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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第四十章 卒業とお別れと思い出作りの最上級ダンジョン

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#1781 最上級ダンジョン初入ダン!新世界を刮目せよ




「行ってしまったわね」


「タバサさん、顔に寂しいと書いてありますよ」


「分かってしまいますかヴィアラン会長。実は今、私すっごく寂しいんですよ? 〈エデン〉と一緒にダンジョンに入りたくてうずうずしてるんです」


「十分元気そうじゃないですか」


 大盛り上がりの最上級ダンジョン門前、大歓声が響く中、共にダンジョン門を解放した〈攻略先生委員会〉隊長タバサと〈救護委員会〉の会長ヴィアランが話していた。


 話題はもちろん、たった今世界でも誰も見たことのないダンジョンへ足を踏み入れた〈エデン〉について。

 分かっているのはダンジョン名と、ランクと入ダン条件のみ。

 最上級ダンジョンにもランクがあり、1から5まで、そして最初はランク1にしか入ダン出来ないというのは以前から分かっていた。


 何せダンジョン門の外壁の石碑にそう書いてあるから。

 とても親切なご案内だった。

 しかし、それでも中の様子は分からない。


「でも、心配って顔はしていませんね」


「それはそうですよ。だって、ゼフィルスさんがいるんですもの。みんな無事に帰ってきます」


「そうですね。むしろ別のことを心配しなければならないくらいですよ」


 そう言ってヴィアラン会長が振り向く先には忙しそうに指示を飛ばす、80歳のおじいちゃんの姿があった。もちろん学園長だ。


「ヴィアラン、わしだけじゃ手が回らんわい、手伝ってほしいのじゃ」


「あら、呼ばれてしまいましたね」


「ええ。本当に大変そうなのでもういきますね。タバサさんは?」


「ここで〈エデン〉のみんなが帰還するのを待っています」


「そうですか。私も一緒に待ちたかったですね……新たな歴史が刻まれる瞬間を」


「ヴィアラン~!?」


「……それでは」


「がんばってくださいね」


 学園長の悲鳴にヴィアラン会長が少し後ろ髪を引かれる思いをしながら助けに向かうと、ダンジョン門、ランク1の扉の前にはタバサだけが残された。


「ふふ、ゼフィルスさんならまたとんでもないことをしちゃうのでしょうね」


 ◇


「ここが最上級ダンジョン、学園最高峰のダンジョンなのね!」


 そこに足を踏み入れ、辺りを見渡して最初にそう言ったのは、もちろん我らが王女様、ラナだった。


「〈新世の樹界ダンジョン〉、名前だけだとよく分かりませんでしたが、これを見たら納得ですね」


「なんて神秘的な光景なのかしら。上手く言葉が出ないわね」


 その光景にエステル、そしてシエラも圧倒されたように呟くことしか出来ないようだ。

 そう〈新世の樹界ダンジョン〉はまさに神秘的な自然の風景に溢れたダンジョン。

 樹海ではなく樹界と表現されているように、フィールドのほとんどは木で出来ていた。


 俺たちは木の上、〈竜ダン〉のレアイベントで登場した〈竜樹〉にも似た、超巨大な木の上に立っていた。

 しかし、上にはさらに樹冠が覆い、木漏れ日の光が幻想的な淡い色で葉を照らし、正面に広がる、まさに木で出来た道を俺たちに見せてくれている。

 下も草木で茂っているなら上も草木で茂っており、見渡す限り緑色ばかりが見える。そんな別の世界にでも迷い込んだかのような場所。


 ここが〈新世の樹界ダンジョン〉。

 名前の通り、新しい世界。樹の世界だ。


「〈新世の樹界ダンジョン〉、まるで樹の世界だな」


「言い得て妙ね」


 俺がそうポツリとこぼすと、シエラがそれを拾い上げる。

 まあ、こぼしたのはわざとなんだけどな!

