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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第四十二章 〈エデン〉フルメンバー50人!ファミリーズ4体勢揃い!

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#1857 〈猫界ダン〉初の〈金箱〉、学園に寄贈する?




「そこまでよニーコ!」


「ぬ!? ラナ殿下といえどぼくの歩みを妨げられないよ!」


 おっと珍しい展開。

 ニーコとラナが〈金箱〉の前で火花をちらしたぞ! さらにはそれで終わらない。


「そこに――とう! 争いは御法度なのです!」


 ルル参上!

 さすがはヒーロールル、きっと仲裁に来たに違いない!


「ここは間を取ってルルが開けてあげるのです!」


 違った!

 ルルも〈金箱〉を狙ってるぞ! これは俺も参加するしかない!


「待ってもらおうか! それならば俺が開けようじゃないか!」


「ゼフィルスはボス戦に参加してなかったでしょ!」


「それを言うのならラナ殿下もだが!?」


「はいはい寸劇はそこまでよ」


 おっと、ここで終了のお知らせ。

 シエラが手を叩きながら仲裁してくれたんだ。これが本当の仲裁だぞルル?

 なお、当のルルはすでにシエラが確保済みだった。早い。

 俺たちのあれこれが寸劇扱いにされてしまったぞ。


「ふう。これで憂い無く開けられるよ。――シエラ君、勇者君たちの面倒はしっかり見ていてもらわないと困るよ?」


「勝手に動くのよ」


「おかしいな。俺が言うことを聞かないシエラのペットみたいな扱いを受けていないか?」


「ルルもシエラのペットなのです?」


 なるほど、シエラのペット。そしてペット仲間のルルか。

 どうしよう、悪く無いんじゃないかと思っている俺がいる。

 ゲフンゲフン! きっと気の迷いに違いない!


「それよりも〈金箱〉よ! さあニーコ、良いのを当てるのよ!」


「おー!」


「その前に、〈金箱〉を開けたい人は他にいるか~」


 8班と9班の他のメンバーから反応が無いので俺がそう促してみる。

 すると。


「ゼルレカ。ゼフィルス先輩たちはいつもこんなやり取りをしているのでやがりますか?」


「そうだ、としかあたいには言えないねぇ。特に初攻略のボスなんかだとテンションが上がるらしくてなぁ。体感で普段より3倍増しくらいに感じてる」


「たははは~。ゼフィルス君たちはね、初攻略を果たすとああやってたまに〈金箱〉を取り合うんだよね。モニカちゃんも、そのうちあそこに参加するかもよ?」


「あたしはとんでもねぇギルドに加入してしまったのかもしれねぇです」


「あたいも最初それ思った。だが、まあそのうち慣れるさ」


 しまった。そう言えばモニカがばっちり見ていたんだった!

〈樹界ダン〉の時は周回の方にとても驚かれていたし、〈金箱〉は大量に出ていたから別に取り合いにはならなかったが、〈猫界ダン〉初の〈金箱〉とあっては我慢できず……くっ!

 いや、別にいいか。モニカも〈エデン〉の仲間だからな!


「こほん。それじゃあ記念すべき〈猫界ダン〉の〈金箱〉を開けようか。8班と9班の両方から1名ずつでどうだ?(キリッ)」


「そんなに開けてぇならゼフィルス先輩が開ければいいんじゃねぇですか?」


「いいのか!?」


「ダメよモニカ。ゼフィルスに開けさせるくらいなら、私が開けるわ!」


「〈エデン〉ってマジ〈金箱〉に本気すぎねぇでやがりませんか!?」


 しまった。モニカから魅力的な提案がきたものだからついうっかり食いついてしまった!


「ゼルレカ、確認なんでやがりますが、〈金箱〉の中身は開けた人の物になる、なんてルールでもあるんでやがりますか?」


「いいや、〈金箱〉の中身は〈エデン〉の財産だからギルドで共有だよ」


「……ならなんで開ける役でこんなに争っているんでやがるんです?」


「…………」


 なにやらモニカがゼルレカにこっそり〈エデン〉のことを聞いている間に、ニーコとサチが開けることに決まる。


 さあ中身は?


「まずはジャンケンにチョキで勝利した私から!」


「いっけーサチっちー!」


「期待いっぱいしてるからね」


「いざ!」


 8班代表のサチがまずは1つ目の〈金箱〉をパカリ。

 その中にはアクセ装備の〈お仲間のネコミミ〉が入っていた。

 やっぱり当たったかそのネコミミ!!


「ネコミミが入ってる!?」


「あのクマのネコミミ!?」


「コスチュームアイテムか!?」


 サチ、エミ、ユウカが驚きながらも目をキラキラさせながらそれを取り出した。

 マジでネコミミカチューシャだ。


「こ、これは!」


「可愛いわね!」


「え? ハズレか?」


 メルトがハズレと思うのも無理はない。

 実はこれまで〈猫ダン〉〈猫猫ダン〉でも同じようなネコミミカチューシャが当たってたのだ。しかしそっちは普通の猫モンスターのドロップでコスチュームアイテム。効果は無しのコスプレアイテムだったのだ。

 まさか、これも? と思っても仕方ない。だが、こっちはちゃんと効果付きだ。


「たはは~、〈金箱〉でハズレなわけないよメルト様。――ルルちゃん、『解析』お願いね!」


「ルルにおまかせなのです! 『解析』! むむむ――これは、〈お仲間のネコミミ〉というのです! 猫さんの能力がパワーアップする、テイマー用装備と出たのです!」


「テイマー用装備!? いやでも、ネコミミだよ!?」


 これにはいち早くフラーミナが反応していた。

 猫をテイムしているのはフラーミナだけだからな。しかし葛藤も見えるようだ。


『解析』結果をさらに読み進めていくと、これはあの〈ネコミミクマ〉がつけていたカチューシャと同じタイプで、猫がこれを被っている者を仲間だと誤認してしまう効果があるのだと判明する。この効果は計り知れない。

