表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第八章 〈エデン〉下部ギルド創立と連続試験

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

445/2138

#402 続・〈支援課〉採用枠! 【冒険者】は不採用。




 ニーコの自己紹介が終わり次へと進む。


「私だね」


 ニーコの隣に座っていた女の子が立ち上がってペコリと頭を下げた。

 あまり整えられていないボーイッシュなショートの紫髪がサッと揺れ、同じく紫の目は力強く、気が強そうなスポーツ女子を思わせる。飾り気は無く、見るからに体育会系といった雰囲気だ。

 身長はエステルに迫るだろう、健康的な脚が美しい。


「私もニーコ君と同じく〈支援課1年2組〉に所属している、カイリという。以前はEランクギルド〈アドベンチャーズ〉で活動していたのだが、諸事情あって〈アークアルカディア〉でご厄介になることになった。職業(ジョブ)は【シーカー】でLV13。まだまだ初級者だが、将来的には頼れる探索者になれるよう頑張る所存だ。担当はダンジョン道中での罠や隠し通路、宝箱発見、斥候、索敵など行なうことになる。よろしく頼むよ」


 そう言って再びペコリと礼をするカイリ。

 全員が拍手を送る。


 実はカイリもニーコと同じく、こちらがスカウトした組の1人だ。

 職業(ジョブ)は【探索者】系の高位職【シーカー】。

【探索者】系の職業(ジョブ)はその名の通り、ダンジョン探索に特化した職業(ジョブ)だ。


 カイリの言った通り、斥候から索敵、罠の発見に解除、宝箱の探知に隠し部屋や隠し通路の発見も出来、地図の作製技能も持つ。さらに上級職になれば上級ダンジョンから発生する地形についても対処が可能で、ついでに採集系にも多少の補正を持っている。

 正直、〈戦闘課〉以外ならどこでも活躍できる万能職業(ジョブ)だ。

 その代わり、戦闘関係のスキルは一つも無い。完全に探索特化構成である。


 戦闘力は正直あまり期待できないが、ダンジョン道中だけを見ればかなり強力な職業(ジョブ)だ。

 今後、上級ダンジョンへ進出するにあたり、非常に面倒な地形が登場する。

 砂漠、火山、氷雪地帯、雪山、樹海などなど。地形ダメージなんかも登場するようになる。

 そういう場所ではアイテムである程度防げたり切り(ひら)けたりも可能であるが、やはり【探索者】系の職業(ジョブ)持ちが1人いると安心だ。

 いないと絶対行き詰まるからな。


 ちなみに近い系統に【冒険者】というグループもあり、こちらは戦闘にも精通している、しかしその分探索においては微妙な部分も有り器用貧乏になりがちだ。生産職が戦闘をやるようなものに近く、どっちつかずな部分がある。

 そのため、どちらかというと戦闘は戦闘職、探索なら【探索者】系を使おうというのが俺の考え方だった。

 もちろん【レンジャー】や【ハンター】などと組み合わせて欠点を補いつつ【冒険者】を使うのも有りだ。

 これは人の好みにもよるな。


 改めて俺はメンバーに【探索者】の有用性を語る。


「上級は地形がネックになる。実は〈サンダージャベリン号〉では走破できない悪路も盛りだくさんになるし、隠し通路があって下の層への道が隠されている事もある……そうだ。そんなときに【シーカー】が居れば攻略が容易くなるだろう」


 上級ダンジョンのことなので、聞いた話だ的な感じにしつつ語った。


「昔〈キングヴィクトリー〉を散々苦しめたという地形の事ね。当時王子だった現国王様が【シーカー】をメンバーに加え、難関を突破したと聞くわ」


 そう補足してくれるのはシエラだ。

 初見の上級では【シーカー】もしくは【探索者】系上級職を入れるのは正解だ。

 隠し通路とか、ゲームではヒントがあったけどすごく見逃しやすかったし、【探索者】系を入れておかないとまずクリアできないだろう。いや、できなくはないが、【探索者】無しでやろうとしたら、どんだけ時間を食われるか分からない。

 当時の王の判断は英断と言えるだろう。


「ほへぇ」


 シエラの話を聞いてハンナがほへる。

 メンバーのカイリを見る目が変わったな。


「ふふ、期待が熱いな。私に出来る限りのことはさせてもらうつもりだ。頑張らせてもらうよ」


 カイリはそう恐縮そうに苦笑いして席に着いた。



 こんな優秀な職業(ジョブ)をEランクギルドに所属させておくなんて勿体ない。

 カイリが元所属していたギルド〈アドベンチャーズ〉は【探索者】や【冒険者】、〈採集課〉や〈罠外課〉、そして〈調査課〉など様々な分野の職業(ジョブ)持ちが在籍するギルドだった。

 そこだけ見れば優秀な人材の宝庫と言えるギルドだろう。


 ただ欠点を上げるとすれば戦闘職がほぼ居なかったことだ。

 故にダンジョンで成果を上げられず、ギルドバトルすら挑めず、ずっとEランクギルドに甘んじていたらしい。

〈アドベンチャーズ〉に所属するメンバーはその才能を生かし切れず、埃を被りまくっていたのだ。


 そこに登場したのが我らが頼れるスカウトマン、ミサトだ。

 俺の要望通り、【探索者】系、できれば【シーカー】を頼む、という依頼を遂行するためミサトが直接〈アドベンチャーズ〉に乗り込み交渉。

〈アドベンチャーズ〉には【探索者】の3年生が2人、そして【シーカー】のカイリが所属していたので、まずカイリが候補に上がったのだ。


 また、【冒険者】ですっごい売込みをかけてきた人もいたらしいが、【冒険者】の高位職【ビッグアドベンチャー】ならともかく【冒険者】はいらないので断った。


 カイリは性格的にも問題はなかったため、〈エデン〉の要望通り、【シーカー】のカイリに決まった形だ。


 選ばれなかった【冒険者】の人は膝から崩れ落ちて眼から大量の汗を流していたらしい。

 ミサトが「たはは~」と言いながら、そう報告してくれた。口ぶりからその人はミサトの知り合いだったっぽいが。

「いいのか?」と聞いたらいいらしいのでそのまま【シーカー】のカイリを採用し、引き抜いて今に到る。


 すまんな【冒険者】の人。


 そういえば、その人は「ならば俺は自力で合格してみせる!」と言っていたらしいが、その後どうなったのだろう?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 今まで初見のダンジョンや、レア職の条件を 明かしてみせたのに上級ダンジョンだと 詳しくしたない風を装うのはちょっと不自然。
[気になる点] 獣人専門のギルドとかの特殊ケースを除外すれば、ギルドは同学年でまとめるのが合理的だと思われます。 3年生も在籍しているのにEランクにくすぶるようなアドベンチャーズに、高位ジョブ発現した…
[一言] >「ならば俺は地力で合格してみせる!」 自力=レベル が足りなく、 戦闘が中途半端なので、レベルが上がりづらい、 という悪循環ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