 さらには頭脳派であるメルトまでやってくる。


「樹の世界。最上級ダンジョンには全てのダンジョンに〈界〉という言葉が使われているが、まさか」


「最上級ダンジョンはもしかしてこのような、別の世界のようなダンジョンということですの?」


 リーナもやってくる。

 今回最上級ダンジョンに入った目的は、前人未踏のダンジョンに足を踏み入れることと、そこがどんなダンジョンか調べることの2つ。

 まあ、メインは前者なので、後者はできればで大丈夫だが、せっかく入った以上、何かしらの成果は持って帰りたい。

 みんなで集まって何かを考えるのは当然の流れだった。


「メルトとリーナの言葉には一理あるかもな。最上級ダンジョンにはそれぞれ、〈樹界(じゅかい)〉〈猫界(ねこかい)〉〈聖界(せいかい)〉〈万界(ばんかい)〉〈神界(しんかい)〉と〈界〉の名前がついている。それがそれぞれのダンジョンの特徴を帯びていると言っても過言では無い」


「ねぇ、なんか1つおかしな世界が混じってなかったかしら?」


「うむ。ランク2の〈猫界〉だな。ゼフィルスの言うことが本当ならば、そこは猫世界ということになる」


「「「「猫世界……」」」」


 ラナが目を丸くして疑問の声を上げ、リカが素早く反応してそれをつかみ取っていった。多くのギルドメンバーが猫世界の名に衝撃を受けているな。

 うむ。最上級ダンジョンは摩訶不思議。


 新しい世界とも言えるようなダンジョンなのだ。


 そして〈樹界〉のダンジョンの光景がこれである。なら〈猫界〉は?

 ゲーム時代でもそう考えた人がとても多かったんだ。〈樹界〉置いてきぼりでしょんぼりである。


「今すぐ〈猫界〉へ行きましょう!」


「残念だがラナ、それは無理だ」


「なんでよ! 猫が私たちのことを待ってるのよ?」


「ぐぬ! た、確かに俺も今すぐ行きたいが、行けない理由があるんだ。最上級ダンジョンはこれまでのダンジョンとは違ってな、ランク1ダンジョンから順番に攻略していかなくちゃ入れない。そう条件で決まっている。だからランク2にはここ〈樹界ダン〉を攻略しないと入ダンできないんだ」


「〈樹界ダン〉を攻略するわよーー!」


「「「「おおーーーー!!」」」」


「一致団結力!」


 今、〈エデン〉の心は1つになったんだぜ。なお、女性メンバーに限る。


「〈竜の箱庭〉、起動! 『フルマッピング』ですわ!」


「補助するね! 『立体地図レーダー完備』!」


「ダンジョンを丸裸にするのよ!」


 やべぇ、ラナの指揮が冴え渡ってんじゃん。

 ギルドメンバーのやる気がすげぇぞ!?


「わ、私はどうすれば?」


「クイナダは索敵班に入って! 任せなさい、あなたが分校に帰る前に猫の世界を見せてあげるわ!」


「!」


 お、俺のセリフまで取られただと!?

 クイナダに猫の世界を見せるのは、俺の役目だったのに……!

 まあいいんだけどさ!


「ダンジョン内のマッピング、完了しましたわ!」


「モンスターも大量だよ! これは、〈ウルフ〉系が多いかな」


「〈ウルフ〉系ね! ということは、ボスはバルフかしら!?」


 さすがはラナ、一瞬でそこまで見通す千里眼、なんて優秀なんだ。

 うん。〈ウルフ〉系のダンジョンの最奥ボスは、ずっと〈バトルウルフ〉だったからね。


 そう、ここ〈樹界ダン〉の主なモンスターは〈ウルフ〉系。

 もちろん〈ウルフ〉以外もたくさんの種のモンスターが登場するが、メインは〈ウルフ〉だ。強敵だな。


 まあ、ランク2が〈猫界ダン〉なので、ランク1は当然のように〈ウルフ〉系が登場するダンジョンとなっているんだ。狼は猫より弱いのが〈ダン活〉の世界だからな。


 しかし、それを言うとランク3以降は猫より強いということになってしまうのがミソ。

 さすがは最上級ダンジョン。

 これまで〈ダン活〉で登場してきたモンスター。その中でも強力な上澄みを掬い取ったかのような強力なモンスターだらけなんだぜ。


 さらに、最上級ダンジョンには新たなボスが登場するようになる。


 さあ、これから最上級ダンジョンを、丸裸にして攻略してやるからな!(※今日は調査だけですよ)





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
熊界がない‥だと!?
ランク1が狼でランク2が猫なら ランク3熊 ランク4竜 ランク5筋肉(神) かな
今から楽しみな猫界!
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