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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第四十一章 新しい下部ギルド創立!〈学園春風大戦〉で大勝利!

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#1843 〈学園春風大戦〉Aランク戦決着!

挿絵(By みてみん)




「あ、良い感じに膠着状態になってきたわね!」


「はい。みなさん、動くに動けない状態になっています」


 試合から30分が経過し、8つのエリアで決着が付きつつあると、予想通り膠着状態に発展した。


「生き残っているのは名のあるギルドばかりですわね」


「〈新緑の里〉、〈ハンマーバトルロイヤル〉、〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉、〈表と裏の戦乱〉、〈ダンジョンライフル〉、〈中毒メシ満腹中〉、〈輝け・閃光のように!〉、〈クレナイフォートレス〉、〈ユートピアサークル〉、〈乙女会〉、そして〈エースシャングリラ〉ですね」


「はい。生き残った13のギルドのうち〈エースシャングリラ〉を除いた10のギルドは名前を知っているくらいです」


 シズが名前を挙げ、エステルが頷く。

〈SSランクギルドカップ〉の時に多くのギルドができては消えてを繰り返したが、やはり新参のギルドよりも古参のギルドの方が強い。


 俺たちが名を知るくらい有名なギルドは、ちょっとマイナーなところも含めて10ギルドも生き残っていた。

 名前も知らない、台頭してきたばかりのギルドは〈エースシャングリラ〉を含めてたったの3ギルドしか生き残っていないところから見ても、昔からあるギルドの方が強いのは明らかだろう。


 強いギルドばかりが生き残ると、その後に待っているのは膠着状態。

 睨み合いだな。

 ポイント的に優勢なギルドは動かずに牽制を繰り返しながら防備を固め、劣勢なギルドは周囲と手を組んで他のギルドを打倒しようと動こうとする。


「〈エースシャングリラ〉は今まで動きっぱなしだったからここから少し休憩タイムだ」


「全てはゼフィルスさんの予想通りでしたわね」


 脱落したのはこの30分で8ギルド、そのうち半分に相当する4ギルドを倒した〈エースシャングリラ〉はポイントがトップに輝いていた。まあ当然だな!


「ユナの『フルマッピング』と〈竜の箱庭〉のコンボで周囲の状況は分かるし、少し工作に乗り出す場面だな」


「罠を張り巡らせ、進入を防ぐのですわね」


「おう。防備を充実させるのに集中する。ユナとミアハをメインに陣を敷き、防衛に集中するぞ」


「攻めから備えにシフトするタイミングが完璧でしたわね」


「いくつか立てた予想の内FとGの想定が見事に当たった形だな。ならやるべきことも決まってくる」


「定石ですわね。よくこれだけの定石を考えつきますわね」


 そう言ってリーナが取り出したのは、俺が作っておいた資料。定石の資料だ。

 これをユナたちにも渡しているので、今なんかユナが資料を片手に指示を出してる。シオンは〈竜の箱庭〉を見ながらピンポイントでユナの声を現場に届けている様子だな。

 攻めはモニカが担当だったが、防備はユナたちの担当だ。

 しっかりこなしているように見えるな。


 あとリーナ。この定石は俺1人で考えたんじゃないぞ? 全ての〈ダン活〉プレイヤー、そしてNPCたちと戦った軌跡、その全てが詰まっているのだ。

 これを覚えているからこそ、俺はギルドバトルで最善の指揮を出すことができる。


 今は余裕があるから資料を見ながら指揮ができるが、そのうち資料無しで最善の選択ができるよう覚えてもらわないとな。


「動きがありました!」


「〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉が手を組んで〈ダンジョンライフル〉に挑むみたいです」


「おお! そうか、あそこはギルドマスター同士、アディとレミの仲が良いからな。手を組んだか」


「他のギルドが呼応するように動き始めましたわ」


「動きが良いところはちゃんと状況が分かっているな」


 まず賽を投げたのが〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉の2ギルド。

 やや遠くにある〈ダンジョンライフル〉の拠点へと殴り込んだのだ。

 こうなれば、さっき〈エースシャングリラ〉がしたように、留守を狙うチャンスが生まれる。


 状況をしっかり把握していたギルドは、今のうちに〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉の拠点を狙わんと画策するわけだ。

 すると、また留守の拠点が生まれるから、狙われる。そのサイクルで一度は固まった膠着状態が動き出した。


「〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉、即で〈ダンジョンライフル〉を落としました!」


「おお! さすがは〈ハンマーバトルロイヤル〉! 城特効のオンパレードはやっぱり強いな」


 拠点は城だ。故に〈城〉特効のある打撃系、ハンマーなどが強力。

〈ハンマーバトルロイヤル〉はそんなハンマー使いばかりが集まる特効ギルドだ。

 ただ遠距離攻撃が全然ダメなので、そこは〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉が補った形だな。これにより〈ダンジョンライフル〉がここで敗退。


