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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十八章 S&A!パワーキャリーで六段階目ツリー開放大爆発!

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#1707 〈金箱〉と大ニュース!シエラに一瞬でバレた




「おっしゃ〈金箱〉ゲットーーー!」


 イエス〈金箱〉バンザイ!

 エフェクトの後に残った〈金箱〉を見て、俺はオルクのことが一瞬でスポーンとどこかに吹っ飛んでいきシャウトした。


「おお! 〈金箱〉か! そいつは景気がいいな!」


「やったなアラン! いえーい!!」


 パチンとアランとハイタッチ。

 素晴らしく乾いたパチン音が辺りに響き渡ったんだぜ!


「……『リヴァイヴ』!」


「――おあだ!?」


「あ、オルク! 生き返ったか! もうボスは倒してしまったぞ!」


 メルトが軽く首を振って杖を掲げ復活魔法を唱えると、魔法陣の中からオルクが出現した。

 そして転けた。HPは1だ。

 復活魔法ってLV1の時「HP1で復活」がデフォなんだよ。もしボス戦で復活させて転けてたらもう一回〈敗者のお部屋〉へ逆戻りしてたかもしれないので、復活はこのタイミングだったんだ。決して忘れていたわけではないんだよ?


「…………へ?」


 なお、メルトに復活させてもらったオルクはボスが倒されている光景が信じられないのかポカンと〈金箱〉を見つめている。

 これはアレだな。アレをやるチャンスだ。俺はメルトにそっと小声で耳打ちする。


「よし、メルト、ちょっといいか? オルクに――ごにょにょ――と言ってほしいんだ」


「本当に言うのか? まあいいが――こほん。おお、オルクよ、負けてしまうとは情けない」


「え? え?」


 くっくっく。メルトは【賢王】。

 復活させてこの台詞、ちょっと言わせてみたかったんだ!

 思わずニヤニヤする。オルクは困惑しているが。


 お、来たな。


「あ、証だ!」


 オルクが右手の中にある攻略者の証を見て目を輝かせる。

 俺たちの手にも、大きなネコの顔の絵が描かれた攻略者の証がしっかり現れていたんだ。


 攻略者の証は宝箱が出てから少し間を置いて貰える。

 この時までに戦闘不能じゃなく、かつボス戦に参加していれば攻略者の証が貰えるのだ。そのためボスを倒した瞬間に戦闘不能状態でも、証が貰えるまでに復活出来ていればゲットできるのだ。

 うっかりクールタイムなんかで復活できずに取り逃すと、もう1戦になるので注意である。


「お、ヴァンも来たな」


「またせたであります! 城が全部消えるのに少しだけ時間かかるでありますよ」


「ナイスタンク、ナイス爆発だったぜヴァン!」


 ヴァンは今回、城が破壊されたため大爆発させた。ナイス爆発だったよ。

 今後は敵に敢えて城に潜入させ大爆発とかもやってみたいぜ。


「それじゃあ〈金箱〉を開けるぞ!」


 俺が代表して〈金箱〉オープンだ。

 もちろんお祈りは外せない。〈幸猫様〉〈仔猫様〉〈愛猫様〉お願いします!

 すると。


「お、こいつは。〈猫の王冠〉か!」


「知ってるのかゼフィルス?」


「ゲフンゲフン! メルト、『解析』だ!」


「あ、ああ。――『解析』!」


 アランからの素朴な疑問には咳払いして誤魔化し、メルトの〈幼若竜〉で『解析』する。

 あぶない。そういえばここって上級中位ダンジョンだけど未踏破ダンジョンだったんだっけ。


「出たぞ。こいつは〈猫の王冠〉。――装着中、ネコ型モンスター限定でテイム率が大上昇する。ほう、中々の当たりだな」


「え? あの、じゃあさっき使い捨てで消えた俺の〈匠の猫じゃらし(特大)〉は……?」


「……そういうこともあるさ」


 メルトが読み上げた言葉にオルクが愕然としていた気がしたが、俺も頷いて励ましておいた。妖怪怖い。

 ちなみに〈猫の王冠〉は〈金箱〉産。当然使い捨てではなく、回数アイテムだ。5回まで使える。

〈竜〉の専用テイムアイテムは3回だったのにこの差よ……。くっ、ネコは竜には勝てないのか!


