#1816 第三回大面接告知!各方面からの反響と不合格
〈エデン〉の新しい下部組織創立決定と、そのメンバー募集の第三回大面接の告知は、いつも通りミサトが掲示板に上げた瞬間から瞬く間に学園に広がった。
「「「「「うおおおおおおお!! 今度こそやってやるぞーーーーー!!」」」」」
「「「「「絶対に〈エデン〉の末席に入らせてもらうんだからーーー!!」」」」」
「そして行く行くは勇者君と……おーっほっほっほっほっほ!!」
燃える男女たちでメラメラ状態だ。
栄光の〈エデン〉本体ではなく、その下部組織、しかも1から作るというのがハードルを凄まじく下げていた。
まさに誰でもウェルカム状態。
〈エデン〉本体に入るのは及び腰になっても、1から作る下部組織ならば気軽に入れる。しかも〈エデン〉から鍛えてもらえる。もしかしたら来年は自分が〈エデン〉本体で活躍していることもあるかもしれない。
そんな現実になり得る想像が学生たちの間で繰り広げられていたのだ。
そして第三回大面接の日取りは――新1年生が入学式のジョブ測定を受ける前。
そう、新1年生は覚職前なので受けられない、新3年生は募集していない。
つまり――新2年生のみの募集となっている!
新2年生に進級する学生は闘志を燃やしまくり、新3年生に進級する者はそれを聞いて燃え尽きた。そんな光景がそこら中で起きていた。
「混沌野郎! 今までお世話になりました!」
「混沌!?」
「ア、アラン! 俺、ゼフィルスさんの下でもっと鍛えてみたいんだ!」
「その意気や良し! 〈SSランクギルドカップ〉では不甲斐ない結果だったからな、その辺もゼフィルスに教えてもらうと良いだろう! そして何時の日か鍛え上げた筋肉を抱えて戻って来い! 俺のギルドは、いつでもオルクを待っているぞ!」
「あ、ありがとうございます!(あ、戻るの確定ですか!?)」
「はっ!? 新2年生のみの募集!? 新3年生は!? 私は!?」
「だ、だから新2年生しか募集してないんっす! セルマさんは対象外っすよ!」
「そ、そんなこと……そんなことって……! みゃあああああああああああああああああああああああああ!?!?!?」
多くのギルド内や友達同士でもこのようなやり取りが散見されたという。
新2年生の多くの人材が、もしかしたら、という希望を胸に、第三回大面接に応募したのだった。なお、新3年生は応募しても不合格である。
◇
「たは! 見て見てゼフィルス君! この応募数! 3000を軽く超えちゃったんだけど!」
「ちょ、やべぇじゃん! え? 新2年生だけの募集だよな? こんなに来てんのか?」
「これもSSランクギルドになった効果だね!」
「SSランクギルドすげぇな!」
「それでこっちが選抜して、問題ある人を弾いた結果だよ!」
「いや50人しか残らなかったってどういうことだ!?」
第三回大面接。
その告知をしてから僅か1日。その応募数は俺が想像していたよりもとんでもなく多く、そして弾かれた人もとんでもなく多かった。選抜率2%以下の壁! なんて分厚い壁なんだ!
「ちなみに、将来的にSSランクギルド〈エデン〉に加入する可能性が高いので、そういう面の実力を測った結果だよ~」
「なるほど~。それなら50人はむしろ多い、のか?」
さすがはミサト。
先が見えているようだ。
卒業後。
ゲーム〈ダン活〉ではそこでエンディング。ゲーム終了となりギルドのデータはその時点で永久保存されてしまう。その先なんてものは無いのだ。
だが、ここはリアル。エンディング後ももちろん続いていくことだろう。
故に、俺が卒業した後のギルドのことも考えておかなくちゃいけないのだ。そう、シエラたちに言われたのだ。
そういうわけで、今回の大面接は俺たちが卒業後、〈エデン〉を支えてくれる人材の募集も兼ねている。そうなるとやはり難しいのだろう。50人でも残った方なのだと思う。
……50人ってSランクギルド1つ分しか作れない人数なんだけどな。
「ゼフィルス君は、まず育っている新2年生にギルドの運営とランクアップを任せて、その間に新1年生を育成したい考えなんだよね?」
「その通りだ。新2年生は最低でも10人は確保しておきたいところだな」
Eランク試験は最低5人が必要。Dランク試験では10人必要だ。
そしてFランクギルドの上限人数は10人まで。故にまずは上限人数まで集めてDランク試験の合格を目指したいところ。
Cランク戦用に15人、Bランク戦用に20人、Aランク戦〈学園春風大戦〉用に25人が必要なので。さらに追加で最低15人が必要だな。
じっくり育成していかなければならない。そのためにも、まずは10人の育成完了済みのメンバーをギルドに加えなければならないのだ。
選び抜かれた50人の資料を見せてもらい、確認する。
「おお~、さすがはSSランクギルド〈エデン〉に入る可能性のある人材。どれも良い人材で迷っちゃうな!」
「そっちが普通の応募枠だね。それでこっちがギルドメンバーからのオススメ枠。例の【ヒーロー】と【魔法幼女】の子もオススメ枠に入れてあるから。それと、こっちは別のギルドからの推薦枠ね」
「オススメ枠は分かるが、推薦枠ってなんだ?」
「なんか、引き抜きの反対? みたいな感じ? ギルドマスターがうちのこの子どうですか? って薦めてきてるんだよ」
ほほう?
他のギルドマスターが推薦するだけの人材。
普通なら自分のところでは要らない人材を押しつけようとしているのか? と思うところだが、俺は他のギルドたちはそんなことをしないと確信している。みんないい人たちだしな。
ならば、本当に推薦したい人材なのだろう。
リストを見せてもらうと、〈ギルバドヨッシャー〉からはシンジが、〈筋肉は最強だ〉からはオルクの推薦が書かれていたんだ。なお、セレスタン判定で不合格の烙印がポンと押されているのが目に入る。
「ミサト、推薦枠にセレスタン印の不合格が押されているんだが?」
「う、うん。その2人はちょっと問題かなーって。(冒険者とかこの前の学年末テスト、1年生のテストだったのに赤点ギリギリだったらしいし)――それよりもさ、こっち見てよ」
「ん? おお! ノーアたちからの推薦か!」
「同じクラスの子とかを推薦したいんだって」
「そういうの、とてもありだと思う!」
ノーアは〈戦闘課1年1組〉だったんだ。つまり、1年生で最も強い人材の推薦。
そういうのを待ってたんだよ!
「それとメルト様からとか~、あ、マシロちゃんからも、同級生でこの子を推薦したいってきてるよ。これだね」
「マシロは〈新学年1組〉! おお! 【人魚姫】の子か!」
「その子は海姫になりたいんだってさ」
「海姫!! これは採用するしかない!!」
貴族系の中でも唯一のヒーラー〈姫職〉である【人魚姫】。その上級職【ネプチューン】ルートではない、もう1つの特殊ルート〈上級姫職〉!
もうこれは採用で話を進めるしかない!! マシロの推薦だし、是非ヒーラーとして加わってもらおうと思う!
ネックはまだ下級職という点だが、【ヒーロー】っ子も【魔法幼女】っ娘も下級職だ。一緒にレベル上げをすればいい。
タンクの【ヒーロー】にアタッカーの【魔法幼女】、ヒーラーの【人魚姫】。
かなりバランスの取れたパーティーになりそうな予感だ!
「それじゃあまず、オススメ枠と推薦枠から面接の準備するね!」
「頼んだミサト!」
こうして俺たちは第三回大面接の開始を宣言した。