 テイマー用の装備で、身に着けるとテイムしている猫たちのステータスが2割増しに上昇するほか、敵性モンスターの猫が仲間だと思い込み、テイム成功確率上昇の他、テイマーじゃなくてもこれを着けているだけでエンカウント回避の効果まであるのだ。


 特に最後のが凄い。


「え? つまりこれを着けているだけで猫たちから狙われないってこと!?」


「全員にこの装備が着けられれば、〈猫界ダン〉すら攻略は容易なのではないか?」


 そう、まさにその一言に尽きる。

 ここは〈猫界ダン〉、猫世界。

 敵性モンスターが猫しかいない(?)ので、このカチューシャを全員が装備すれば戦闘が発生せずに通り抜けることが可能になるんだ! すげぇ、と言わざるを得ない。

 まあ、階層門は守護型ボスを倒さないと開かないので、どのみちボスとは戦わないといけないんだけどな。


 猫系のダンジョンだけで言えば特効装備と言っても過言では無い。

 確かに最上級ダンジョン〈金箱〉産の価値のある装備だったんだ!

 せっかくドロップしたのだからこれはもう装備させるしかない!


「これは1つしかないならまずフラーミナに着けてもらって」


「なぬ!?」


「待たれよゼフィルス」


 しかしここで待ったが掛かった。待ったを掛けたのはリカである。

 さっきから、うずうずしていたもんね。


「おお! リカ、ゼフィルス君を止めて!? なんか私、ネコミミ着けてダンジョン攻略をさせられそうなんだけど!」


 珍しい組み合わせだ。フラーミナが俺を止めるようリカに求めるなんて!


「うむ。任せておけ。――ゼフィルス。犬耳がネコミミになってしまうのはどうにも看過できない。できれば人間に被せてほしいのだ」


「いや、そういう話じゃないよ!?」


「ん。リカは裏切った」


「ぬあ!? カルア!?」


 おっとここでカルアまで参戦。

 なかなかカオスな事態になってきたぞ!? いったいどうなってしまうんだ!?

 俺はちょっと傍観者になることにした。いや、しようとしたのだが。


「はいはーい! 次はぼくが開けるよ! もう我慢できんばこ! みんな刮目してくれたまえ!」


「ん!」


「おお!」


 ニーコが2つ目の〈金箱〉を開けることになってうやむやになったんだ。

 なんか「我慢できんばこ」とか言ってるし、結構限界っぽいな。

 お祈りしたニーコがパカリと〈金箱〉を開く。すると中からは、一振りの剣が出てきたのだ。


「け、剣が出たよーーー!! これは〈世界樹の杖〉同様、きっととんでもない価値があるものに違いないんだ!!」


「歴史的価値のある剣か!!」


〈樹界ダン〉初の〈金箱〉産だった〈世界樹の杖〉は、今では歴史的遺産となって丁重に扱われている。

 そう考えると〈猫界ダン〉で初の〈金箱〉から出たものも、歴史的価値がありそうな感じがする。俺を含め数名がスッとサチが試しに装備しているネコミミに注目していた。ピコピコ動いてる! なお、すぐに何かを悟って視線を剣に向けていた。


「今回は私が『解析』しますね。『解析』! これは、〈真の猫クラミハマネ〉という武器で、これは……! 猫の剣スキルが全て使えるようになると出ています!」


「なんですって!」


「なんだと!?」


 凄まじい驚愕が俺たちに過ぎった。

 ラナやリカなんか、驚きに声を上げている。


 猫の剣スキル。それは「猫人」ではなく、猫モンスターの専用剣スキルのことだ。

 初めて〈猫ダン〉で〈チャミセン〉が使ってきた『三連ニャ切り』や『お魚大好き斬り』はもちろん、最奥のボス〈猫キング〉の使っていた『猫の額の乱れ斬り』や『猫怒りスラッシュ』なども全て使えるようになるという、とんでもない装備である。ボススキルが使えるようになるだけでもヤバい。


「これは、確かに歴史的価値が詰まった1品だぞ……!」


 どうやらネコミミカチューシャは無かったことになったらしい。みんなリカの言葉に同意していたんだ。


 猫の剣スキルは五段階目ツリー級がいくつか、さらには六段階目ツリー級のスキルも1つ使えるという破格の性能で、まだ六段階目ツリーを開放していない者でも六段階目ツリー級のスキルを使えるとあってもの凄く盛り上がったのだ。

 自前の六段階目ツリーを使える〈エデン〉からするとあまり必要無いけどな!


「ゼフィルスよ、少し惜しいが、これは学園に寄贈する方が良いのではないか?」


「私も同意よ。これは〈猫界ダン〉初の宝箱からドロップしたものとして学園に寄贈しておくのが良いと思うわ。一生残るわよ」


「確かに、〈エデン〉じゃもう使わないしな」


 リカとシエラからも熱心にそう勧められ、ネコミミカチューシャは良いのかとちょっと過ぎったりもしたが、最終的に〈真の猫クラミハマネ〉は学園に寄贈することに決定したのだった。

 レジェンド武器じゃないし、別に良いよな!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
例のテイマーギルドが全員ネコミミになる未来しか見えない…w
みんなネコミミで驀進するギルド、なんてシーンも近い将来には見られるのかも知れない。
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