#388 〈猫ダン〉も後半に突入。〈木箱〉が辛いです。
〈猫ダン〉に挑戦した翌朝、今日も一日ダンジョンだ!
朝から気合いを入れて11人のメンバーで〈猫ダン〉再入場。
今日は最奥をクリアする予定だ。
1層は朝早くだというのに多くの上級生の姿が多く見られる。皆女子だ。
猫の園に行きたそうなメンバーを抑えて転移陣に乗り、まずは10層にショートカットする。
なぜ10層かって? もちろん〈ニャブシ〉狩りのためだ。
日が変わればフィールドボスの多くが復活する。〈猫侍のニャブシ〉も復活しているので、武器、防具の〈金箱〉狙いでガンガン狩っていこうというのが狙いだ。
今回はBチームで〈ニャブシ〉に挑戦し、10分程度で決着が付いた。
「グニャア……」
「ふふん! 朝のウォーミングアップにはちょうど良かったわ!」
なんかラナが手に腰を当てて大物ぶっている。
いや実際大物だったな。
今回も遠距離攻撃のラナが大活躍だった。さすがである。
「フ、グニャア」
「『フ、また来いニャ』だって」
「だから通訳しないであげてと何度も……」
〈ニャブシ〉のセリフをカルアが通訳。やめて、〈ニャブシ〉のイメージが崩れちゃう!
手遅れ感があるが、きっと気のせいに違いない。まだ間に合う!
さて今回ドロップしたのは……〈木箱〉だった。〈金猫の小判〉発動せず。残念。
まあしかたない。〈金箱〉はそう簡単に出るものでは無いのだ。次に期待することにしよう。
俺たちはドロップを急ぎ回収し、20層に転移した。
そこでまたフィールドボスの〈波猫のウミニャ〉が復活していたのでAチームで狩る。
こっちも〈木箱〉だった。マジかよ。
今日はここからが本番だ。
門を潜り、先へと進む。
21層からは中級中位ダンジョンの後半ということで難易度がまたガラリと変わる。
出てくるモンスターが強力になるのはもちろん、罠が多く見られるようになるのだ。
〈ダン活〉のダンジョンというのは、基本的に罠は後半にこそ多い。
これは、罠が〈罠外課〉の貴重な収入源になるため、上層では取り尽くされているという設定であるためだ。
罠は資源なのだ。採取ポイントと同じく、後半は手つかずなので多く残っているということだな。
〈エデン〉ではトラップを感知できるのは俺、カルア、シズ、パメラ、セレスタン、リーナの6人、解除できるのはシズ、パメラ、セレスタンの3人だな。またカルアは爆破破壊専門なので、急いでいない時は解除優先だ。
セレスタンがいないので、今回はシズ、パメラを中心に前と左右を警戒しながら進んでいく。
途中で罠を見つければ解除できるなら解除。避けられるなら避けて、それ以外の場合は破壊する。罠を破壊すると勿体ない精神が刺激されるのは〈ダン活〉ならではだな。罠は結構高値で売れるのだ。
だけど『罠解除』のスキル持ちであるにも関わらず解除が苦手な子もいて。
「ひー! また失敗して作動したのデース! ビリビリ来たのデース!」
「ドンマイだパメラ。『リカバリー』! 〈麻痺〉が解けたらまた再開できるな」
「す、スパルタなのデース!」
「ん。ゼフィルス、爆破する?」
「しないであげて? 今パメラは練習中だからな」
パメラの『罠解除』の成功率は今のところ6割といったところか。
パメラは性格のためなのか細かい事が得意では無く、罠を解除するのが苦手でよく作動させてしまう。その都度こうしてリカバリーしてあげて再チャレンジさせている。解除できるまで。練習あるのみだ!
