#1852 オプションつき【大罪】専用装備つよーい!
前書き失礼いたします。
前話で質問が多かったので回答です。
〈罪深き◯玉〉――この◯に入る文字は?
答えは「猫、犬、兎、狐、狸、熊、獣」の七種類です。カテゴリーに対応しております。
「獣」を「竜」と予想する読者さんも多かったのですが、「獣」を採用しております。
なお、7つの玉を集めても「竜」は出てきませんし、願いも叶えてももらえませんよ!(←ここ重要)
「掛かってくるでやがりますよ! 『いちゃもん』!」
「「「「「ウォーーーーーン!!」」」」」
「『豪吸覇強盾』!」
「ナイスだモニカ! おらぁ! 『怠慢と堕落の剣』! 『惰性と堕弱の一撃』!」
「たは! 防御力上がってるねぇ。『ハイヒール』! これだけで全回復だよ~」
「次は私がやりますね――『罰当たり』!」
「「「「「キャイン!?」」」」」
「ここで追撃だよ! 〈ラヴァ〉、『真の力を取り戻せ』! 『溶岩大帝流・ラヴァブレイクエクスプロージョンブレス』!」
「「「「「ワォーーーーーン!?」」」」」
非常に良い調子。
現在〈バトルウルフ(最終形態)〉を相手に生まれ変わった武器の性能を確認しているが、みんなかなり強くなっていた。
モニカは5つの口からくる噛みつきを近距離で受けても大丈夫。ミサトの『ハイヒール』でもオーバー回復してしまうほど、全然ダメージを受けていない。
遠距離攻撃が非常に得意だったモニカだが、ここにきて近距離攻撃もかなり受けられるようになっていた。
さらに属性耐性までデバフできるようになったゼルレカもかなり良い。
明らかに魔法使いとの連携がよくなり、よりダメージが入るようになっていた。
剣自体のパワーもかなり上がっていて、ゼルレカも楽しそうだ。
キキョウは単純に防御力アップ。これがなかなかタンクとしては一番嬉しいところだろう。『ジェラシーフィールド』が展開され、威力の低くなった相手の攻撃は、レイドボスの攻撃であっても単体で防げるようにまでなっていたのだ。
フラーミナも単純にテイムモンスターが強化されている。フラーミナの専用装備は杖なので、ゼルレカのように直接攻撃には向かないが、その分のリソースをテイムモンスターに全振りしているので、そりゃもう強いのなんの。もちろん召喚盤も強化されているので〈ラヴァ〉も鬼強い。属性耐性が低下していた〈バトルウルフ(最終形態)〉へ、防御力をブレイクしてユニークスキルでぶっ飛ばしてた。
ミサトは『ドレイン』系と『反射』系魔法のクールタイム軽減という、凄まじい能力を得ていた。元々【大罪】職の専用装備の中では【色欲】の武器は一番弱かったのだが、ここで一気に大逆転だ。実はオプションを着けてからが〈情色魔法杖〉の本領発揮なのである。
また、ここは最上級ダンジョンなのでクラの性能だけが見られなかったのはちょっと残念。あとで見せてもらいにいこう!
「ワオーン!」
「あ、眷属はおまかせやがれです! 『心身強奪』!」
「オン?」
あ、モニカが眷属だった〈バトルウルフ(第六形態)〉を心変わりさせてしまった。なんて罪深いんだ。
相手のものを奪う。【強欲】のスキル、ここに極まれりである。
「凄いわね。5人ともかなり強くなってるわ」
「だろ? これがオプションを着けた【大罪】職の、真の力だよ」
5人をメインにして戦ってもらったが、正直鬼強かった。
レイドボスの攻撃をタンク1人で受けきるってそれだけでも凄いのに、ゼルレカのおかげでじゃんじゃんダメージは入るし、相手の眷属召喚、なんと歴代のボスを眷属として呼び出すという、とんでもない戦法もモニカによって一番強い〈バトルウルフ(第六形態)〉を奪われてしまう始末。
ミサトの相手にバフをさせない、でも自分たちはバフする戦法で有利を継続し、フラーミナが大火力でドカンする。
いや~強い。オプション作るのに時間が掛かったけど、文句無しのできだ! さすがはメイリー先輩たち!
「お、倒したな。調整はこの辺でいいだろう」
「ええ。そろそろ次に行ってもいい頃ね」
〈バトルウルフ(最終形態)〉の〈金箱〉から出る装備やアイテムも大体種類が集まった。装備も新調できるところはしていき、レベルも上げ、〈バトルウルフ(最終形態)〉と戦ってももはや苦戦することはなくなった頃、俺たちは次のステージ、〈猫界ダン〉へ挑むことを決めたのだった。
◇
今日は5月24日、日曜日。
本来ならば5週目に当たる日ではあるが、運命の日が金曜日、授業が始まったのが5月4日の月曜日だったので、今月のダンジョン週間は4週目ではなく5週目となっている。
つまり昨日から始まり9日間はお休みなのだ! 素晴らしい。
たっぷり〈猫界ダン〉に潜れるな!
