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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第七章 〈エデン〉大面接と中級中位攻略!

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#392 やっとこの時が来たか〈金猫の小判〉発動!




「来たか!」


「〈金箱〉なのです! キラキラなのです!」


〈猫キング〉の消えた後に残った金色に輝く2つの宝箱。

 それを見た瞬間俺とルルは叫んだ。

〈幸猫様〉、ありがとうございます!

〈猫キング〉はレアボスではないので宝箱2個は〈幸猫様〉の恩恵だ。


 それと、やっと〈小判〉が仕事をしたようだな。

 おお、〈金箱〉様〈金箱〉様、お待ち申し上げておりました!

 いつ見ても神々しい美しさです!


「ゼフィルス、来た」


「待たせたなゼフィルス。さっきは遅れをとった」


 そこへやって来たのはお供を相手にしていたカルアとリカだ。

〈猫キング〉が消えたことで自然とお供も消えたらしいな。


 お供はボスより弱いはずだが、どうも倒しきれなかったようだ。

 1体は倒したようだが、もう1体は倒す前に終了してしまったらしい。

 ここの猫型モンスターは強いからな。〈白猫〉も〈黒猫〉も猫の中の精鋭だ。

 タンクとアタッカー1人じゃ倒すのに時間が掛かりすぎるか。


〈猫キング〉の方は実質アタッカー2人、いや、俺もチョコチョコ攻撃していたから3人で削っていたことになる。

 そりゃ倒す時間に差が付くだろう。


 次からはお供は引き離すだけで無理に倒さず、ボスを4人で攻める戦法に変えるか?


 そんなことを考えるが、まずは労いの言葉だな。


「お疲れ様。カルアもリカもよく頑張ったな。リカはそんなに落ち込まなくてもいいぞ、相性が悪かったんだ」


「うむ、分かってはいるが、ゼフィルスのタンクを見ているとな……。精進いたそう」


「あまり気負いすぎないようにな。よし、反省はここまでだ! 見ろリカ、カルア! あの宝箱が目に入らぬか! イベントの始まりだ!」


「ん、〈金箱〉。2つ。ゼフィルス、テンション高い」


「ゼフィルスはいつもあれを見るとこうなるな」


 カルアとリカが俺を見て妙なことを呟くがスルーする。

〈猫ダン〉に来て初めての〈金箱〉だぞ? 中級中位(チュウチュウ)初めての〈金箱〉だぞ? テンション上がるだろう!


「話は聞かせてもらったわ!」


「聞かせてもらったよゼフィルス君!」


 とそこへラナ登場! ついでにハンナも登場する。

 な、なん、だと!?


「どっから現れた!?」


「もちろん門が開いたからそこからに決まってるでしょ!」


「シェリアさんがおいでってしてくれたんだよ」


「さいで!」


 後衛のシェリアは一番門に近い位置にいたからだろう。

 さっきからこっちに来ないと思っていたが、ラナたちを呼び寄せていたらしい。


「綺麗な〈金箱〉ね」


〈金箱〉を見つめるラナとハンナの目が怪しい。


「開けちゃダメだぞ?」


「あ、開けないわよ!?」


 ならなぜつっかえる?

 俺はラナに疑いの眼差しを向ける。


「な、何よその目は、失礼しちゃうわ。み、見るだけよ。本当よ? ね、ハンナ」


「も、もちろんだよゼフィルス君。見るだけだから、〈金箱〉から何が出たのかだけ見させて?」


「うむ」


 まあ、さすがに〈金箱〉を横取りはしないよな。どうやら疑心暗鬼になっていたらしい。俺は疑いの眼差しをやめる。


 そこへ続々とメンバーが集まってきた。

〈金箱〉が出たという話が広まったのか、みんな興味津々で〈金箱〉を見つめている。

 中級中位ダンジョンの〈金箱〉だ。それはもう注目の的だろう。

 全員が集まったところで俺は宣言した。


「さて、今回の〈金箱〉だが、〈エデン〉を代表し、俺が開けようと思う!」


 せっかくの記念すべき初めての中級中位ダンジョン産〈金箱〉だ。

 ここはギルドマスターである俺が開けるべきだろう。

 前回中級下位(チュカ)の時に物申してきたラナとハンナはむむむと言わんばかりの顔だ。

 先ほど見るだけと言ってしまったからな。ラナとハンナは参加できないのだ。ふはは!