 ちなみに、この〈猫の王冠〉はもちろん〈エデン〉がもらうことになっている。

〈筋肉は最強だ〉は攻略階層の更新ができるしな。ドロップは〈エデン〉の総取りだ。


「いやぁめでたい! まさか〈金箱〉が出るとは! これも筋肉の思し召しに違いない」


「いやいやアラン。これは〈幸猫様〉方の思し召しだぞ」


「そういうのは長くなりそうだからそろそろ出るとしよう。外でラウたちも待っているはずだ」


「おっと、そうだったな」


「――オルクよ。先に帰還せよ。俺はギルドマスターとして全員が攻略するのを見届けてから帰還する」


「了解! ……あれ? よくよく考えてみればこの証すげぇんじゃね?」


〈筋肉は最強だ〉に〈公式裏技戦術ボス周回〉を見せるわけにはいかない。

 ということで、基本的に攻略完了すると〈筋肉は最強だ〉のメンバーから誰か1名が帰還するという役割についてもらっていた。オルクはこうして一足先に転移陣で帰還し、俺たちは最奥の救済場所(セーフティエリア)に出る。


「おかえりなさいませ」


「おう、今帰ったぜセレスタン。無事証ゲットだ!」


「おめでとうございますゼフィルス様」


「セレスタンよ、次はそなたたちだ。良い筋肉を」


「ええアラン。頑張らせてもらいますよ」


 外ではセレスタンが待っていた。

 見事なお辞儀をして労ってくれる。

 相変わらずアランとセレスタンは仲がよさそうだ。

 伝説となった〈微笑みの筋肉部隊〉のメンバーだったからな。

 基本様付けのセレスタンもアランは数少ない呼び捨てだ、と言えば2人がどれだけ仲が良いか分かるだろう。


 その後はヴァン、俺、セレスタン、筋肉2人がボス部屋に入り攻略。

 次はセレスタンの代わりにラウに入ってもらい攻略しながら全員が攻略者の証をゲットする。今日中にそれは完了した。


 ふはははははは! これで平日中に〈猫猫ダン〉攻略だ!

 明日からはダンジョン週間に突入する。

 この調子で、次は〈火山ダン〉を2日で攻略してやんよ!


 なお、その日俺が〈猫猫ダン〉から帰還すると、またも攻略したことが学園の隅々にまで広がっていたんだ。あれ? なぜバレた?


「ゼフィルスよ、口止めするんじゃなかったのか?」


「…………」




 翌日の朝。

 俺はシエラからギルドハウスに来て正座するように言い渡された。メッセージで。

 メッセージで正座と言及されてるんだが、どうすればいいですか!?

 シエラのジト目には逆らえないんだよ……。


「もー! ゼフィルス、これはいったいどういうことなの! 〈猫猫ダン〉を攻略しちゃってるじゃないの!」


 もー、もー! っと〈学生手帳〉の画面、学園ニュースのトピックページを見せながらお怒りになられているのは、もちろんラナである。

 学園ニュースには、なぜか「学園で最も有名な人物たちが夢の共闘大攻略! 勇者、冒険者、筋肉が歴史の一ページに刻まれた!?」という見出しと共に大々的に報じられていたんだ。


 すでにニュースになっておられる!

 あと冒険者って誰だ?


「ゼフィルス。言い訳を聞くわよ?」


 そう、ジト目全開で俺に告げるのはシエラ!

 こんなジト目の圧、とってもたまりません!


「はい! うっかり〈猫猫ダン〉を攻略してしまいました!」


「お認めになられましたわ!?」


「うっかりじゃないでしょう」


 しまった! うっかりなんの言い訳もせずに認めてしまった!

 横に控えるリーナも目を丸くしている。シエラのジト目の圧はより深まった予感!


「もー! 自分だけ猫と戯れるなんて、ずるいじゃないの! ――シエラ、これはお説教よ!」


「ゼフィルスの自重はどこに行ってしまったのかしらね?」


 はい。絶讃家出中でございます!

 はっ!? まさかシエラの横に居るのは、俺の自重さん!?


 こうして俺は、シエラとラナからお説教されてしまったのだった。

 自重さんも帰って来たよ。


 ◇


「ふう。なんとか間に合った」


「一瞬でバレてたな」


〈筋肉は最強だ〉との待ち合わせ場所にギリで到着した俺に、メルトがやれやれと言わんばかりに首を横に振って話しかけてきた。

 正座してお説教を受ける俺を見て一瞬で踵を返して先に向かったメルトを、俺は忘れない!


「ようゼフィルス、今日も良い筋肉だな!」


「おう! 今日も張り切っていこう! まずはオルクの新モンスターのテイムからだな!」


「よ、よろしくお願いしますゼフィルスさん!」


「なあアラン、なんでオルクは足がガクガクしてるんだ?」


「わからん。なぜか昨日からこうなのだ」


「お、お気になさらず!」


 そのまま〈筋肉は最強だ〉と合流してダンジョンへ向かう。

 なぜかオルクの足がガクガクしていたが、何でもなさそうなのでそのまま出発だ。

 まずはランク5の〈魔界ダン〉でオルクのテイムモンスターを見繕い、そして〈火山ダン〉を攻略する予定だ!


 え? 〈魔界ダン〉は攻略しないのかって? シエラにまたお説教されてしまうよ!?


 早速帰ってきてくれた自重さんが仕事してくれています。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
魔界ダンは攻略しないのかな? こんな機会またあるとは思えないが…
ジト目をくれるシエラはなんのかんので優しいのだ……ソウダヨネ 錬金に捕まった冒険者のエピソードは……あ、やっぱいいです
オルク、闇錬金さんに折檻を受けたのかな?
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