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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第四十章 卒業とお別れと思い出作りの最上級ダンジョン

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#1794 複数パーティ推奨ボスがさらに複数出てきたよ




「こ、これが、新しい〈超ボス探知アンテナ〉、ですの??」


「触覚型のアホ毛じゃん!!」


「ど、どうやってこんな形に??」


 翌日、俺はマリー先輩にデザインを変更してもらったアンテナをカイリに渡したところ、リーナは目を丸くし、カイリは全力でツッコミを入れてきたんだ。クイナダも良い感じのハテナマーク。

 ナイスツッコミ!!


 そう、俺が今日マリー先輩から受け取ったアンテナは、なぜかアホ毛になっていた。アホ毛アンテナだ。

 なんだか妖怪にも反応してくれそう。くれないかな?


「だが違和感なく、むしろ個性的なファッションとして使えるだろ?」


「いや、うん? まあ、そうかな? そうかも? とりあえず、色は私の髪と同じ紫一色になったし、昨日のキラキラよりマシだけど……」


「まあいいじゃありませんの。わたくし、カイリさんがこれを付けてピョコピョコアホ毛が揺れるところがみたいですわ」


「完全に遊んでるし! あ、ちょ、リーナさん!?」


 カイリ的には気は進まなかったが、そこへリーナがひょいっとカイリの手からアホ毛を取り上げ、しゅちゃっと目にも止まらぬ速さでカイリに装備していたんだ。


「良い感じですわ! 可愛いですわよカイリさん!」


「そ、そうかな? なんか可愛いって言われるの、すごーくむず痒いんだけど」


「おう。良い感じに似合ってるぜ。さすがはマリー先輩、いやメイリー先輩だ。良い仕事をする」


 頭の天辺部分からぴょこんと伸びるアホ毛。良いじゃないか。

 俺は眠たげな目をしたメイリー先輩に心からグーを送った。

 リーナもなんか喜んでる。

 ボーイッシュな自覚のあるカイリだけは、自分が可愛いものを着けるのに抵抗ある様子だ。とはいえすぐ慣れると思う。アホ毛だし。


 ちなみにこんな形になってもカイリの『エリアボス探知』はしっかりパワーアップされていたよ。




「さぁ、今日は30層を目指すぞ!」


「よーし、頑張っちゃうよー!」


 昨日は15層までやったので今日は30層まで。

 この調子でいけば6日で90層まで走破できる計算だ。

 そう、最上級ダンジョンのランク1は――90層まであるんだ。

 上級上位ダンジョンが80層だったからね。


 しかし、上級上位ダンジョンとは変わり、むしろ階層数は少なくなっている。

 それは20層に着いたときのことだ。


「階層門が1つに守護型のボスが2体?」


「ツインズ、じゃないみたいです。それぞれ個別のモンスターですね」


「しかもアイコンに付いている数字が違うわ。右のボスは3だけど、左のボスは2よ」


「15層のボスは4パーティ推奨だったし、20層のボスは3と2で合計5パーティ。これは何かあるな」


 守護型ボスと対戦する毎に増えていく推奨パーティ。

 15層では4パーティ戦となり、続いて20層ではもしかして5パーティ戦になる? と思いきや、待ち受けていたのは3パーティと2パーティを推奨する2体のボス。


 これは何かあるなと打ち合わせるが、まずは2パーティの方から叩くことにした。そして。


「これは――呆気なく終わってしまいましたわ……」


「右のボスが参戦してくることも無かったわね」


 そう、リーナが確認し、シエラがいつでも飛び込める体勢で構えていたのにもかかわらず、3パーティを推奨する守護型ボスは動かず、なんと2パーティ推奨ボスは呆気なく3班と8班の混合パーティによって討ち取られてしまったのだ。

 肩すかし気分でお互いを見るリーナとシエラ。


 しかし、ここからが本番だな。


「1体の守護型ボスを倒しただけでは階層門は開かない見たいですわね」


「そうなると、もう1体のボスも倒す必要があるわね」


「私に任せなさい! あっちのボスも倒してやるわ!」


「ラナ殿下がノリノリですぅ!」


「ラナは今SPを『大聖光の無限宝剣』に注いでいる最中だからな。レベルを上げたいんだよ」


 2体目のボスに狙いを定めるラナにマシロが尊敬の視線で見つめていたので一応理由を教えてあげた。

 ラナは今レベルアップに飢えているのだ。レベルキャップが解放されて、レベルが66になったからな。その時に増えたSPを『大聖光の無限宝剣』に振り、今優先的に伸ばしている最中なのだ。


 ちなみにここ最上級ダンジョンのランク1では――LV75まで育成が可能だ。

 今までLV5ずつレベルキャップが解放されてきたのに、ここに来てLV10解放されたのである。凄まじかろう? 俺も早く深層へ向かいたいところ!