「みんな聞いてほしい。先日、ついに全員が上級職LV75になった。装備もランク1で整えられるところはだいぶ整ったと思う! 故に、そろそろ俺たちは次のステップ。いよいよランク2の〈猫界ダン〉へ挑もうと思う!」
俺はいつも通り、ギルドハウスで壇上に登ってそう宣言した。
ざわめくギルドハウス。いや、そんなにざわめいてない? みんな「ああ、そろそろだと思ってた」みたいな雰囲気を出している気がする。
うむうむ、そうだろう。
レベルもそうだが、装備だってレジェンドレシピが当たる度にそれを作ってきたからな。
生産職の育成もバッチリで、マリー先輩の店も本格稼働し、今週正式なオープンが決まっている。
まあ、従業員にはオープン前から〈エデン〉の強化を手伝ってもらっていたけどさ。
例えばシュミネが持っている〈世界樹の豊杖〉。
これもレジェンドレシピから作った強力な能力値の装備だ。
以前俺たちが最初に〈樹界ダン〉に潜った時に手に入れた〈金箱〉産装備、〈世界樹の杖〉の上位装備である。〈世界樹の杖〉は泣いていい。あれはレジェンドではないのだ。
いや、現在では最上級ダンジョンから初めて産出された歴史ある装備として祀られている上に、教科書にまで載っているくらいだから胸を張ってもいいか。
〈世界樹の杖〉もヒーラーに持たせるには良い杖なのだが、いかんせん上位の〈世界樹の豊杖〉の方が強いため、学園に寄贈した背景があったのだ。多分、俺たちが持っていたら埃を被ることになるだろうからね。良かった良かった。
また、現在エミとユウカの〈神〉カテゴリーの本と弓、〈神杖本〉と〈神樹弓〉もレシピから作製中だ。完成の時は近い。
ちなみに〈杖〉〈本〉〈弓〉はアルルでは作製できないので、マリー先輩のお店に勤めるエルフで、上級職、高の上、【エレメントハイクラフター】の方に作ってもらったものになる。
【エレメントハイクラフター】は、下級職【精霊木工師】の上級職だな。
名前の通り、【木工師】系のエルフ職業だ。
「ドワーフ」なら鉄製品の武器、「エルフ」は木製品の武器が作製できるのが〈ダン活〉である。
装備もある程度調ったし、レベルも上限に届いた。
そろそろ行ってもいいだろう。
「〈猫界ダン〉か~、どんな猫がいるんだろうね」
「うん! すっごく楽しみなんだよ~」
「お触りさせてくれるかな?」
「ランク1が樹の世界だったものね。ランク2は、猫の世界で間違い無いわ」
「猫の世界。猫世界。すごく良い響きです」
「お持ち帰りは何匹までOK?」
「! 持ち帰りができるのか!?」
「あい!? ルルもお持ち帰りしたいのです!」
「あらあら。では猫さんたちにはがんばってもらわなくてはいけませんね」
ギルドメンバーはこれから行く猫世界にとてもウキウキワクワクしている様子だ。
おかしいな。俺が期待していた感じと違う。
なんだか猫を見に行くためにダンジョンへ潜ろうとしているみたいに見えるんだよ。
あれ? これでいいのか?
ちなみにお持ち帰りはテイム持ちならいくらでも。
でもテイムするには専用のアイテムが必要だ。タダでは猫はテイムされてはくれないのだ。
「ミリアス先輩やタネテちゃんに応援を要請しておくべきかもしれないな。レシピが手に入ったら、すぐに作ってもらう必要がありそうだ」
「…………」
テイムには料理や猫じゃらしなどが必要。つまり、ミリアス先輩にタネテちゃんだ。
みんなの様子を見てぽつりと呟いた言葉だが、隣のシエラが無反応だった。あれ? 見つめられてない? ジト目も無しか?
シエラがすまし顔をしてらっしゃるぞ! 俺はこの顔を知っている。シエラの頭は今、きっと猫のことでいっぱいに違いないぞ!
「ゼフィルス。行くなら早く行きましょ」
「か、軽っ!? どうしたんだシエラ!? いつもなら俺の行動が早すぎる、みたいに注意するのに、今回はシエラの〈行きましょう?〉が軽すぎないか!?」
「…………」
あ、目を逸らした! やはりシエラの頭の中は猫世界のことでいっぱいだ!(確信)
さらにはみんなからも期待いっぱいの視線が投げられたので俺は一度咳払いして注目を集め、ゴーサインを出すことにした。
「こほん! それじゃあ行くぞ! 目標は〈猫界ダン〉攻略! 念のためもう一度言うぞ、目標は〈猫界ダン〉攻略だ! これより〈エデン〉と〈採集無双〉は〈猫界ダン〉へと突入する! 行くぞ!」
「「「「「おおー!!」」」」」
見学ではない、攻略だ。(大事なことなので2回)
でも今日の「おおー!」は、なんだかいつもよりも力が入っているように感じたんだ。
ということで、早速最上級ダンジョン門へ移動。ケルばあさんにチェックと受付をしてもらい、俺たちはいよいよ、ランク2〈猫界ダン〉へ入ダンした。
「ビバ! 久しぶりの〈猫界ダン〉よ!! 私は帰ってきたわ!」
「あ、そのビバ久しぶりに聞いたな~」
まず第一声は相変わらずのラナ。
「ビバ」は初めて中級中位ダンジョンの〈猫ダン〉に入った時も叫んでいたっけ。
なんだか初心に返ったみたいでちょっとワクワクしてきた。
改めて辺りを見渡す。
――〈猫界ダン〉、猫の世界。
そこはまるで室内。人間のための部屋ではない、人間と同居するための部屋でもない。
猫が暮らし、猫だけが存在し、猫だけが暮らしている、猫のためだけの室内。
以前〈猫猫ダン〉であったレアイベント、2つのキャットタワーが可愛く思えるほどそこら中に立ちまくっているキャットタワーと、そこを繋ぐ猫が通るため専用の手すりのない一本橋。
〈猫界ダン〉――そこは、猫が暮らす猫世界だ。