 戻ると新進気鋭の名も知らないギルドが留守を狙って拠点に攻め込んでいたのだから好都合。

 逆に返り討ちにして逆侵攻を決めたのだ。これで〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉が拠点を落としたことで、2ギルド分のポイントを分け合った形。両者ウィンウィンの関係だな。


 また、一度解けた膠着状態の余波はまだ続き、今度は〈中毒メシ満腹中〉が〈ダンジョンライフル〉と組んでいた〈輝け・閃光のように!〉へ仕掛けた。

〈中毒メシ満腹中〉は美味ければ美味いものを食べるほど威力が増すビームが撃てる強力なギルド。その実力は、SSランクギルドカップであの〈筋肉は最強だ〉と接戦を繰り広げたほどだ。つまりAランクギルド3つを相手にできるレベルの強さ。

 アイテムをメインに使うため、世代交代でもさほど力を落としていないのも強力なポイントだ。


〈輝け・閃光のように!〉はよく分からない。

 名前だけ知っているというギルドだな。結構前からBランクに上がったり下がったりを繰り返していたらしい。

 どうやら〈光属性〉や〈聖属性〉の使い手が多いギルドらしく、またもビーム対ビームみたいな、衝撃的な光景がそこかしこで発生。

 目がチカチカして他のギルドを寄せ付けない。


「〈新緑の里〉は、もう1つの無名のギルドを撃破したわね」


「〈クレナイフォートレス〉と〈乙女会〉は手を組んで防備を備えていますが、ポイントは〈乙女会〉が1ギルド落としただけ、このまま守りに入るのは悪手だと思いますわ」


「あ! 〈中毒メシ満腹中〉と〈輝け・閃光のように!〉の戦い、〈中毒メシ満腹中〉が勝ったわよ!」


「白熱してきたな! 残り9ギルド。いったいどこがAランクギルドになるんだ!?」


 ポイント的には1位〈エースシャングリラ〉、2位〈新緑の里〉、3位〈ハンマーバトルロイヤル〉、4位〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉、5位〈中毒メシ満腹中〉、6位が〈乙女会〉、7位がモンスターポイントだけゲットした〈ユートピアサークル〉、8位と9位が〈クレナイフォートレス〉と〈表と裏の戦乱〉で共に0点だ。


 2位から4位までは2ギルドずつ落としているのでかなりの接戦だ。

〈エースシャングリラ〉も4ギルド落としているが、抜かれそうな雰囲気。

 だが、4ギルドも落としていれば4位敗退ということはほぼない、3位以内に入れば良いのだからこのまま防備を固めていれば昇格の可能性は高い。


 そう思っていたのだが、俺の予想は覆されることになる。


「ああ! 〈ユートピアサークル〉が〈新緑の里〉を落としたわ!?」


 そう、大番狂わせが発生したのだ。

〈新緑の里〉はすでに2ギルドを落とし、結構ダメージを負っていた。

 そこへ〈ユートピアサークル〉が攻勢に出て、勝ってしまったのだ。

 Aランクの昇格候補がやられるという番狂わせ。会場は大熱狂に包まれた。

 さらに〈ハンマーバトルロイヤル〉が〈クレナイフォートレス〉を、〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉が〈乙女会〉を倒してついに順位が大変動!


〈エースシャングリラ〉は2位に転落し、〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉が1位に躍り出る。

 さらに〈ユートピアサークル〉が〈表と裏の戦乱〉を倒してしまい、さらに逆転!

 今度は4ギルド分のポイントを確保してトップに上がってきたのだ。

 またもや湧き上がる会場、ラウとルキアなんかすごくのめり込むように見ていたよ。


 これで〈エースシャングリラ〉は3位。僅かにモンスターポイントで負けているな。

 ここでマズいのが、4位の〈ハンマーバトルロイヤル〉が5位の〈中毒メシ満腹中〉を狙ったことだ。もし決着が付けば、どちらが勝っても1位になる。

 つまりは〈エースシャングリラ〉が4位落ちが決定するのだ。


「あ、こりゃマズいな」


「残り時間は、まだ1時間あるわ。どこかしらが落ちれば〈エースシャングリラ〉が4位よ」


「みんなギルド倒しすぎだろ!」


 いや、俺が言えたことではないが。普通は1戦するだけでも消耗が激しいものだ。

 なのに3戦も4戦もこなして、今では21あったギルドが5ギルドしか残ってない。

 俺の予想では、10ギルドくらい残るはずだったのに!


 というか4ギルドも倒した〈エースシャングリラ〉が4位落ちするのは、この「4ギルドしか残らなかった」パターンくらいしかなかったはずなんだが、なんでこのパターンツモっちゃってんのさ!

