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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十八章 S&A!パワーキャリーで六段階目ツリー開放大爆発!

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#1722 フィリス先生の希望は、俺が全力で叶えてやる




 ――――【炎国姫(えんこくひめ)】。

 それは「侯爵」には珍しい魔法使い系の職業(ジョブ)の1つ。

【深窓の令嬢】の上級職で、姫の名の通り高の上、つまりは〈上級姫職〉の1つだ。

〈火属性魔法〉に特化した最強魔法職である。

 結界で囲い、中を炎でドカンする、攻防一体のアタッカーだな。まさに炎国だ。


 その名の通り、「子爵」であるアリスの【雷神姫】や、「伯爵」であるサーシャの【氷帝姫】と同じ系統、その「侯爵」バージョンである。


 俺としてはゲーム時代、斬り込み隊長である【先陣の姫武将】と、万が一の時の脱出担当【方舟姫】で「侯爵」の枠がいっぱいだったので、あまり手を出さなかった職業(ジョブ)だ。

 もちろん最強育成論は修めているので安心してほしい。


「【炎国姫】? フィリス姉様、私は聞いたことが無いのだが」


「最近見つかった職業(ジョブ)なの、ほら〈エデン〉が未攻略だった〈魔界ダン〉を〈攻略先生委員会〉が突破したでしょ? あそこのレアイベント部屋の壁画には、「悪魔」の発現条件と共に、「侯爵」の発現条件の一部のヒントもあったのよ。政治的な理由で今はまだ発表を見送っている状態だけどね」


 ああ、やっぱりフィリス先生たちは「侯爵」の一部のヒントも見つけていたんだな。「悪魔」の上級職の発現条件は見つかっていたのに、「侯爵」の方は全く噂にもなってなかったからどうしたのかとずっと思っていたんだ。

 だが納得、誰でも就ける「悪魔」とは違い、「侯爵」の上級職の発現条件は「侯爵」家の宝だ。普通ならそう簡単に発表なんてできないのか。(←発表しまくってる人)


 そう、実は〈魔界ダン〉には「悪魔」の半分、【ルシファー】と【メデューサ】の発現条件の他にも壁画があったのだ。

 上級中位ダンジョンのレアイベントで2つしかヒントが無いなんて、ちょっと少なすぎるだろう?