 しかし、ここでアクシデント。3班が右のボスのパーソナルフィールドに侵入しようとしたところ、なんとできずに弾かれてしまったのである。


「きゃん!?」


「ラナ様!? 大丈夫ですか!?」


「ちょ、なにこれ!? 壁があるわよ!?」


「にょわ!? 確かに壁があるデース! ってあれ!? メルトたちはどうして入れるデース!?」


「なに? ――これは、演技には見えんな」


「演技じゃ無いデース! 本当に壁があるのデス!」


 そう、なんと1班のメルトは入れたのに、3班のラナたちが入れなかったのだ。

 ここで灰色の脳細胞がきゅるりんと輝いたリーナがすぐに指示を出す。


「サチさんたち、8班も来てください! ここに壁があるか見てほしいのですわ!」


 呼んだのはさっきのボスをラナたち3班と一緒に倒した8班メンバー。

 すぐにその可能性に行き当たるとか、さすがはリーナだ。大当たりである。


「いいよ~。どれどれ~、むむ! 確かに壁があるよ!」


「これ、パーソナルフィールドの結界??」


「3班と8班だけ入れないね??」


 そう、他の班は普通に出入りすることができるのに、さきほどもう1体のボスを倒した3班と8班だけは入ることが出来なくなっていたのだ。

 これが意味することとは。


「ご主人様いかないでー。ここに私の行く手を阻む壁があるの!」


 同じく8班のエリサが早速壁を有効活用してなんか演技を始めていた。

 俺の爽やかな脳が素早く回転する!


「すまないエリサ、俺は行かなくちゃいけないんだ……!」


「ご主人様ー! ――へぶんっ!?」


「なにやってるんですか姉さま」


 思わずエリサのノリに乗ってしまったが、途中でフィナがエリサを沈めて終了。――かと思いきや、


「教官、私を置いて行ってしまうのですか……?」


「あれ!? フィナちゃんそれ私のパクリだよ!?」


 フィナ編が新しくスタートしていたんだ。がばっと身体を起こしたエリサが驚愕に目を見開いて見ていたよ。

 でもどうしてだろう。フィナの場合だと踵を返して戻りたくなってしまうのは。

 不思議だなぁ。


「これは、同じ階層でボス戦をしたパーティはもう1体のボス戦に参加できない仕様みたいですわ」


 そう、リーナの考察通りだ。

 ここは文字通り、5パーティ推奨ボス。

 ただあまりハンディが増えすぎるとボスが強くなりすぎるためか、ボスが2体に分かれているのだ。


 それだけではない、同じボスに参加出来ないということは、だ。

 これまでのハンディ付きボスもなにか対策をバリバリに積んでギリギリ1パーティで倒してきたとしても、ここでは強制的に最低2パーティが必要になるんだ。


 複数パーティを育成していないとここは突破出来ない。

 それが20層だな。


 その代わり上級上位ダンジョンの時みたいに別の階層門や鍵があるなんてこともなく1本道。上級上位ダンジョンより階層自体は減っていると言った理由がこれだ。

 ……あれ? 本当に減ってるか? むしろ1層に5階層ができているから増えてるんじゃ……? いや、細かいことを気にしてはいけない。


 3パーティ推奨ボスは1班、2班、4班で破った。すると。


「入れるようになったわー!」


「ご主人様ー、会いたかった―――へぶんっ!?」


「はいはい姉さま。演技はもう必要ありませんよ」


 壁が無くなり、3班も8班も他の班も入れるようになった。

 エリサが演技の続きをして感動的なハグを演出しようとしていたが、これはフィナが阻止していたよ。


 その調子で25層にも登場した2体のボス、アイコンに3と3と書かれていた、合計6パーティが必要な守護型ボスも倒し、とうとう俺たちは浅層最後の階層――30層へと到着した。

 だが、そこには守護型ボスはおらず、階層門に似た、しかし全く別物の、禍々しい門が開いていたんだ。





 あとがき!


 とある日の邂逅。

 ユミキ「それでカイリ? 今日はあのアホ毛はどうしたの?」

 カイリ「ひゅよあえ!? なんで最上級ダンジョンでしか装備してないはずのあれの存在をユミキ姉が知ってるの!?」

 ユミキ「何言ってるの、私よ?」

 カイリ「え、ええ!? ユミキ姉の名前がパワーワード過ぎるんだよ!」



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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
これは!!!何言ってるの?勇者君よ?の姐御バーション
もしアホ毛がユミキ姉へ光ったら、カイリの内心が超ボス扱いなのがバレてしまう(笑)
アホ毛ぇ~! まさかそんな形状に出来るとは!?
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