 みんな戦いすぎだよ!?


 だが、いけなくはない。


「幸い〈エースシャングリラ〉はまだ24人も残っている。攻めることは十分可能だ」


「どこを狙うの?」


 一番近い〈ユートピアサークル〉か、組んでいる〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉か、それとも〈中毒メシ満腹中〉。


「俺だったら、〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉を狙う」


「わたくしもですわ」


 俺とリーナの答えが一致した。

〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉は組んでいるから強いのだ。お互いがお互いのフォローをして、弱い部分を補い合っている。

 故に、どちらか片方ならばいけなくはないのだ。

 そして、こっちには遠距離攻撃にメタ張るモニカがいる。相性は良い。


 まずは〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉を討つ。そうすればたとえ〈ハンマーバトルロイヤル〉が仕掛けてきたとしても、〈エースシャングリラ〉なら防ぎきることが十分可能だ。

 そして、現在〈中毒メシ満腹中〉に〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉が合同で仕掛けているのだ、〈エースシャングリラ〉はその後ろをとれる絶好の場所にいた。


 俺なら間違い無く仕掛ける場面。

 だが〈エースシャングリラ〉は新進気鋭のルーキーばかり。

 さすがにそう判断するのは難しいか、と思ったのだが。


「モニカさんが出ました! 狙いは〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉です!」


「よっしゃああ!!」


 勘か、それともモニカがよほど優秀なのか、多分後者。

〈竜の箱庭〉を見て出撃を決めたモニカが、19人を連れて拠点を飛び出したのだ。

 なんという英断。


 そのまま真っ直ぐ進むモニカは、〈中毒メシ満腹中〉の拠点を攻撃しているその後ろにドカンとぶつかり、一気に〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉の主力を撃破した。


 しかもタイミング良く〈ハンマーバトルロイヤル〉が〈中毒メシ満腹中〉を落としたことで勝利の余韻に酔っているところだったのが功を奏し、本当に一瞬で撃破し吹っ飛ばしたのである。


 これには焦る〈ハンマーバトルロイヤル〉と〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉。

 ここから〈エースシャングリラ〉は一部の部隊が〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉の拠点へ襲撃した。追撃だ。フェンラやクラたち1年生ズが、まさに別働隊として拠点へ向かったのだ。この最終決戦という土壇場で初めて部隊を分ける決断に痺れる!


 アディやレミは直ちに追いかけて応戦せんとする。

 だがモニカたち2年生メンバーズにエリア間を結ぶ通路を塞がれてしまい、このままでは拠点に帰ることができない絶妙な位置に陣取られたのだ。


 こうなったらと一部の〈ハンマーバトルロイヤル〉部隊が〈エースシャングリラ〉の拠点へと向かいだしたのだから熱い展開。カウンターだ。

 主力が留守なのはお互い同じ、ならば〈ハンマーバトルロイヤル〉が〈エースシャングリラ〉を落としても終了だ。


 だが、ここでユナとミアハが陣や罠に加え―――防衛モンスターを召喚。


「ヴァアアアアア!!」


「あれ、フラーミナ先輩のラヴァ!?」


「上級上位ランク9レアボスの召喚盤、〈溶岩大帝(ようがんたいてい)・ラーヴァエンプドドラゴン〉ですの!?」


「貸しちゃった♪」


 ここで〈ハンマーバトルロイヤル〉の足ストッッッップ!!

 罠だらけ、防衛準備万全という〈エースシャングリラ〉の拠点周りになかなか踏み込めない〈ハンマーバトルロイヤル〉。


 そうして時間は過ぎていき、ついに〈弓聖手(きゅうせいしゅ)〉の拠点が陥落してしまう。


「「「「「――――――――おおおお!!!!」」」」」


「「「「「わあああああ!!」」」」」


 瞬間、爆発的な歓声が周りから溢れた。


 フェンラやクラたちがやったのだ。防衛に出てきたメンバーは五段階目ツリーの開放者も多かったが、数では〈エースシャングリラ〉の1年生ズが勝ってた。

 なんとか道を切り開き、クラが『突貫』を2度決めてついに勝利を掴んだのだ。

 俺たちも思わず叫んじまったよ! おっしゃあああ!!




 Aランク戦決着。

 勝者、1位〈エースシャングリラ〉、2位〈ハンマーバトルロイヤル〉、3位〈ユートピアサークル〉。

 4位以下、全て陥落。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
もうハンマーバトルロイヤルと弓聖手、合併した方が良くない?
もし定石メモを外からメビウスでユミキ先輩が見てた場合、 はたして精神が耐えられるのかも気になるところ。
エデンの庇護下にあるからランク通りの強さじゃないもんなあ、エースシャングリラ。
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