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ゲーム世界転生〈ダン活〉~ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を 〈はじめから〉プレイする~  作者: ニシキギ・カエデ
第三十八章 S&A!パワーキャリーで六段階目ツリー開放大爆発!

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#1702 全世界が羨むゼフィルスが考えた育成論メモ!




 オルク強化計画、始動。


「いいかオルク、【ルシファー】はなんといっても六段階目ツリーが強い。もう鬼強い。むしろ六段階目ツリーのスキルだけあれば良いんじゃないかってくらい強い」


「え? マジっすか?」


「まあ実際はクールタイムやその他の関係から六段階目ツリーしか使わないなんてできないから、他のツリーも取るけどな。あくまでそのくらいの気持ちって意味だ」


 俺はオルクに【ルシファー】のなんたるかを教えていく。

【ルシファー】の六段階目ツリーはまさに大魔王級。あまりに強いが、代わりにクールタイムもMP消費も多い。そのため間を持たせるために他のツリーの取得ももちろん行なわなくてはならない。全てのスキル・魔法がクールタイムで使えなかったので負けました。なんて弱点はいらないのだ。

 故に、オルクの今のSP振りからもなんとか、ギリギリでリカバリーは可能だ。


「まず確認しておきたいんだが、オルクのポジションはどこなんだ? どういうところで活躍したい? むしろどのポジションが好きで得意なんだ? そして、今後どのポジションでやっていきたいんだ?」


「え? え? えっと?」


「これは今後の育成に関して重要なことだ。ポジションが決まらないとそこで活動するスキルを選ぶことはできない。後衛なのに近接系のスキルばかりあったら困るだろ?」


「た、確かに。あ、あまり考えた事なかった」


「え?」


「い、いや。何でもありませんよ!」


 そうか。なんか今とてつもなく不穏な言葉を聞いた気がしたが、気のせいだったらしい。


「ポジション、ポジション。えっと、ゼフィルスさんのポジションはどこなんですか?」


「俺か? 俺はオールポジションだな。オールラウンダーに育成しているからどこのポジションでもいけるぞ」


「なにそれかっこいい!」


「見る限り、オルクも前衛と後衛が混ざったスキル構成だが、というかSTRとINTどっちも振られているが、どういうポジションか分からなくてな」


「えっと、俺は槍スキルを使うのでSTRを育てて、召喚も使うからINTを育てました! あと【サタン】になろうとしてたのでVITも振ってます!」


「うん。ポジションはどこだ?」


 わからん。

 なぜかこの3つだけ重点的に育成されているんだ。

 俺を困惑させるなんて大したものだぞ?


「はい! 手が足りないところに入ってました!」


「返事は良いな」


 元気、というか割とヤケクソに吐露した感じでオルクが言う。


「つまり俺と同じってことかな? ふむ?」


 俺もパーティで足りないポジションに入るオールポジションだ。

 オルクもそうだと言う。なるほど……?


「オールポジションか。確かに【ルシファー】なら出来ないことはないな」


「ほんとっすか! 俺もオールポジションいけます? 縁の下の力持ちでみんなから頼られる冒険者になれますか!?」


「冒険者?」


「あ、いえ、頼られる存在になれますか?」


「ううーん。どうだろうな」


 こう言っちゃなんだが、【ルシファー】は召喚士スタイルが一番強い。

 INTをガチ上げして魔王軍団を使う戦法が最強だ。故に、シヅキもそう育てている。シヅキのINTはすでに装備も含め4000を突破し、あとは魔王軍団を揃えるだけ、というところまで来ている。魔王軍団が揃えば……ふはは!

 つまり本気を出しちゃうとやっべな事態になるくらい強い。


 オルクのLVは23。

 思ったより低い。というか五段階目ツリーを開放してすらいない。

 いや、よくこのLVで上級中位ダンジョンのランク2まで突破出来たなと感心するレベルだ。あそこLV40まで育成出来るんだが……。きっと筋肉によってキャリーされたのだろう。

 だがLVが低いことは悪いことばかりではない。


 きっと五段階目ツリーが開放されていたらSPは貯まっていなかったはずだ。

 低レベルに感謝だ。


 適時セレスタンに指示を出し、途中救済場所(セーフティエリア)で筋肉たちの疲れを癒す。

 その間にオルクの育成論を練ってみる、もちろん、LV100になることが前提だ!(なお、これ秘密な)


「前衛後衛のスキルを使い分けるにしても、悪魔召喚、召喚盤召喚は【ルシファー】のキモだ。これを使わない手はない。オルクは(タンク)もやりたいって言っているから……それならあのモンスターがいいか? それならスキルはこれを組み込めば……」


