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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第七章 〈エデン〉大面接と中級中位攻略!

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#376 方針決定と新たなメンバー加わる!




 ハンナが攻略に参加しない決断をした翌日。

 今日は火曜日。


 昨日エステルにキャリーを頼んでルル、シェリア、シズ、パメラの3つ目の中級下位(チュカ)の攻略を手伝ってもらった。

 これで中級中位(チュウチュウ)に挑める戦力が揃った。


 おかげで、今日からは本格的に中級中位ダンジョンに挑む事ができる。


 先日ギルドメンバーに伝えていたことを、今日も朝のミーティングで告げる。


「今日は中級中位ダンジョンに10人で挑む。メンバーを発表するぞ」


 現在中級中位(ちゅうちゅう)への入ダン条件を満たしていないのは、セレスタン、リーナ、ミサト、メルトの4人。他の11人は全員が条件を満たした形だ。

 そして11人のうちハンナ以外の10人が今回、中級中位ダンジョンに挑む事になる。


「あれ、ハンナは?」


 メンバーの発表が終わったところでラナがきょとんとした声を上げた。

 思わず出ちゃったと言った感じだった。

 いつも一緒に最前線を攻略してきたため、ハンナがいないのがとても不思議に思った様子だ。


「ハンナは生産で攻略を支えてもらう予定だ」


「そうなの?」


 ラナとエステルの初期メンバーたちが驚愕して見つめるがハンナもコクりと頷いたので、それ以上言ってこなかった。


 話を続けてその理由となる今回の目標なども語っていく。


「今回の目標はダンジョン週間中の中級中位ダンジョン3カ所の攻略だ。2日で1つのダンジョンをクリアする予定だ」


 そう告げると少しだけざわめいた。主にミサトやメルトのいる辺りからだ。

 そんな事が可能なのかという疑問の視線を感じる。


 しかし他のメンバーは慌てることなく俺の言葉に耳を傾けてくれていた。

 他のメンバーは俺が何をやってここまで来たか知っているので信頼してくれているのだろう。


 シエラにも言われたが、俺は自分ができると思ったことしか言わない。

 毎度ゲームの頃のデータベースを使い、シミュレーションを重ね。可能だろうと判断したものしか提案していない。

 ゲーム〈ダン活〉時代は、より効率を求めた。どんなLVならクリア出来るのか、時間配分はどう組めば短縮出来るのかなどなど。


 その凝縮された成果という名のデータが全て俺には詰まっている。

 6日で中級中位ダンジョン3カ所の攻略、まったく問題ないというのが俺の見解だ。

 なんともならなかったらエステルのキャリーという奥の手もある。


 あっとそうだった。忘れるところだったぜ。


「それと、紹介したい人たちがいるんだ」


「紹介したい人、ですって?」


 俺の発言をラナが繰り返した瞬間、ゾワリと背中に変な汗をかいた。

 な、なんだろう。ラナを始め何人かの女子たちの目が一気に鋭くなった気がした。気のせいであってもらいたい。


「ああ、んん。こほん。以前にも言った下部組織(ギルド)のメンバーだ」


 上ずりそうな声をなんとかごまかして、なんとかそう告げる。

 すると、なんか重くなっていた空気がスッと晴れていった。


「もう。下部組織(ギルド)なら紹介したいメンバー(・・・・)って言いなさいよね。身構えちゃったじゃないの」


「お、おう。すまん」


 俺の言い方に問題があったみたいだ。確かに、なんか大切な人を紹介したいみたいな感じになってしまったかもしれない。発言に気をつけなければ。


