全体のLVがカンストするまでレアボスの登場を控えさせていたくらいだ。
低確率でツモった時用に、ボスを再リポップさせるアイテムなんかも持って来ておいたほど、準備を入念にしなければ安心出来ない相手である。
まあ、このアイテムを使う機会は無かったんだが。
さて、ものは試しだ。
全員が〈最強育成論〉の通りにステ振りを行ない、準備が完了したところで俺は笛を片手に持ってみんなに宣言した。
「これからレアボス狩りをするぞ!」
「「「「おおー!」」」」
作者から後書き失礼します。
変更点のお知らせです。
416話でパメラのスキル『影縫い』の効果が〈鈍足〉となっていましたが。これは体内系の状態異常でした。影縫いは外からの封印系なので体外状態異常の〈束縛〉が適当でした。申し訳ありません。
効果変更『影縫い』〈鈍足〉→〈束縛〉
〈鈍足〉・〈束縛〉の効果、「動き・行動が鈍くなる」




