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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第四十二章 〈エデン〉フルメンバー50人!ファミリーズ4体勢揃い!

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#1854 〈猫界ダン〉の侵入者!? 猫たちが襲ってくる!




「ニャ?」


「ニャウ?」


「ニャウニャ?」


「ど、どうしましょうゼフィルスさん。猫さんたちがいきなり臨戦態勢ですわ!」


「やはりな。ここのモンスターは1パーティではなく、少なくとも複数で戦わなくちゃいけない群なんだろう」


「猫が、群れる!?」


 俺たちが出入り口付近である救済場所(セーフティエリア)から出ると、これまで思い思いに遊んでいた猫たちが一斉にこっちを向く。中には臨戦態勢、いわゆる「やんのかポーズ」をとる猫もいる。

 普段は群れない1匹猫のはずの猫モンスターたちが、群で襲ってきそうな雰囲気だった。


 これにはリーナやカルアがビビる。

 猫は単体エンカウント。大型モンスターと同系統。

 それが染みこんでいるメンバーからすれば、この集団の猫を相手にしようというのがどれほどとんでもないことかが分かるのだろう。


 だが、ここは最上級ダンジョン。別名レイドダンジョンだ。

 群という、複数エンカウントと同じことをしてくる猫がいるのなら、こっちもレイドを組んで迎え撃つまでである。


「レイドボスではないが、ここは複数パーティ専用エンカウントと考える! 2班、3班、4班は前に出てくれ!」


「……任せなさい」


「猫だからといって手加減はできないからね!」


「ん。猫対決、勝つ」


 シエラ代表の2班にラナ代表の3班、そしてカルアのいる4班が前へ出る。

 さっきまでジッと猫を堪能していたシエラも今はしっかり臨戦態勢だ。いや、まだ顔が赤くなってるな。ジッと見つめて気が付けば2時間経過と知った時のシエラは――すごく可愛かったんだ。


 すると「良い度胸だニャ」と言わんばかりに8匹の猫がこっちへとやって来た。

 猫は――小さい。

 大型モンスターと同じくらい強いにもかかわらず、全長40センチの個体もいる。

 二足歩行でマントを羽織っているヒーローっぽい猫もいるな。ちなみのこの猫の身長は1メートルだ。


「あの猫さん、ヒーローっぽいのです! ルルが相手をします!」


「ゼフィルス様」


「分かってるよシェリア。ヒーロールルとヒーロー猫の対決は、ちゃんとスクショしておくから」


「頼みます」


 またシェリアが一瞬で気配なく忍び寄ってきたが、「様」が付いていた時点で要求は明白。俺は約束して4班全員を送り出した。ふう。


「相手は8匹……みなさん、油断なさらずに! これは1つの群と思わせて8つの群と同等の戦力があると肝に銘じてくださいまし!」


「良い指示だリーナ!」


 そこが肝だ。相手は8体。エンカウントした時のモンスターの群としては最大数だ。 

 ただし、それは普通の群の話。

 猫は1体で群1つと同等の戦力を持つ。

 つまり、猫が8体ということは、8つの群が同時に攻めてくるのと同じなのだ。

〈巣多ダン〉でも40体規模の巣を相手に複数パーティで滅ぼしたことがあることを思い出してほしい。ここは――そういう複数の群を相手にするダンジョンなのだ。


「「「「ニャ!」」」」


「シエラ、パメラ、リカ、同時にタンクだ!」


「『四聖(しせい)操盾(そうじゅん)』! 『クイーンオブカバー』!」


「いっくデース! 『忍法・一体分身の術』! 『忍者術・予測見切り』!」


(たまわ)った――『制空権・刀滅』!」


 相手は8つの群、1人のタンクで受け止められるものでは――当然ないと考えて行動する。

 シエラは相変わらずの盾受けタンク、パメラは避けタンク、リカは刀で弾くパリィタンクでまずは猫の戦力調査。


「なかなか速いのです!」


「『精霊召喚』! 『ハイエレメントバースト』!」


 4班はリカが2体の猫の猛攻を凄まじい斬撃でババババババババンと弾き返しまくっていた。相手は1体が4足歩行の〈ハイウェイワイルドニャー〉、ワイルドさ溢れる前脚の連続ネコパンチが刀と競り合っている。

 もう1体は2足歩行でマントを靡かせる〈ヒーローお猫様〉。見た目通りヒーローな猫だ。手には魚の骨――ではなく竜の骨の剣を握りしめ、リカの剣撃を掻い潜らんとしている。