 とりあえず誤解も解けたのでセレスタンに視線を合わせると、彼は優雅な一礼をしてギルド部屋から出て行った。

 そして数分後に「お連れいたしました」と言ってドアをノックされる。


「入ってくれ」


「どうぞ」


「えええっと、失礼いたします!」


「おはようございまーす」


 セレスタンがドアを開くと、2人の女子が入ってきた。

 その姿は対照的で、片や緊張でガッチガチに固まっているが片や緊張なんか無いように間延びした声だ。


 緊張しまくっているのは、「狸人」のカテゴリーを持ち、高位職【ラクシル】の職業(ジョブ)を持つ女子、ラクリッテだ。

 黒に近い茶髪に黒に近いグレーの瞳、カルアと同じくらいの小さい身長にちょっとふっくらした丸い顔が幼い印象を抱かせる。

 そして、そんな体とはアンバランスな大きな両手盾を持っていた。

 ラクリッテは優秀なタンクである。


 もう1人は「男爵」のカテゴリー持ちであり高位職【歌姫】の職業(ジョブ)を持つ女子、ノエルだ。

 平静に見えるのは、横にいるラクリッテがド緊張しているため逆に平静でいられるのだと以前教えてくれた覚えがある。

 身長はシェリアと同じくらいに高く、スタイルがいい。

 明るいブラウンの髪を背中に流し、頭にカチューシャ、左右にリボンをつけている。パッチリとした同色の瞳がとても綺麗だ。キラキラしている。

 白と青を基調としたアイドルコスチューム装備に身を包み、片手にマイクを持っている。

 攻撃、防御、強化、回復と、様々な活躍が期待できる優秀なオールマイティ担当だ。


「紹介するよ、下部組織(ギルド)に新しく加入することになったラクリッテとノエルだ。2人ともかなり優秀だぞ」


「ゆ、ゆゆ優秀だなんてそんな!」


「照れちゃいますね」


 褒めるとド緊張しているラクリッテがさらに上がってしまい、ノエルは少し頬を赤らめて照れるしぐさをする。


「ラクリッテです! よろしくお、おねがいいたします!」


「下部ですが〈エデン〉の末席に加わらせていただきますノエルです。よろしくお願いします」


 2人の自己紹介が終わるとメンバーがパチパチと拍手を送った。

 続いて〈エデン〉のメンバーを軽く紹介する。


「それでゼフィルス、なんでこのタイミングで2人を呼んだの?」


 おっと、ギルドメンバーの顔合わせが済んだところでラナから鋭い指摘が飛んだ。


「それなんだが、下部組織(ギルド)って結成がダンジョン週間後だって前に言っただろ?」


「ふむ、確か応募者が別のギルドに所属しているので脱退してから、と言っていたな」


 リカの応えに俺は頷く。


「そうだ。まあいきなり脱退すると言ったら向こうのギルドも困るからな。そのための引継ぎ期間というか、そういうものを設けていたんだが。ラクリッテとノエルはその辺がもう済んじゃったわけだ」


「私たちは同じギルドに居たのですが、〈エデン〉に加入できなくても脱退するつもりでしたから」


「そうなのね」


 俺とノエルの言葉にラナを含めメンバーが納得の表情をする。

 ラクリッテとノエルにも色々と事情があったようだ。


「まだ他の下部メンバーが揃っていないからギルドは正式に立ち上げられないが、パーティとして参加するのなら話は別だからな。せっかくだから参加してもらうことにしたんだ」


「うん? ゼフィルス、参加って何よ」


 一度は納得したラナが続いた俺の言葉に再び首を傾げた。

 現在〈エデン〉は15名、うち10名が中級中位(チュウチュウ)に行くと決まったところだ。

 残り5名でダンジョンに行くのなら枠に余りは無い。つまり参加は不可だ。誰かと入れ替えるのかとラナは疑問を持ったのだろう。


「残り5名のうちセレスタンとハンナの代わりにノエルとラクリッテが入る。今日からダンジョン週間中はリーナをパーティリーダーとし、ミサト、メルト、ノエル、ラクリッテの5人でパーティを組んで欲しい」


