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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第四十二章 〈エデン〉フルメンバー50人!ファミリーズ4体勢揃い!

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#1858 エリアボスの戦い。ルート猫道を逆走するボス




 5層を突破し、俺たちはその後も順調にその足で未踏のダンジョンを進み続けた。

 ちなみに例のネコミミカチューシャは、争いの元になるみたいな話になり、個人に貸与するのではなくギルド全体で楽しもうということに決まった。

 スクショが光りそうだ。ワクワクするぜ。


 6層でも3つのチームに分かれて移動。

 遠回りだけど猫が比較的少ないルート、そこそこ近い道だけど猫が多いルート、そして猫道で進むのが色々な意味で難易度が高いものの、モンスターはほぼいないルート。


〈猫界ダン〉を攻略する場合、この3つのルートを調べながら進む感じにほぼ決まりかな。

 そう思っていたところなんと6層でとあるハプニングが発生することになる。それはルート猫道(ねこみち)で起きた。


 ここはその名の通り、猫の通り道。なのに猫がいないとはこれいかに?

 故にであろうか、とうとう今まで動かなかったエリアボスが動き出したのだ。


「『ゼフィルスさん! そちらにエリアボスが接近中! 私たちが設定していたルートを逆走する形で進んでおりますわ! このままですとエンカウントします!』」


「おっとリーナから通信だ! この道の先からエリアボスが接近中だそうだ! このままではぶつかるらしいぞ」


 リーナから通信が入って全員に通達する。

 そう、今回ルート猫道を通っていたのは、俺たち1班だったのだ。あと4班と7班も一緒に行動しているぞ。


「6層でエリアボスがもう動き出すのか……!」


「ぶっとばす?」


「それとも斬る?」


 同じ1班のミジュと4班のカルアが物騒なことを聞いてきた。リカの驚き方を見習ってほしい。

 なお、真っ先に「回避する?」の選択肢が出てこない辺りが〈エデン〉らしい。

〈エデン〉にとって、ボスとは経験値と宝箱なのだ!(ゼフィルス済みの思考です)


 猫道は猫が通るような場所なのでかなり狭く戦闘に不向き。

 実際俺たちも、現在キャットタワーの5階から渡り廊下っぽいところを進んでいる最中だった。立体的過ぎるんだ猫道って。


「ならば、一度降りよう。少し前に開けた場所があった。そこで迎え撃つのはどうか?」


「それが有効だな。リカの案を採用しよう!」


 4班のリカの案をリーナに告げると、ナビをしてくれた。

『ギルドチェーンブックマーク』と『投影コネクト』のコンボでボスの居る場所の上に矢印が立ち、俺たちに居場所を教えてくれる。どうやらリーナはカイリからエリアボスが動いたことを教えてもらい、俺たちをナビするべく〈竜の箱庭〉を展開してくれたようだ。


 俺たちが向かうべきはキャットタワーの1階だな。あそこがちょっとした広場になっている。


「アイコンは2らしいな。1班と4班でやるから7班は待機していてくれ」


「了解だよ~」


「が、頑張ります!」


「みんながんばってねー!」


「再びネコミミを期待します。ネコ尻尾でも良いです」


「カタリナはそれで何をする気ですか?」


 同じく1班のノエルとラクリッテが意気込み、7班のフラーミナ、カタリナ、ロゼッタが応援の言葉を口にして離れていく。

 ちょっとした広場に到着して陣形を整えて待ちの構えに移行すると、早速その猫が現れた。――上から。


「『直感』さんが反応! 上から来るぞ!」


「ショートカット!」


 おっとこのボス猫さん、5階のキャットタワーからジャンプして飛び降りてきたよ。

 まあ想定内だ。猫のボスだもんね。空中を足場にできる猫もいるので、上から襲われることも多いのだ。


 そいつは如何にもボス猫風。

 トラ柄の7メートル級の猫にして4足歩行。如何にもお腹を空かせていそうな「獲物発見!」みたいな顔をしていた。HPバーには2のアイコン。

 こいつは2パーティ推奨ボスだ。


「ニャー!(ごはん!)」


「んんん!? 私たちはご飯じゃない!」


「カルアの猫語解読、久しぶりに聞いたな!?」


 1班は俺、ノエル、ラクリッテ、ミジュ、アルテ。

 4班はリカ、カルア、ルル、シェリア、マシロだ。


「猫さんと言えどルルの仲間はやらせないのです!」


「ルル、かっこいいです!」


「はい! 私も言ってみたいです!」


 ルルがシャキーンとヒーローな決めゼリフを言ってシェリアとマシロの心を掴んでいたな。

 俺の心も掴まれてしまったぞ!


「それじゃあ今回は私が『看破』しますね――『看破』! これは、〈此処(ここ)いらのトラボス猫〉というそうです」


「そのまんま……」


 今回はアルテが〈幼若竜〉で『看破』してくれたが、その名前にミジュがポカンとしながら感想を呟いていて、俺の腹筋にもぶっ刺さった。心と腹筋が危ない!

 此処いらは信州とかの方言だっけ?


「よし、こいつは〈トラボス猫〉と呼称する!」


「それじゃあ歌っちゃうよ~♪ ラクリッテちゃん、よろしくね!」


「はい! ボス交代のお時間です! 『カチカチ』! 『ぽんぽこぽん』!」


「ニャー!」


 ノエルがバフで全体を強化していけば、ラクリッテがヘイトを上げてタゲを取る。

 猫もハンディがあるだけのボスなので簡単にラクリッテの方に向かって、肉球を振り上げてズドンする。

 強烈な肉球スタンプだ。きっと「ボスの座は渡さんにゃー!」とか言いながらスタンプしたに違いない。


「ん。私たちは獲物じゃない。むしろ獲物はあなた」


 違った? やっぱりご飯的な感じで見られているのか?