 そして残りの壁画こそ――「侯爵」の上級職が描かれている壁画だったのだ。


「侯爵」の上級職の約半分、【上侍】【大浪人】【将侍】【大名】【炎刀大名】【炎刀の戦武将】【紅の竜峰将】、そして――【炎国姫】の名もヒントと共に描かれていた。

 フィリス先生はそこで【炎国姫】について知ったのだろう。

【雷神姫】や【氷帝姫】と同列の、かなり強力な職業(ジョブ)として。


 ちなみに残りの半分、【方舟姫】や【先陣の姫武将】についてのヒントはクエストなどで判明する。例の【深窓の令嬢】の発現条件のヒントと一緒のところだ。

 故に、リアルでは現在も【炎国姫】は謎に包まれているんだ。


「いやいや、フィリス姉様、さすがのゼフィルスでも最近見つかった職業(ジョブ)に就けるなんて――」


「大丈夫ですフィリス先生、俺に任せてください!」


「って引き受けるのか!?」


 俺はグッと拳を握ってそう請け負うと、リカが仰天したようにこっちに振り向いた。


「ありがとうございますゼフィルス君。こちらが今分かっているヒントなんです」


「拝見します!」


「いや――普通は、だがゼフィルスだし。まだ誰も就いたことの無い職業(ジョブ)は、いやしかし……」


 俺が請け負ったことでフィリス先生がヒントが書かれた紙を差し出してきたので受け取る。


 リカが頭を抱えて唸っている気がするが、きっと気のせいだろう。


「ふむ。大体分かりました」


「もう、ですか?」


「はい! とりあえず〈天聖の宝玉〉はありますか?」


「〈天聖〉ですか? 〈天槍〉ではなく?」


「【炎国姫】は魔法系なので、〈天槍〉はいりませんよ。必要なのは〈天聖〉です。ヒントにも光る球がこうして描かれていますから」


「これは宝玉を指していたのですね。分かりました、用意しておきます」


「なければ〈エデン〉に在庫があるのでお売りできますよ」


「その時は――お願いしますね」


「侯爵」カテゴリーの職業(ジョブ)は様々な〈宝玉〉を使うため、使い分けが大変だ。〈上級姫職〉なら基本は〈天槍〉だが、魔法系の【方舟姫】の時は〈天廊(てんろう)の宝玉〉だったし、【炎国姫】には〈天聖の宝玉〉が必要になる。

 ちなみに【雷神姫】や【氷帝姫】の時も〈天聖の宝玉〉を使っているので、【炎国姫】も同じく〈天聖〉を使うと考えておくと覚えやすいぞ。


「それと【炎国姫】ですが、道は険しいですよ。【炎国姫】自体の発現条件は【深窓の令嬢】からの〈上級転職(ランクアップ)〉ですが、【深窓の令嬢】の発現条件にはその下部職業(ジョブ)である【箱入り娘】になる必要があります」


「まずは中位職の【箱入り娘】に〈下級転職(ランクダウン)〉し、そこからさらに2回〈転職〉しないといけない、ということですね」


「はい、故に〈下級転職チケット〉も2枚必要になります」


「手配するわね」


 フィリス先生がタブレットを使ってどこかに連絡する。今は〈下級転職チケット〉も国から販売が禁止にされているのでフィリス先生の伝手を辿ってもらうしかない。

 まあ、その気になれば〈エデン〉の持っているものを交換するという手もあるが。

 そうだ、これも確認しておかなければ。


「あと1つ言っておきたいのですが、【炎国姫】はアタッカー寄りの魔法使いです。フィリス先生は今までずっと接近戦の物理職だったはずですが、大丈夫ですか?」


 俺は壁画の写真と報告書をペラリと捲りながらフィリス先生にそう問うた。


 物理職から魔法職への転向。

 これはかなり感覚が狂う。もちろん転向する人もいるが、それは本当に物理職の才能が無くて、仕方なく転向する類いのものだ。ポジションも大きく変わる。

 故に、フィリス先生なら【姫侍】から【無双の姫侍】への〈上級転職(ランクアップ)〉でも良いんじゃないか? と疑問に思ったが故の確認だ。しかし、フィリス先生はそれを聞いて困ったような表情になった。


「えっとね。とても言いにくいんだけど、私ってあまり物理職の才能が無いのよね」


「え? そうなんですか?」


 返って来たのは意外な言葉だったんだ。思わず問い返してしまうくらいだったよ。

 それにリカが頷く。


「うむ。私たちが四姉妹というのはゼフィルスにも話したことがあったな? その中で、一番刀に向いてないのが、何を隠そうフィリス姉様だったんだ」


「えへへ。私はキリちゃんみたいに刀で切り開く、みたいなことは無理だからね。苦手というわけでもなかったのだけど、得意というほど才能に恵まれたわけでもなかったのよ。むしろ魔法使いに憧れたわぁ」


「うむ。私が【姫侍】に就いた時、ゼフィルスに魔法職への道も示してもらったと知ったフィリス姉様は、それはそれは羨ましがっていたな」


 あ~、そう言われると、なんか納得する。

 キリちゃん先輩は上級職、高の上【紅の竜峰将】、リン先輩は上級職、高の上【炎刀の戦武将】だ。そしてリカは〈上級姫職〉【先陣の姫武将】である。

 その中でもフィリス先生が中位職の【上侍】って少しおかしいと思ってたんだよ。


 そして「侯爵」は基本物理職、魔法系は特殊ルートで、最初リカに教えたときも魔法使いになれるなんて知らなかったって言ってたからな。

 フィリス先生は仕方なく物理職の道へ進んだのだろう。


「私はどちらかというと実務系でね。内勤は得意なのだけど」


「それで私ら姉妹、妹たちは武力を、長女であるフィリス姉様は実務を処理し、家に貢献してきたというわけだ。父上も最初からフィリス姉様は訓練ではなく実務を学ばせていたしな」