「ゼフィルスはどうしたんだオルクよ」


「あ、アラン。休憩はもう良いのか?」


「はっはっは! そんな柔な鍛え方はしていないからな!」


「さすが、だな、はは。えっと、ゼフィルスさんには、俺のステータスの育成論を練ってもらってるんだ」


「なに? オルク専用の、ということか? ゼフィルス直々に?」


 俺が集中している間にアランが来たようでびっくりしていた。

 だが、俺はそれに構わず、というかほとんど気が付かずに育成論を練り続けた。


「おいおいオルクよ。そいつはすげぇことなんだぞ? いくら払ってでもゼフィルスに直接自分専用の育成論を練ってほしいというやつはいるというのに、今回のこともそうだが、デカい借りができてしまいそうだな」


「え? あれ? 確かに言われてみれば。ゼフィルスさんに育成論を練ってほしくて突撃し、途中勇者ファンに捕まって指導を食らうって話、よく聞く気がする」


「今気付いたのか? 〈エデン〉のメンバーは、みんなゼフィルスから〈育成論〉を練ってもらっていることはすでに知られている。ゼフィルスに育成論を練ってもらえればまさに最強になれるんだ。誰だってしてほしいに決まってるだろ?」


「…………」


 俺は周りの音なんか気にせずに最後のピースをはめ込み、よしっと頷く。


「できたー!」


 紙を掲げてオルクの方に振り向けば、いつの間にかアランがいた。

 そういえば途中で来ていた気がする。


「アラン、来てたのか。――あれ? オルクどうした? なんだか顔が青いが」


「い、いいえ。なんでもありますえん!」


「どっちだし!?」


 ありますえん? つまり、どっちだってばよ。

 まあいいか。


「とりあえずこれを見てくれオルク。なんか自分に合わなさそうとかあれば言ってほしい」


「俺も見ても良いのか?」


「もちろんだアラン」


 俺は早速完成した育成論をオルクに渡すと、アランも興味津々と言わんばかりに筋肉を膨らませて覗き見る。なんで筋肉を膨らましたし。お礼かな?


「こいつは……」


「ポイントはモンスター。オルクはオールポジションで戦いたいとのことだが、それについて足りないところが多すぎる。だが、それはモンスターで補うことにした」


「モンスター……」


「ああ。特定のモンスターを召喚し、攻撃、防御、回復、強化、弱化を手伝ってもらうことでオルクの性能を飛躍的に高める形にしたステータスだ」


 (かなめ)は影。

 召喚士と召喚モンスターが別々に行動するのでは無く、一緒に行動する二人三脚のようなスタイルだ。攻撃するのも一緒、防御するのも一緒、常に一緒に行動し、2人で相手をすればそれはかなりの戦力になり得る。


 INT特化で砲台たるシヅキではできない、接近戦もできる【ルシファー】の戦闘スタイルだ。STRとINTを両方取りしているので正直どこまで火力が出るのか未知数な部分も多いが、それなりの成果は出るだろうと睨んでいる。


「そこで重要なのがモンスターの種類だ。誰でも良いわけじゃない。俺が指定する特定のモンスターたちと契約&召喚盤を入手し、ポジションによって召喚モンスターを使い分ける形にしたい」


 それを聞くと、オルクがポカンとしている様子が目に入った。


「ほらオルク、言っただろ? ゼフィルスに育成論を作ってほしいやつはいくらでもいるってよ。この幸せ者め」


「こ、こいつが俺の戦闘スタイル、す、すげぇ強そう! あとすげぇかっこよさそう!」


 アランがバシンとオルクの肩を叩き、それに全く気が付かない様子でオルクが震え声で感激していた。


「おう。気に入ってもらえたか。モンスターと呼吸を合わせて行動しなくちゃいけないから大変かもしれないが、ハマればかなり強くなれるんじゃないかと俺は睨んでいるぜ」


「やります! いや、やらせてください! 俺、ゼフィルスさんの育成論で、絶対強くなりますから!」


 感激顔のオルクが身体全体を震えさせてやる気を滲ませていた。

 いいね、実に良い。

 オルクがどんな成長を遂げるのか。俺もしっかり見届けようじゃないか!




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
>もちろん、LV100になることが前提だ! あっ・・・(察し)
オルクさん、運のステータスがめちゃくちゃ高そうな気がする。
ヤベえな。 闇錬金さんが人死にの出そうな程悍ましい視線で元冒険者を睨みつけ、さらにマウントポジションでひたすらに殴打を繰り返す光景が見えてきた。
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