 と、勝ちを確信していたところ(何に勝ったのかは不明)意外なところから手が上がる。


「ルルも一緒に開けたいのです!」


 なんということだ。小さい手を精一杯上げてアピールするのはルルである。

 まさかの展開だ。純粋さが眩しすぎて溶けてしまいそうだ。

 俺はハッとしてシエラのほうを向く。


 前回、記念すべき中級下位(チュカ)初の〈金箱〉の時は結局ラナとハンナ、そして俺で大いに揉め、最終的にシエラの雷が落っこちたのだ。あれは恐ろしかった。

 シエラは今でこそ様子見しているが、俺がここでルルを突っぱねれば再び雷を落とされかねない!


 ふう。俺は学んだのだ。

 みんなで開けよう宝箱。シエラの雷、恐ろしい。

 あの時のように同じ轍は踏まないのだ。


 幸い、宝箱は2つある。

 しかし、ルルの一緒はそういう意味では無かった。


「ゼフィルスお兄様と一緒に開けるのです!」


「じゃあ一緒に開けるか!」


「開けさせません!」


「あっれぇ!?」


 共同作業の申し込みに物申したのはシェリア。その腕はすでにルルを捕まえ、絶対にあなたには渡さないと言わんばかりだ。


「ルル、開けたいのなら私と開けましょう?」


 まさかの伏兵。

 ルルが手を挙げたらシェリアが俺のポジションを奪いに来た。


 しかし、


「シェリアお姉ちゃんとは隠し扉の時に一緒に開けたのです! 今回はゼフィルスお兄様と一緒に開けたいのです!」


「そんな!?」


 ルルのセリフによってシェリアは撃沈した。


 ということで今回、宝箱を開けるのは俺とルルの共同作業に決まった。

 もう一つの宝箱がシェリアとなる。


 ルルに手を引かれて宝箱の前へ移動する。


「ゼフィルスお兄様、ここ、ここに屈んでください!」


「お、おお。ここ?」


「そしてルルはここなのです!」


 ルルによって誘導され宝箱の正面に屈むと、俺の腕の中にすっぽり入る形でルルが入ってきた。

 まるで俺がルルを背中から抱きしめているかのような構図だ。ルルはこの形で宝箱を開けたいらしい。

 ルルがスーパー幼女だからこそできる共同作業だった。

 あれ? でもこれ傍から見たらやばくない?

 チラリとみんなの方を向くとワナワナとしたラナと目があった。


「ちょっとゼフィルス、あとで覚えてなさい?」


「ゼフィルス殿、後で話があります」


「…………」


 ラナとシェリアの目がマジだった。ついでにシエラはジト目だ。

 俺はサッと目を逸らし、目の前の宝箱に集中する。

 後のことは未来の俺に任せればいいのだ。

 頑張れ、未来の俺。


「ゼフィルスお兄様、せーので開けるのですよ?」


「そうだな」


 ルルと一緒に宝箱に手を添える。

 ルルの身体が小さいので難なく後ろから手を回して宝箱を掴めた。

 準備は万端だ。ルルのほうも小さな手で宝箱の両側に手を添えている。


「「せーの!」」


 二人の声が重なり、宝箱を開いた。

 みんなで中を覗きこむ。


 中から出てきたのは、白と黒を基調とし、中心に金の王冠の意匠が輝くオカリナだった。


「〈オカリナ〉キターー!」


 それは〈レアモンの笛〉シリーズ、正式名称〈レアモンのオカリナ〉という、レアモンスターを呼び寄せる〈笛〉アイテムだった。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] 猫の精鋭って、なんか不思議な言霊…。
[気になる点] >あの時のように同じ轍は踏まないのだ。 これだと『あの時は(反省して)失敗していないし、今回も失敗しない』って意味に取れませんかね? シンプルに『あの時と同じ轍は踏まない』でいいと思…
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