「え!」


 俺の宣言に声を上げたのはラナだけじゃなかった。

 メンバーの視線がセレスタンとハンナの下にいく。

 その視線はいったいどうしたのかと告げていた。

 そこでセレスタンが一度立ち上がり一礼して告げる。


「失礼いたします。そろそろ僕はサポートに専念させていただきます。今後はダンジョンを一緒にするより、支援を中心に行なっていく所存です」


「本当にそれでいいんだなセレスタン?」


「はい。ダンジョンに入る時間は少なくなりますが、その分〈エデン〉を支えていきたく思います」


「そうか。了解した。これからもよろしく頼むぞ」


「もちろんでございます。こちらこそよろしくお願いいたします」


 そのやり取りをメンバーは何事かと見つめていた。

 要はセレスタンの言ったとおりだ。俺たちが心置きなくダンジョンに行ける様にサポートをメインに担当する事になったのだ。

 いや、なったというか本人の希望だ。セレスタンは元々ダンジョンに行く時間が厳しく、メンバーの中でも育成が遅れ気味であった。


 まあ、しかたない。セレスタンには他に仕事もあるようだしな。時間が足りないらしい。

 それに【バトラー】は元々サポーターだ。ギルドバトルでは活躍できるが、実はダンジョンではそれほど光らない職業(ジョブ)だ。

 ぶっちゃけ【闘士】系の職業(ジョブ)の方が戦闘では強いからな。


 故に、そろそろ後方支援に移りたいとセレスタンから言われていた。

 この機会にそれを了承した形だ。


「ちょっと待って! じゃあハンナもそうなの!?」


「え、えっと……」


 ラナが慌てたようにハンナに問う。

 ハンナが困ったようにこちらを向いたので、俺がそれに答えた。


「ああ。ハンナはこれ以上攻略に参加するのが厳しいんだ。だから後方支援に移ってもら――」


「ちょっと! 今までハンナは頑張ってきたでしょ! なんでメンバーから外すのよ!!」


 説明しようと思ったら食い気味に遮られた。

 話を聞いたラナの目が怒りに燃えている。

 しかし、俺は怯まないぞ。ちゃんと考えてあるんだ。


「まあ、待て、最後まで聞け。別に後方支援だからってダンジョンに一緒に行かないなんて言ってないだろう」


「うん? どういうことよ?」


 ラナの瞳の炎が少し鎮火する。今だ。畳みかけよう。


 まあ、ハンナには生産に集中してもらいたいとさっき言ったが、生産する場所はどこでもいいわけだ。


「ハンナには〈『ゲスト』の腕輪〉を装備して馬車に常駐してもらうことにしたんだ。馬車内がハンナの生産部屋な。だからダンジョンではハンナも一緒だ」


「……へ?」


「そ、その。えへへ」


 俺の発言にラナがキョトンとした顔でハンナを見て、ハンナはなぜか照れていた。


 攻略には参加できないとは言ったがダンジョンに参加できないわけじゃない。

 ボス戦が出来ないだけで、ハンナはダンジョン探索自体は可能だ。


 ということでハンナは現地生産&採集担当としてダンジョンに参加してもらうことにした。

 今回で言うならダンジョン攻略組10名+補助1名だ。

 ボス戦に参加できないなら救済場所(セーフティエリア)で生産だ。


 ハンナは今後もダンジョンについてきてもらうぞ。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公は王女の婚約者じゃないよね? なんで身構えるの? むしろ「彼女が出来たから紹介するな!」て言われても何も言えない立場だよね? 婚約してるんなら分かるよ?浮気だもんね?よく有るざま…
[良い点] ハンナの戦力外通告が次話で速攻解決してした(笑) 確かに、側についていくだけならゲストの腕輪で解決しますね。敵には狙われないし、Lv制限も無くなるし。仲間が倒した敵の経験値は入らないけど…
[気になる点] レベル上限解放って、攻略以外にあるのかな? 無いならボスが倒せない職のレベル上限が結果的に低くなるってことだよね… それともボスを倒さずとも攻略となるダンジョンがあるのかな…? [一言…
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