待つのが苦手なカルアが『罠爆破』スキルですぐ爆破破壊に走ろうとするがなんとか押さえる。
壊れた罠を持ち帰っても買いたたかれるかゴミになるだけなので、できれば無事に持ち帰りたいのだが……。
また、逆に罠の解除が得意なのはシズだ。
メイドなためか細かい仕事が得意な彼女は秒で解除を済ませる。
単にDEX値の差なだけな気がしなくもない。スキルレベルは同レベルだからな。
パメラはDEX値がそんなに高くないのだ。
逆にシズはDEX値がすでに400を突破している。秒で解体も頷ける。
中級中位ダンジョンの後半に現れるのは罠だけじゃない。
隠し扉も現れる。
〈隠し扉の万能鍵(鉄)〉で開けられる隠し扉が後半には集中しているのだ。
時間を見て、回れそうな所は全部回る。ハンナにも宝箱を開けさせてあげたいしな。
回れなかったところは……仕方ない、また後日来よう。
30層までに3カ所の隠し扉を回り、〈銀箱〉を3つゲットした。詳細は、
スキル『幸運』を戦闘終了後まで付与する使い捨てアイテム〈幸運の小猫札×10〉。
『HP+50』『MP+50』の能力を持つアクセ装備の〈月猫の指輪〉。
パーティの『体内状態異常』を浄化する強力な使い捨てアイテム〈浄化の粉塵〉のレシピ。
〈幸運の小猫札〉だけはちょっと使い道が無いな。一度使うと無くなってしまうし。
俺たちにはすでに〈幸猫様〉の恩恵がついている。スキル『幸運』は、残念ながら、非常に残念ながら重複できないのだ。本当に残念だ。そっとバッグにしまっちゃう。
下部組織が出来たら渡してあげよう。
しかし、他の2つは悪くない。〈月猫の指輪〉はシエラが装備することになった。
タンクのMP枯渇は怖いからな。同じ受けタンクのリカには侍装備を貸与する予定なのでシエラに決まった形だ。(ニャブシ狩り継続決定)
〈月猫の指輪〉を渡されたシエラに何か女子たち集まっていたが、どうしたのだろうか? シエラが「ぜ、ゼフィルスだもの、深い意味は無いのよ。多分」と何やら言い訳しているセリフが聞こえた気がしたが、多くの女子たちの声でそれもかき消されてしまい、よく聞き取れない。
しかも話に入ろうとしたら追い出された。仕方ない、次に移るとしよう。
〈浄化の粉塵〉は切り札になり得るほど強力なアイテムだ。絶対にゲットしておきたかった。後でハンナに作って貰おう。素材は〈猫ダン〉にたくさんあるからな。
ということでこのレシピはハンナ行きだ。帰ったら早速マリー先輩に『レシピ解読』を頼むとしよう。
そんな感じで順調に進んで30層。
守護型フィールドボスの〈親猫のハハニャ〉が待ち構えていた。
こいつはとんでもないボスで、眷属猫を3匹使役してくる。つまりお供がいるボスだ。
猫型モンスターはただでさえ強いのにお供がいるのだ。強敵である。
こいつは5人パーティでの攻略はちょっとリスクがありすぎるため、今回はハンディが嵩んでも10人2チームで挑む事にした。
1チームがお供を相手にしている間に1チームがボスを倒す布陣で挑むのだ。
最初はヘイトが入り乱れてお供とボスが一緒になってしまったりと失敗もあったが、なんとかお供を引き剥がすことに成功。Bチームがお供を受け持ってくれている間にAチームがボスを倒して片が付いた。
宝箱は、今回も〈木箱〉だった。3連続〈木箱〉、だと……。
いや、これはよくあることだけど。くっ! 〈金猫の小判〉よ、次こそお願いします!
手元の〈小判〉にお願いすると、冷たい風が吹いた気がした。ゾクリときた。
ハッ! これは〈幸猫様〉の気配!? ち、違うんです。もちろん〈幸猫様〉にもお願いするつもりでした! 〈幸猫様〉! 次こそどうか、いいドロップをお願いいたします!
ニコリと笑った〈幸猫様〉が鷹揚に頷いた気がした。(多分気のせいです)
途中そんなこともあったが、30層の転移陣を無事起動した一行はそのまま進み、徘徊型ボスを回避し、とうとう最奥、40層に到達したのだった。