 2体を相手にしているせいで綻びが生まれた瞬間、〈ヒーローお猫様〉がなんとリカの防御を掻い潜った。

 だが、それはフリ。突っ込まんとしてきたところをシェリアが魔法で迎撃して吹き飛ばしていた。罠だったのだよ。そこへ。


「とう! お猫でも容赦しないのです! これがヒーロー魂なのです! 『ヒーロースペシャルインパクト』!」


「ニャー!」


 ルルが迎撃に出て〈ヒーローお猫様〉と激突した。


「ん、手数なら負けない――『スターソニック・レインエッジ』!」


 もう片方の〈ハイウェイワイルドニャー〉はその名の通り、まるでハイウェイを爆走する車のように速いが、カルアも速い。圧倒的に上回る速度で斬りつけていた。


「うひゃ!? こやつ、かなりの強さデース! 分身が一瞬で消え去ったデスよ!?」


 パメラの方は猫相手に避けタンクがどこまで機能するか試すため、まずは分身を投入してみたのだが、スキル無しではすぐに捕らえられ、ガブリと囓られて消されてしまった。

 なお、囓ったのは体長40センチの〈ハイウェイワイルドニャー〉である。見た目はとてもコメディだったが、見かけに騙されてはいけない! 猫は狩人(ニャンター)なのだ。


「避けタンクは危険デース! フィナさんタッチをお願いするデース!」


「では、飛行タンクを試します――『天空飛翔』!」


 3班のタンクはパメラとフィナだ。

 まずは避けタンクのパメラが試し、続いて避けタンクと受けタンクを併用でき、さらに飛行もできるフィナが空からのタンクを試す、すると。


「ニャー!」


「この猫さん、空を駆け上がってきました!」


「レグラムさんと同じようなスキルデース!?」


 鳥の天敵は猫。とでも言わんばかりに空を駆けてフィナに襲い掛かったのだ。

 フィナはびっくりしつつも盾で受け止めることに成功。

 そう、この猫、空中に足場を作り、短時間だが空を駆けることができるのである。

 道理で〈猫界ダン〉のフィールドが道なき道のはずだ。


「ですが、空は私の領域です! 『天落』!」


「フニャ!?」


 しかし空中に足場を作れるのは短時間のみ。フィナが一気に『天落』で叩き落としていた。

 地面に落ちた〈ハイウェイワイルドニャー〉は上手く着地できずダウンしてしまう。


「ああ、猫さんが――いいえアレは敵性猫さんです……!」


 思わず猫がやられるシーンにどこからかそんな声も聞こえてきたが、やはり戦闘となれば〈エデン〉のメンバーの気は引き締められていてとてもいい。

 こうして初めての対猫バトルは、様々な発見をしつつ、無事誰も戦闘不能になることなく勝利で終わりを迎えたのだった。


 そしてその感想はというと。


「なんだか、対人戦をしている気分だったわ」


「分かります。猫が1体1体、凄まじい強さでした」


「ルルも同じく感じたのです! 切り結ぶとき、とても手強かったのです!」


 2班のシエラ、3班のフィナ、4班のルルが同じ意見を述べていた。

 もうそこまで感じ取ったか。さすが、リアルは感じ取れるものが多い。

 ここは話を合わせておこう。


「猫は1体1体が精鋭揃い。対人戦という表現は、あながち間違ってないかもな。ボスやモンスターと戦うのではなく、相手が手強い人物と想定して心構えをしておいた方が良さそうな感じだ」


「なるほど。そのイメージはありだな。ならば、ぶつけるパーティや戦術も変わってくる。複数での移動が大前提、ということか」


「メルトさんの言うことが多分正解ですわね。〈樹界ダン〉の中層以降ではエリアボスを警戒し、最低3パーティ行動を心がけておりましたが、ここはその警戒対象がエリアボスだけではなく、通常モンスターにも意識しなければならない、ということですわね」


 さすがは〈エデン〉の頭脳たち。

 たった1戦、最初のぶつかりだけでこのダンジョンの進み方のなんたるかを掴んだ様子だ。


 そう、リーナが言ったように〈樹界ダン〉では中層以降、突如複数パーティ推奨のエリアボスが襲ってくるようになったため、複数のパーティによる団体行動で階層を更新した。3パーティ行動だな。

 これのおかげで突発的なエリアボスとの遭遇にも対応できた。

 そして最上級ダンジョンのランク2〈猫界ダン〉からは、通常モンスターが相手でも複数のパーティが要求されるようになった、というわけだ。


「安全性を見込んで、最低3パーティ行動にしようか。10パーティを3・3・4で分けよう」


「了解ですわ」


 最低3パーティ行動、これが〈猫界ダン〉を攻略するためのセオリーだな。


 それから何度かエンカウントに慣れさせるために3パーティをぶつけた。

 すると猫たちは一度に最大9体までエンカウントするが、10体以上になると傍観者に回ることが分かった。10体以上では襲ってこないのは朗報で、3パーティで進むことが正式に決まった形だな。

 1パーティ3体を受け持つかたちにすれば余裕でエンカウントも切り抜けることが可能だろうという想定だ。


「よし、それじゃあ次は移動してみよう。まずはカイリが敷いてくれたルート通りに歩き、どういうルートを歩むのか、どういう道が人にあった道なのかを身体で感じるんだ」


「人が通るような道じゃない、猫の道を歩くのですわね。ごくり――覚悟はいいですかみなさん! 猫の道では、猫モンスターが待ち構えていることでしょう、人が通らない猫の道なので、とんでもなく険しい道のりが想像出来ますわ!」


「だがカイリが安全なルートと判断してくれた道でもある! 俺たちならきっと大丈夫だ。1つ1つ道の攻略法を覚えながら階層門まで進むぞ!」


「「「「おおー!」」」」


 エンカウントが試し終われば、次の関門だ。

 そう、猫の道という険しい道のりの進行である。

 猫って普段、どんなところを歩いてるんだろうね。




 あとがき失礼いたします。


 祝! 〈ダン活〉小説14巻、本日発売日!

 タバサ先輩を賭けた〈テンプルセイバー〉とのギルドバトル戦!

 これを大ボリュームでお届けします!

 その文字数、なんと20万字超え! 電子書籍では598ページ!

 598? 598ページか…………。2冊分の分量がありますね……!

 また書きすぎてしまいました。


 さらに今回は要望の多かった、ニーコのランクアップ編を投入!

 新キャラではエリサやフィナが挿絵で登場するなど見所満載!

 どうぞ〈ダン活〉をお手にとっていただけると嬉しいです!


〈ダン活〉14巻をよろしくお願いします!


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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
恐るべし、にゃんこ軍団。 これからどんな猫がでてくるのだろうか。
こんにちは。 ぬこ集団TUEEEE!? 流石ゼフィルスが来るまでは封印されてたダンジョンに住んでるだけはあるってことですね。
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