 なるほど、今までは【上侍】でも役割分担をしていたため問題は無かったのか。


「というわけで、リカちゃんやキリちゃんと同じ職業(ジョブ)になっても使いこなせる気がしないから、いっそのこと魔法職になってしまおうという作戦よ」


「なるほど~」


 さすがはキリちゃん先輩やリン先輩、そしてリカのお姉さんだ。

 少し天然入っているな~とは思っていたが、思い切りの良さはみんな変わらない様子。


「了解です。それじゃあ早速【箱入り娘】になりにいきましょうか」


「お願いするわ。ゼフィルス君」


「ゼフィルス、こう言うのはなんだが、くれぐれも手心を加えてほしい」


「え? リカちゃん、それってどういう?」


「何を言ってんだリカ。俺はいつでも全力全開だ!」


「いや、待てゼフィルス、少し不安が出てきた。もうちょっと抑えてだな――」


「俺に全部任せてください! そうすれば、フィリス先生を最強の【炎国姫】にしてみせますよ!」


 俺がグッと力を入れて立ち上がる。やる気がモリモリメラメラ燃えているようだ!

 フィリス先生の願い、しっかり聞き届けた!

 全部俺に任せておけ!


 そう思って燃えていると、なぜかリカが水を掛けて冷やそうとしてくる。

 だが、俺の炎は負けない!

 え? え? と動揺するフィリス先生の手を捕まえ、早速行動を起こしたのだった。


 まずは〈下級転職(ランクダウン)〉だ。

 フィリス先生が手続きをしてくれたおかげで〈下級転職チケット〉〈上級転職チケット〉〈天聖の宝玉〉が簡単に手に入ったのは良き。さすがは学園長の孫娘!


 フィリス先生の動揺が収まらぬ間に〈下級転職(ランクダウン)〉!

 無事【箱入り娘】に〈下級転職(ランクダウン)〉することに成功したのだった!

 レベルがリセットされて少し落ち込む表情を見せていたフィリス先生に構わず、そのままフィリス先生の手を引っ張って今度は〈道場〉へと突入。


 俺が全部薙ぎ払って【箱入り娘LV15】まで上げると、再び〈下級転職チケット〉を使って【深窓の令嬢】に〈転職(ジョブチェンジ)〉した!

 ここまで僅か35分。なかなかのタイムだ。


 とりあえず〈エデン〉から適当に魔法使い職系の装備を貸与して、再び〈道場〉でレベル上げだ。


「え? あの、ゼフィルス君!? この装備、私が普段使っている装備よりも強いのだけど――」


「大丈夫ですフィリス先生! 大丈夫大丈夫!」


「なにが大丈夫なのか何一つ情報がありませんよ!?」


「ああ、やはりこうなってしまったか」


 ここで重要なのが【深窓の令嬢】が魔法タンク系なのに対し、【炎国姫】はアタッカーな点だ。つまりSPを防御方面に振りすぎると弱くなってしまう。故に最低限のSPを振って下級職は飛ばし、【炎国姫】になってからSPを振るというやり方が正解。


「侯爵」カテゴリーはアタッカー&タンク系が得意。

【炎国姫】でもタンクみたいなことは出来ないことはないが、やはり本職はアタッカーだ。相手を耐性ごと燃やし尽くせってな!


 そうして翌日、たった1日でフィリス先生のLVは75になっていたんだ。


 よーし! 【炎国姫】へ〈上級転職(ランクアップ)〉、いってみよう!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
> 動揺するフィリス先生の手を捕まえ、早速行動を起こした > ~されて少し落ち込む表情を見せていたフィリス先生に構わず、そのままフィリス先生の手を引っ張って今度は〈○○〉へと突入。 「拉致監禁なんて…
これこれ笑 これが見たかった笑
そういや自重さんはまた家出してましたね···
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