 カルアの猫語翻訳が絶好調だった。


「ニャー!」


「うわっぷ!? す、凄い衝撃です! 『ノックバック耐性』があっても少し下がらされました!」


「気をつけろラクリッテ! その猫の肉球には、触れたものを弾き飛ばす弾力があると見た!」


「そ、そうなんですね! 気をつけます!」


「なんだか真面目なのかそうではないのか、分かりづらいな」


 真面目なラクリッテが俺の真面目な注意事項に頷くが、内容があれなのでリカが変な顔をしていたんだ。

 しかしこれがかなり重要。猫は肉球で攻撃するとき、そのぷにぷにの肉球で盾を弾くのだ。ぽよんって。

 これが結構強力で、今のラクリッテのように防御していてもノックバックしてしまう。その隙にまた攻撃されればノックバックダウンすら取られかねないのだ。


「私もサブタンクとしてフォローする。行くぞ――『白羽流し』!」


「ニャー!?」


 それはつまり、ラクリッテだけの1タンクだけだといつ崩れてもおかしくないということで、リカはちょっと変な顔をしつつもキリッと真面目な表情に戻し、〈六ツリ〉の受け流しスキルを使ってラクリッテをフォローし始めた。


 お互いがフォローし始めると戦闘が安定する。

 弾かれるとすぐにリカが入ってフォローするのだ。

 今までのレイドボスとの戦いで、タンクをフォローし合うという基本を磨いてきたのが今生きている。


 タンクが安定しているうちに俺たちも攻撃しまくっていると、85%くらいHPを削ったところで猫の挙動が変わった。

 

「ニャニャー!」


「ニャーがニャニャーに変わった!」


「邪魔なのはあなた。そのまま宝箱にする!」


 きっと「邪魔するにゃー!」とか言っていたのだろう、カルアが短剣を構えながら言い返していた。

 と、ここでボスの挙動が変わる。


「あ!」


「これは!」


 続いて振られるのはダブル肉球スタンプ!

 後ろ脚で立った〈トラボス猫〉が肉球スタンプをラクリッテとリカ、なんと両方に当てに来たのだ。

 つい防御してしまったラクリッテとリカが弾かれて若干のノックバックをする。

 そしてその時には、〈トラボス猫〉がラクリッテに向けて飛び掛かってきていたのだ。


「ラクリッテちゃん!?」


 これは避けられない。これを受けたらラクリッテはダウンしてしまう。リカもノックバックしているのでフォローできない。

 さすがは最上級ボス。かなり強烈な攻撃をお見舞いしてくれたよ。

 だが、こっちのヒーラーを甘く見てもらっては困るぜ。


「アルテ!」


「『ユニットスイッチ』!」


「ニャニャー!?」


 バクンと大きな猫の口がその場で(閉じ)られる、しかし当たる直前ラクリッテが消えてしまい、ボスは困惑の声を上げたのだ。


「あ、ありがとうございますアルテさん」


「これが私の役目だから気にしないでくださ~い」


「ニャー!!(せっかくのご飯が逃げたニャー!)」


 そう、ヒーラーのアルテがラクリッテを攫ったのだ。

 今回、ボスがタンクのダウンを狙ってくるという強烈な戦闘スタイルだったため、もしものためにリカに加えてアルテもいつでもフォローできるよう備えていた。


 それが役立った形だな。

 危なかったよ。あのままだとラクリッテは頭から〈トラボス猫〉にガジガジむしゃむしゃされてしまうところだったからな。


「ニャニャー!(新しいご飯ニャー!)」


「追いかけてきた!」


「ん! ヒナはご飯じゃない!」


 なお、ボスはアルテの後ろに乗るラクリッテを発見して猫ダッシュ。いや、視線がヒナに向いている? ここで追いかけっこが発生。かなりの速度だ。並走しながらカルアが斬っているが気にせずに涎を垂らす勢いでダッシュしているな。


「クエ~!」


 なお、〈戦車特級鳥せんしゃとっきゅうちょう・アサルテッドピュイチ〉のヒナは、アルテに向かって目で「やる? やっちゃう?」とか聞いている。鳥の下剋上か?

 もちろんアルテは却下する。


 リカの下に駆け寄ると、リカにボスを押しつけた。


「ニャニャー!」


「先ほどはやってくれたな。だが、もう喰らわないぞ――『双・燕桜』!」


「ニャ!?」


 ズッッドン!!

 リカが選択したのは下級ユニークスキル、超カウンタースキルだ。

 突進に合わせてやられたカウンターはボスを完璧に止め、前脚を真上に上げたポーズで一瞬固まる。――そこへ。


「おかえし――『森界・ヴィクトリーストロング・ベアード』!」


「ここで仕留める――『512・ヘル』!」


「ニャ!?」


 ミジュが強烈な〈六ツリ〉パンチをガラ空きのボディに叩き込み、カルアが512の連続斬りをぶっ放したのだ。

〈トラボス猫〉はあまりの衝撃とダメージにそのままひっくり返り、ダウンしてしまう。

 そのお腹には、しっかりクマの肉球のあとがくっきり付けられていた。

 見事な意趣返し!


「総攻撃だ!」


 ダウンしたので総攻撃。

 これが決め手になり、ついに〈トラボス猫〉のHPはゼロになり、膨大なエフェクトの海に沈んで消えていったのだった。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
演奏職専用装備として〈三味線〉がドロップしたら、流石に乾いた笑いが出る。
ドロップ、流石にネコ尻尾はないよな。 ……………ないよね?
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